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安倍総理の志は死なない!!

日台友好の代名詞は「オレンジの悪魔」 京都橘吹奏楽部が圧巻パフォーマンス

© 産経新聞 双十節の祝賀式典に出演し、笑顔で行進する京都橘高校吹奏楽部=10日、台北・総統府前(矢田幸己撮影)
台湾の建国記念日に当たる「双十節(そうじゅうせつ)」(10日)を祝う式典に、マーチングバンドの強豪で「オレンジの悪魔」の異名でも知られる京都橘高校(京都市伏見区)の吹奏楽部が招かれ、圧巻のパフォーマンスで台湾の民衆を魅了した。日中国交正常化に伴う日本と台湾の断交から50年となった今、相互理解は進み、日台の交流はさらに活発化。専門家は「次の50年へ良好なスタートを切った」と話す。
10日、台北の総統府前広場で、オレンジ色の衣装に身を包んだ部員88人による行進が始まった。演奏しながら笑顔でステップを踏み、多彩な隊形を披露。約15分のパフォーマンスの間、聴衆の視線はくぎ付けになり、蔡英文総統も立ち上がって手を振るほどだった。「パフォーマンスはまさに日台友情の代名詞」と日本の外交関係者。日台で反響は広がり、公式動画の再生回数は21日現在で150万回を超えた。
「見ていた多くの方から日本語で『橘がんばれ』『ありがとう』と声をかけてもらった。笑顔になってもらえたのが何よりうれしい」。部長の竹内望咲(みさき)さん(3年)が手応えを語った。
祝典に海外の団体が出演するのは今回が初めてだった。今年は日本台湾交流協会(日本の対台湾窓口機関)の設立から50年の節目に当たる。米国の新年を飾る「ローズ・パレード」に2度出場した同校吹奏楽部の世界的な知名度に加え、「未来ある子供たちの力を大事にしたい」という台湾側の強い思いもあり、蔡氏が会長を務める「中華文化総会」が出演を打診した。
吹奏楽部顧問の兼城(かねしろ)裕さん(44)によると、学校にオファーが届いたのは今年2月頃。最初は半信半疑で「すぐに返信できず、いったんそっとしておいた」。その後、開封確認のメールが改めて届くなどしたため「ただごとではない」と感じたという。
一行は今月5日に現地入り。出発前には、しっかりと台湾の歴史を学んだ。7日に総統府を見学した際には、蔡氏がサプライズで現れた。出演の謝意とともに「大人になったらまた台湾に来てくださいね」と言葉をかけられたという。
祝典で儀仗(ぎじょう)のパフォーマンスを披露した台北市立第一女子高校の生徒らとも交流。すぐに打ち解け、日本のアニメや演技について盛り上がった。
「台湾の人に温かく迎え入れてもらい、親交を深めることができて幸せだった」と竹内さん。「部員の間では、『絶対また台湾に来ようね』と話しています」と力を込めた。
東京外語大の小笠原欣幸(よしゆき)教授(台湾政治)によると、日台間の交流は東日本大震災を機にさらに活発になっている。震災では、台湾から世界で最多とされる200億円超の義援金が寄せられ、日本国内でも台湾への支持が一気に広がった。
今回の出演は日台の強固な絆があり実現したもの。小笠原氏は「パフォーマンスは快活な印象を与え、長きにわたる良好な日台関係を象徴していた」と指摘。「次の50年を見据えても、若い世代を中心とした新たな日台交流への期待の表れに映る。明るい未来をも示すシーンであり、今後、日台関係を回想する上で欠かせないできごとになるだろう」と述べた。(矢田幸己)

【深掘り】京都橘高校吹奏楽部
昭和36年、後に全日本吹奏楽連盟理事長を務めた故平松久司氏が創部。マーチングにダンスを取り入れたスタイルで人気を博す。一流アーティストとの競演やメディア出演も多く、交流サイト(SNS)などを通じて世界中に熱心なファンがいる。全日本マーチングコンテストの常連校で、昨年大会では金賞を受賞。11月20日に開催される今大会も出場予定。異名の「オレンジの悪魔」は、ユニホームの色と、激しいパフォーマンスをしながら笑顔を絶やさない姿が由来とされる。
© 産経新聞 総統府で蔡英文総統らと記念撮影に収まる京都橘高校吹奏楽部の部員ら(蔡氏のツイッターから)