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安倍総理の志は死なない!!

国防の危機 自衛隊はどんなときに「武器使用できる」のか 中国の「偵察気球」には引き金も引けない 国民の期待を打ち砕く朝日新聞記事

防衛省広報誌『MAMOR』(1月号)掲載記事が、「国際法・防衛法制の研究者」の「レクチャー」として対領空侵犯措置をめぐり、こう書いた(「自衛隊が『武器使用できる』のはどんなとき?/自衛隊に関する法律」)。

航空自衛隊の最新鋭ステルス戦闘機F35© zakzak 提供
「戦闘機を緊急発進させ、警告や着陸の誘導などを行い、相手が抵抗してきた場合は武器を使用することも可能である」
もし、この記述が本当なら、中国の「偵察気球(スパイ気球)」相手には武器を使用できない。なぜなら、気球は「抵抗」などしないからである。
だが、浜田靖一防衛相は2月7日の閣議後記者会見で、記者から「米国のように撃墜する可能性があるのか」と聞かれ、「国民の生命および財産などを守るために、必要と認める場合には所要の措置を採ることが可能」と答えた。
ちなみに、武器使用要件の正解は、「正当防衛又は緊急避難の要件に該当する場合にのみ許される」(防衛白書)。今回のように攻撃力を持たないスパイ気球が、右の要件を満たす可能性は考えられない。
あえて可能性を探るなら、例えば、気球が爆弾を搭載していた場合など、右の要件を満たす場合もあり得よう。実際、いわゆる太平洋戦争で、旧日本軍は「気球爆弾」を米本土に投下した。
もし、同様の事態が、わが国で発生すれば、どうなるか。以下の朝日新聞記事が、国民の期待を打ち砕く。
2月3日付「朝日」朝刊にインタビュー記事「(交論)専守防衛どこへ」「引き金引くな、歴史繰り返さぬ 林吉永さん(元航空自衛隊第7航空団司令)」が掲載された。
《―90年代に第7航空団司令を務めた際には、緊急発進するパイロットに「引き金を引くな」と言っていたそうですね。
「ええ。相手に先に撃たせることで初めて、こちらが攻撃を行う正当性が確立されるのだと指導しました。相手に先に撃たれて脱出することは批判をされるし恥辱でもあるだろうが、その覚悟と忍耐によって日本の正義が保証されるのであればパイロットは真のヒーローたりうるのだ。そう説きました」》
ならば、気球爆弾は撃墜できない。なぜなら、相手は撃ってこないからだ。気球だけではない。領空侵犯を続けるだけの爆撃機も、撃墜できないことになってしまう。
林団司令は幹部候補生学校長など要職を歴任した。パシフィズム(=反戦平和主義、反軍平和主義、護憲平和主義、絶対平和主義、無抵抗主義)は、現場の最前線をも蝕(むしば)む。
■潮匡人(うしお・まさと) 評論家・軍事ジャーナリスト。1960年、青森県生まれ。早大法学部卒業後、航空自衛隊に入隊。第304飛行隊、航空総隊司令部、長官官房勤務などを経て3等空佐で退官。拓殖大学客員教授など歴任し、国家基本問題研究所客員研究員。著書・共著に『誰も知らない憲法9条』(新