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安倍総理の志は死なない!!

G7緊迫、中国艦隊〝列島一周〟の恫喝 岸田政権は毅然と対応せよ 「G7で台湾問題を主導、立ち向かう姿勢で意思表示を」石平氏

中国が、日本への恫喝(どうかつ)を強めている。中国海軍の駆逐艦やフリゲート艦など艦艇4隻が、先月末から約12日間にわたり、日本列島を周回するように航行したのだ。この直前、日本に着任したばかりの中国大使が記者会見で、日本が台湾問題を安全保障政策と結び付ければ「日本の民衆が火の中に連れ込まれることになる」などと狂気じみた発言をしている。自由主義陣営の結束を強める広島でのG7(先進7カ国)首脳会議(19~21日)が迫るなか、習近平国家主席率いる中国が、G7議長国の日本に対して、軍事・外交両面で揺さぶってきたのか。岸田文雄政権には、中国の威嚇を許さず、国民の生命と財産を守るため、毅然(きぜん)とした姿勢が求められている。

日本周辺を航行する中国海軍のミサイル駆逐艦(防衛省統合幕僚監部提供)
防衛省統合幕僚監部は11日、「中国海軍艦艇の動向について」という報道発表を行った。
中国艦艇4隻が同日午前0時ごろ、東京都・伊豆諸島の八丈島より南にある須美寿島の東約90キロの海域を南西進し、その後、須美寿島と鳥島との間の海域を西進したというものだ。
報道資料には、4隻の写真とともに、日本列島を周回するように航行する様子を示した地図もあった。確認された4隻は、ルーヤンⅢ級ミサイル駆逐艦1隻と、フチ級補給艦1隻、レンハイ級ミサイル駆逐艦1隻、ジャンカイⅡ級フリゲート1隻だという。
これらの艦艇は先月30日、長崎県・五島列島の西約130キロの海域を北東進し、対馬海峡を北東進して日本海に入った。その後、今月5~6日にかけて、北海道・礼文島の北西約40キロの海域を経由し、宗谷海峡周辺付近を東進したのが確認されていた。ここまでは4隻に、ルーヤンⅢ級ミサイル駆逐艦1隻が加わっていた。
米国も中国海軍の動向に関心を高めている。米CNN(日本語版)は12日、中国艦艇4隻の日本周回航行について報じた。
実は、先月29日から今月8日にも、中国海軍のドンディアオ級情報収集艦1隻が日本列島を周回している。海上自衛隊と米海軍が今月8~10日、日本近くの太平洋上で共同訓練を実施した時期とも重なる。
日本列島周辺では近年、中国とロシアの艦艇が連携して活動することが目立っている。12日には、ロシア海軍ステレグシチーⅡ級フリゲート2隻と、ドゥブナ級補給艦1隻の計3隻が、先の中国艦艇を追うように長崎県・対馬の北東約80キロの海域を南西進したという。
一連の動きをどうみるか。
元陸上自衛隊東部方面総監の渡部悦和氏は「中国艦艇の動きは、『台湾有事』や『日本有事』などを見据えて、米国と中国の衝突を想定した演習と考えられる。中国人民解放軍は、日本から台湾、フィリピンを結ぶ『第一列島線』を越え、日本の小笠原諸島からグアム、サイパンを結ぶ『第二列島線』まで抑え、米海軍を阻止できるよう勢力を広げようと考えている。将来的には、中国空母を中心とする空母打撃群が、日本列島を周回する可能性もある。情報収集艦も、日米共同訓練の動きを探っていたと考えられ、ロシア艦艇も中国に連動したものと捉えられる」と指摘する。
軍事的威圧行動と歩調を合わせるように、中国は外交でも日本に脅しをかけてきた。
中国の呉江浩駐日大使は先月28日、着任後初の記者会見で、日本が台湾問題を安全保障政策と結び付ければ、「日本の民衆が火の中に連れ込まれる可能性がある」「(台湾有事は日本有事との認識は)荒唐無稽で極めて有害だ」などと発言した。
日本国民を暴力的に脅す発言であり、立憲民主党の松原仁衆院議員は10日の衆院外務委員会で、「断じて許すことはできない。呉大使を(ウィーン条約の『ペルソナ・ノン・グラータ』規定を適用して)国外追放すべきではないか」と迫った。
これに対し、「政界屈指の親中派」とされる林芳正外相は「極めて不適切」として外交ルートを通じて中国側に抗議したことを明らかにしたが、あまりにも〝生ぬるい〟対応というしかない。
産経新聞も13日社説(主張)で、「発言直後に大使を呼びつけて抗議しなかったのはなぜか」と、岸田政権の対応を批判した。
広島G7サミットでは、中国やロシアなど専制主義国家による「力による現状変更」に、どう対峙(たいじ)するかは重大テーマだ。議長である岸田首相の姿勢が問われる。
中国事情に詳しい評論家の石平氏は「中国海軍艦艇による日本列島を周回するような活動は、台湾問題もテーマになると想定される広島G7サミットに圧力をかける狙いがあるとみられる。呉大使の暴言は、日本の弱腰な対応を侮るというより、本気で恫喝してきている。海軍艦艇の動きは、呉大使の『火の中に連れ込まれる』という発言を軍事的に裏付けしたものだ。岸田政権の認識は甘すぎる。G7サミットでは、議長国として台湾問題を取り上げ、中国の軍事的覇権主義に『G7が結束して立ち向かう』という姿勢を示し、明確なメッセージを打ち出すべきだ」と語った。