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核融合エネルギー、実用化に前進 研究加速も日本には「軍事」のハードル

将来の新たなエネルギー源として期待される「核融合」が、実用化に向けて大きく前進した。米ローレンス・リバモア国立研究所は昨年12月13日、核融合反応で投入した量を上回るエネルギーを得ることに成功したことを発表した。世界初の成果で、実験は大型レーザーで燃料を熱して核融合反応を起こす「レーザー核融合」と呼ばれる方式で行われており、実用化には大型レーザーの開発が鍵を握る。世界で研究開発が加速するとみられるが、日本では技術面以外に他国にはない高いハードルがある。

核融合エネルギー、実用化に前進 研究加速も日本には「軍事」のハードル© 産経新聞

大阪大レーザー科学研究所が開発を進める、1秒間に100回照射が可能なレーザー=19日、大阪府吹田市© 産経新聞
「核融合エネルギーが社会を支える可能性に近づく大きな一歩だ」。米エネルギー省のジェニファー・グランホルム長官は、同研究所の研究成果の意義をこう強調した。
核融合は水素などの軽い原子核同士が融合して新しい原子核になる反応で、膨大なエネルギーが生み出される。1グラムの燃料から石油8トン分ものエネルギーを取り出せるとされる一方で、温室効果ガスを排出しないことから「夢のエネルギー」と目されている。
新たなエネルギー源として注目を集めてきたが、反応を起こすには燃料を恒星の中心に匹敵する超高温・高圧にする必要があり、それを可能にする装置の運転には膨大なエネルギーを要する。これまでは反応は起こせても投入量を上回るエネルギーを得ることはできていなかった。

京都フュージョニアリングが製造に着手した核融合発電の実証プラントの完成イメージ(同社提供)© 産経新聞
今回の実験はフットボールコート3面分の敷地を持つ世界最大のレーザー装置「国立点火施設」(NIF)で行われた。核融合反応を起こすのに投じたエネルギー2・05メガジュールに対し、3・15メガジュールものエネルギーが発生。世界で初めて、核融合反応で投入量を上回るエネルギーを発生させることに成功した。
大型レーザーを用いて核融合反応を起こす手法は「レーザー核融合」と呼ばれ、国内では大阪大レーザー科学研究所(レーザー研、大阪府吹田市)が研究を牽引(けんいん)する。レーザー研の藤岡慎介教授は、米国での成果を歓迎した上で、「実用化にはエネルギーの増加率を100倍程度にまで高めることが必要でまだまだ道のりは長い」とする。
ただ、日本国内では、ドーナツ型の炉の中で強力な磁場を発生させ、高温のプラズマを宙に浮かせた状態で保持する「磁場核融合」が中心で、レーザー核融合は主流ではない。背景には日本特有の事情がある。
NIFなど海外のレーザー核融合の実験施設は、軍事研究施設としての顔も持ち合わせているのが一般的だ。米国やフランスなどの核兵器保有国は、核実験の代わりに核融合用の高出力レーザーで核爆発の状態を再現し、核兵器の性能をテストしているといわれる。
こうした背景から、国内でもレーザー核融合を軍事研究だと批判する向きがあり、レーザー研の別の研究者は「昨年度も国の専門家会合の場で『軍事研究だ』と主張する専門家がいたようだ」と明かす。
藤岡氏は「今回のような核融合の研究と軍事研究とは別物だ」と言い切る。実際、NIFではスタッフだけでなく、計測機器まで完全に入れ替えて軍事実験が行われており、結果も公表されない。
ただ、「軍事研究」への風当たりが強い日本では、そうした批判が研究の足枷になりかねない。藤岡氏は「何が軍事研究にあたるのか、オープンな場所で議論して明確化するべきだ」と指摘する。
「誰も経験のない試み」 日本は独自視点で開発
脱炭素社会への関心の高まりを受け、核融合の研究は世界各国で加速している。大型レーザーを使ったレーザー核融合の研究ではより高エネルギーの反応の実現を目指し、フランスや中国も大型レーザーの開発に力を入れるが、日本国内の大学やベンチャー企業は世界の潮流とは異なる視点で技術開発を進めている。
レーザー核融合の研究に取り組む大阪大レーザー科学研究所は、レーザーの大型化などの「パワーゲーム」とは一線を画したアプローチで研究を進める。
レーザー核融合で安定的にエネルギーを作り続けるには、レーザーの照射を繰り返す必要がある。大型レーザーの場合、数億分の1秒程度とされる照射を1秒あたり約20回行う必要があるが、現状のレーザーは冷却に時間がかかり、1日に数回しか照射できない。
そこでレーザー研は、出力は小さいものの、1秒間に100回照射が可能な装置を開発。今年3月には8時間の連続運転に挑む。成功すれば、レーザー研が50年かけて積み重ねた大型レーザーの照射回数を8時間で上回ることになり、荻野純平助教は「これまでとはまさにけた違い。誰も経験したことのない試みだ」と胸を張る。
また、核融合を実用化した「先」を見据え、発電に必要となる周辺技術の開発に注力するのが京都大発のベンチャー、京都フュージョニアリング(東京)だ。
核融合発電は原子力発電と同様に、反応で生み出された熱を動力に変えて、発電機を動かす。原発では核分裂反応の熱で水を沸騰させ、蒸気で発電機のタービンを回すが、核融合では一般的な原発より600度以上高い、1千度に迫る高温が発生する。そのため、水の代わりに液体金属を用いるなど特殊な技術が求められるという。
同社は、実証プラントの制作に着手しており、早ければ令和6年末にも実験を開始する。同社経営企画部の中原大輔部長は「計画は概ね順調に進んでいる。独自のノウハウをアピールしていければ」と話す。(花輪理徳)


軍事利用とか主張している奴は売国奴な!