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「新規制基準に合致」三菱重工、革新軽水炉の早期実用化へ開発加速

© 産経新聞 三菱重工業などが開発している革新軽水炉のイメージ。建屋を岩盤に埋め込み、耐震性を強化する(三菱重工業提供)
三菱重工業の原子力発電事業の担当者は12日、産経新聞の取材に応じ、次世代原子炉について「(安全対策の強化を求める)国内の新規制基準に合致する基準で設計を進めている」と語り、安全性の高い革新軽水炉のできる限りの早期実用化を目指す考えを示した。ウクライナ危機もあって電力不足が深刻化し、原発再稼働への期待の声が高まる中、革新原子炉の需要が拡大するとみて開発のペースを上げる。
三菱重工業と関西電力など電力会社4社が開発する革新軽水炉は、2030年代半ばに実用化する方針で、主に西日本で導入されている加圧水型軽水炉(PWR)がベースとなる。出力は既存の大型原発と同等の120万キロワット級を想定し、建屋を岩盤に埋め込むなどして耐震性を強化。自然災害だけではなく、大型航空機の衝突などテロに対しても防護対策も講じる。
仮に炉心溶融が起きた場合でも、溶け落ちた核燃料(デブリ)を漏れ出さないように格納容器内で封じ込める設備「コアキャッチャー」を備え、放射性希ガスを吸着・分離するシステムを導入し、事故が起きても敷地内で影響をとどめることができる構造だ。
小型軽水炉を含む他の次世代原子炉では、11年の福島第1原発事故後に強化された安全規制が最大の壁になると予想されている。これに対し、革新軽水炉は基本構造が既存原発に近く、規制に対応しやすいとされる。三菱重工業の担当者は「(原発に否定的だった世論が)前向きになっている」と説明。「不安になりかけている国内産業基盤維持の観点からも、早期の新設プラントの開発実現は必要だ」と強調した。
革新軽水炉の開発には他のメーカーも力を入れている。東芝は東日本の原発の中心となっている既存の沸騰水型軽水炉(BWR)を改良。日立製作所が約80%を出資する日立GEニュークリア・エナジーも開発に取り組んでいる。
政府が8月に原発の新増設やリプレース(建て替え)を想定しないとした従来のエネルギー政策の基本方針を転換したことで、開発の動きはさらに加速するとみられている。(今仲信博)