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安倍総理の志は死なない!!

防衛費比2%増の〝見せかけ〟岸田政権&財務省 海保予算や研究費で水増し 制服組いない有識者会議に疑念「自衛隊の装備が減らされるリスク」

防衛力強化に関する政府の第3回有識者会議が9日、首相官邸で開かれる。日本を取り巻く安全保障環境の悪化を踏まえ、岸田文雄政権は「防衛費のGDP(国内総生産)比2%以上の増額」や「反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有」などで成果を出さねばならない。有識者会議は、総合的な防衛力向上を議論しているが、気になる報道が続いた。政府が従来の防衛費に加え、海上保安庁の予算や、公共インフラや科学技術研究費も含めた「総合防衛費」の創設を検討していると、読売新聞と日経新聞が伝えたのだ。予算拡充を防ぎたい財務省の入れ知恵なのか。他省庁の予算まで組み入れた「見せかけの防衛費増」で、国民の生命と財産を守り切ることができるのか。
《総合防衛費 創設へ 研究費や海保予算計上》(読売新聞8日朝刊)
《国防関係予算、各府省に特別枠 名称「総合防衛費」に》(日経新聞9日朝刊)
両紙はこんな見出しで、「総合防衛費」のニュースを伝えた。
読売新聞は「従来の防衛費に加え、防衛に役立つ研究開発費や公共インフラ(社会基盤)整備費、海上保安庁予算などを一括で計上」、日経新聞は「インフラや科技研究費に加えて海上保安庁や通信、人工知能(AI)など安保に寄与する関連費を盛り込む」と、内訳を説明している。
要するに、自衛隊だけでなく、海上保安庁など他省庁の予算も含めて計上するという。これで、NATO(北大西洋条約機構)が加盟国に求めている「防衛費のGDP比2%以上」という基準を達成しようとする政府の狙いがうかがえる。
だが、長年の予算抑制でボロボロになっている防衛基盤を整備するために「GDP比2%以上」と掲げたのに、他省庁の予算を含めた「見せかけの防衛費増」では、純粋な防衛力強化につながるかどうかは疑わしい。
自民党の萩生田光一政調会長は先月17日の衆院予算委員会で、「防衛費について、自民党は参院選で『GDP比2%以上を念頭に5年以内に防衛力の抜本的強化を進める』と国民に約束した。積み上げると2%では足りない。海上保安庁予算などを含む水増しでは駄目だ。戦闘継続(継戦)能力も不足している」「どうすれば、見た目の金額を増やすことができるか考えているようにすら見える」「必要なのは言葉ではなく抑止力」「水増しでは国民の生命と財産を守ることはできない」などと厳しく迫った。
岸田首相は「2023年度の予算編成過程に向けて一体かつ強力に進めたい。継戦能力の維持、防衛施設の強化は大変重要な点だ。内容、予算、財源の3つを一体的に議論していく」などと、官僚答弁で応じた。
そもそも、海上保安庁はあくまで警察機関であり、軍事的役割を想定していない。海上保安庁法25条では「海上保安庁又はその職員が軍隊として組織され、訓練され、又は軍隊の機能を営むことを認めるものとこれを解釈してはならない」と定めている。
斉藤鉄夫国交相も8日の閣議後会見で、同法25条を「警察機関である海保が非軍事的性格を保つことを明確化したものだ」と説明した。
識者はどうみるのか。
防衛問題研究家の桜林美佐氏は「中国が軍事力増強を加速し、北朝鮮も日本や米本土を射程に入れた弾道ミサイルの開発を進めている。日本が当事者として自主防衛力を高めなければいけない状況であり、『純粋な防衛費をGDP比2%以上に増やしても不十分』という見方もある。こうしたなか、防衛省以外の予算を組み込んで数字を達成しようとすれば、純粋な防衛費が相対的に少なくなり、自衛隊の装備が減らされるリスクがある」と話す。
前出の有識者会議には、安全保障の現場を知る自衛隊の制服組OBがいない。岸田官邸はどういう選択をしたのか疑問だ。
元陸上自衛隊中部方面総監で、千葉科学大学客員教授の山下裕貴氏は「岸田首相は『防衛費の抜本的強化』の意思を再三示してきた。本来、防衛力とは『陸海空の防衛能力』を指す。海保予算、研究開発費や、公共インフラは安全保障であっても、防衛費には含まれない。『抜本的』は『総合的』というかたちの『見せかけの防衛費』に巧みに化けた。(有識者会議の)メンバーは経済学者と官僚、ジャーナリストのみだ。防衛サイドが事務次官経験者だけで、本当の防衛力を語れる制服組OBは1人も含まれていない。財務省側は財政健全化だけが目標で、防衛力をまったく考えず、抑えにかかってきている。『財務省栄えて、国滅ぶ』の状況だけはやめてほしい」と警鐘を鳴らした。