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安倍総理の志は死なない!!

台湾有事視野に日米共同演習 与那国空港に機動戦闘車 公道も走行

© 毎日新聞 提供 日米共同統合演習で与那国島の集落内を走行する陸自の16式機動戦闘車=沖縄県与那国町で2022年11月17日午後3時15分、比嘉洋撮影
 自衛隊と米軍による日米共同統合演習「キーン・ソード23」(10~19日)で、防衛省は17日、日本最西端にある沖縄県・与那国島(与那国町)の与那国空港を使用して陸上自衛隊の16式機動戦闘車(MCV)を空輸する訓練を実施した。戦闘車はその後、公道を走って陸自与那国駐屯地に入った。与那国島は台湾の東約110キロにある。日米の共同演習で与那国空港を使用するのは初めてで、台湾有事などに備え、公共インフラの活用を探る狙いがあるとみられる。
 与那国駐屯地では期間中、自衛隊と米軍が部隊間の「連絡調整所」を設置する訓練も実施する。2016年に開設された与那国駐屯地で日米が共同で訓練するのも初めて。
 与那国空港では17日正午前に航空自衛隊C2輸送機1機が着陸。105ミリ砲を搭載したMCV1両を降ろした。MCVはその後、陸自車両に先導され、与那国駐屯地まで県道を走行した。空港前では約10人が横断幕を掲げて訓練に抗議し、集落の沿道では住民が車列を見守った。
 空港を管理する県は、防衛省の使用申請を9日に許可。一方、MCVの公道走行は「住民に不安を与える」などとして、実施しないよう防衛省に申し入れていた。玉城デニー知事は「訓練が実施されたことは誠に残念だ。演習の実施に当たっては、県民への影響が最小限となるよう配慮し、より一層、丁寧に説明するよう防衛省に求める」とコメントを出した。
 キーン・ソード23では、鹿児島県から沖縄県にかけての南西諸島を中心に日米の隊員計約3万6000人を動員し、離島防衛作戦などを展開。日米連携をアピールし、軍事活動を活発化させる中国をけん制する狙いがある。【比嘉洋、喜屋武真之介】
 沖縄県・与那国島の民間空港で初めて実施された陸上自衛隊の16式機動戦闘車(MCV)を空輸する訓練。105ミリ砲を搭載したMCVが島内を走り、物々しい雰囲気が漂った。有事を見据え、島の陸自駐屯地では米軍も加わった日米共同演習が実施されている。台湾に近い日本最西端の「国境の島」では、生活の場を巻き込んで展開される訓練に賛否の声が入り交じった。
 島の北側にある与那国空港では17日正午前に空自C2輸送機が到着。降ろされたMCV1両が約3時間後に空港前に現れると、集まった約10人の島民らから「戦車は島に入らないで」と抗議の声が上がった。
 MCVはその後、県道の片側1車線いっぱいを使い、ゆっくりとした速度で小中学校や民宿、漁港などがある集落を抜けて与那国駐屯地へ。目撃した日用品店店員の大朝央子(ひさこ)さん(34)は「(MCVは)思ったより大きかった。いつ戦争が始まるかわからない怖さを感じた」と落ち着かない様子で話した。
 島はかつて自衛隊配備を巡って二分された。2015年の住民投票で配備賛成が反対を上回り、16年に陸自駐屯地が開設された。その後は反対の声も薄れつつある。
 泡盛の酒造所を営む崎元俊男さん(57)も当時は反対派だったが、現在はかつて自衛隊誘致の中心メンバーだった糸数健一町長を町議として支える。「小さな島で賛成、反対といがみ合うのは消耗するだけだ」と語るが、今回の演習に「ここまで訓練が活発になるとは予想していなかった。米軍まで訓練するようになれば、再び島が二分される事態にならないか」と懸念する。
 与那国防衛協会副会長で、漁師と町議を兼務する大宜見(おおぎみ)浩利さん(65)は空港や公道を使った今回の演習に賛成だ。「有事になれば与那国島も戦場になる可能性がある。いざという時のために自衛隊が島のインフラや地形を把握する訓練はやっておいた方がいい」と語った。【比嘉洋】