Shinzo-Returns

安倍総理の志は死なない!!

面目躍如!岸田首相のウクライナ訪問は、「ニセの和平」中国のメンツを見事に潰すことができた

中国の本音はロシアへの武器供与
3月21日の春分の日の正午頃、岸田首相がウクライナに電撃訪問というニュース速報が出た。ちょうどWBC(ワールド・ベースボール・クラッシック)準決勝で日本がメキシコ相手に劇的なサヨナラ勝利をしたときだったので、筆者は2つのビッグニュースに驚いた。
折しも同じ時期には、中国の習近平国家主席がモスクワを訪問し、プーチン大統領と首脳会談を行っていた。
中国は、これまでロシアに対してやや距離を置いてきた。北京冬季五輪の直後にロシアによるウクライナ侵攻が始まったことも、中国はあまりよく思っていない。また中国はウクライアとも関係があり、決して敵対的ではなかった。
ただここにきて、中国はロシアへの梃子入れに転じたのだろう。ただし、表向きは平和志向であり、ロシアとウクライナの和平交渉で仲介し、世界中へのプレゼンスを目論んでいるのだろう。

GettyImages© 現代ビジネス
今回、中国がロシアと関係強化を図るのは、こうした和平の演出の企図があるだろう。それとともに、一帯一路などでロシアとの経済依存関係を深めたいとの思惑もあるだろう。もっとも本音のところは、中国からロシアへの武器供与ではないか。
中国は、アジアからの使者として、ロシア大統領府のあるクレムリンでの首脳会談で専制国家の長としての威厳を保ちたい。ただし中国の和平提案は、即停戦でロシアの侵攻を認める「ニセの和平」ともいわれている。その裏で、ロシアへの武器供与も見え隠れしている。
しかし、これらの中国の世界へのアピールは、20日に行われた中ロ首脳会談の直後、22日に行われた日ウクライナ首脳会談でかなりの程度、打ち消された恰好になった。
岸田首相は、インド訪問の後、ポーランドからウクライナに入り、ウクライナのゼレンスキー大統領と首脳会談を行った。どうも、インド訪問中の岸田首相は同行記者にも悟られるように準備していたらしい。
絶好のタイミングだった
日ウクライナ首脳会談の場所はキーウであるが、クレムリンの豪華絢爛とはほど遠く、世界に向けての絵柄としては上出来だ。安全なところで優雅に振る舞う習近平主席とプーチン大統領、かたや戦時下での岸田首相とゼレンスキー大統領──この対比構図は、これまでにない日本の世界へのアピールになる。
と同時に、日本も中国もアジアからのお客であるが、日本ウクライナの民主主義と中ロの専制主義の対比はいい。さらに、本来であれば弱点である日本からの殺傷能力のない装備品も、中国からロシアへの武器供与を牽制できる。
これで中国は面子を潰された。岸田首相のウクライナ訪問は絶好のタイミングだったと評価できる。
さらに、中国は中立を装い、ゼレンスキーとの直接またはオンライン会談を望んでいたといわれる。これは、いうまでもなく「ニセの和平」を押しつけるためだが、岸田首相のウクライナ訪問が同時期になったので、消えてしまった。
国内では広島の「必勝しゃもじ」を岸田首相がお土産にもっていったことが国会などで議論されているが、中国の「ニセの和平」が現状肯定でロシアの侵攻を認めるものであるので、力による現状変更を認めないのであれば、ウクライナの「勝利」を祈るのは、中国の「ニセの和平」を否定するという意味で、国際的に正しいメッセージだ。
ちなみに、英BBCは、虐殺が行われたキーウ近郊のブチャで献花する岸田首相と、クレムリンで戦争犯罪人のレッテルを張られたプーチン大統領と習近平主席が会談する写真を掲げており、今回の岸田首相のウクライナ訪問がいいタイミングであったことを報じている。
なお、国内には、今回の電撃訪問があまりにオープンすぎたという声もある。
自民党の外交部会では、首相の現地入りが事前に報じられたことについて「ばれているなら報道協定をしなくては駄目だ」などと、政府の情報管理を疑問視する声が複数出た。情報、危機管理の観点から問題を指摘する声は多い。
なにしろ戦時下であるので、首相訪問は極秘に進められればそれに越したことはない。筆者も、電撃訪問というわりには、随分とオープンだなと感じた。
これで岸田首相は吹っ切れた
しかし、この日ウ首脳会談ろ中ロ首脳会談が同時期というタイミングを考えると、むしろオープンにしたほうがより安全で、世界へのメッセージもより効果的であると思う。
そもそも日本はまともな軍隊を持っていないので、どこまで海外で首相の護衛が出来るだろうか。今回は自衛隊が同行せずに、ウクライナに警護を委ねたようだ。これは、自衛隊が普通の役所のような行政組織であるために、やれることがポジティブリストになっており、海外警護が基本的にはないためだ。
もし、海外の軍隊であれば、国際法などに従うためのやってはいけないこと、すなわちネガティブリストだけなので、命令一つで(もちろん相手国の同意が必要だが)相手国に派遣できる。このあたりは、憲法改正を含めて対応しなくてはいけない課題だ。
いずれにしても、習近平主席がロシアに訪問しているときなので、ロシアも迂闊に出来ないという意味で、オープンにしたほうが、岸田首相の不測の事態の確率も少なくできるだろう。
今回のウクライナ訪問は、外務省でも21日昼ごろに公表している。それ以前に、特定のメディアには、今回のウクライナ訪問で取材を認めているような画像も報道されている。もちろん、ロシア側には事前に連絡されている。
ここまで書いてくると、勘のいい読者なら、中露首脳会談のかなり確度の高い情報を事前に入手していないと、今回の電撃的なウクライナ訪問は出来なかったとわかるだろう。当然ながらアメリからも情報を得ていたと思う。
3月16日の日韓首脳会談、20日の日印首脳会談、21日の日・ウクライナ首脳会談と一連の首脳会談は見事だった。
岸田首相は、これで「外交の岸田」の面目躍如だ。最近自信に溢れ、何か吹っ切れたように思える。
24日の参院予算委員会において、立憲民主党の石垣のりこ氏の罷免要求に対し、「文書の正確性は確認できなかったという結果が出ている」と指摘し「いきなり更迭というのはあまりにも論理が飛躍していると思う」と一蹴した。
また、2月末に帰国した中国の孔鉉佑前駐日大使からの岸田文雄首相に対する離任あいさつの申請を断っていたことが3月25日分かった。日本の前駐中国大使の離任時に習氏ら最高指導部との面会が実現しなかったため日本側には相互主義の対応を取った。