Shinzo-Returns

安倍総理の志は死なない!!

税負担すでに6兆のガソリン補助金、延長方針…鬼の岸田政権と財務省は誰のために仕事をしているのか「死んでも発動しないトリガー条項」

ガソリン代を抑制するためにトリガー条項は使わずに補助金で解決しとうとする岸田文雄政権。ルポ作家の日野百草氏が国民の悲痛を取材した。
消費税の軽減や撤廃も「やる気はない」という意思表示
岸田内閣は10月、ガソリンの卸価格抑制のための補助金を来年3月まで延長するための調整に入った。
来年4月以降も補助金延長の方向で検討している。つまり、岸田首相の意向として「ずっと補助金のまま」ということだ。
補助金のまま、ということは1リットルあたり160円(3ヶ月連続)で本来なら発動されるはずの「トリガー条項」も、ガソリンに暫定税率分含め何重にもかけられた「二重価格」の解消も、物流をはじめとする国民生活の足であり、生命線でもあるガソリンに対する消費税の軽減や撤廃も「やる気はない」という意思表示のように思う。
補助金は一般国民の税金6兆円から出ている
石油元売り会社への補助金は私たち一般国民の税金から出ている。その額、すでに約6兆円。
協力会社として大手の配送業務を手掛ける運送会社の経営者はこう語る。
「来年もガソリンに補助金ということは、ずっと170円台とか180円台ということか。高止まりを政府が容認しているようなもので、これで来年から先までこの状態が続くと考えると厳しい」
レギュラーガソリンの小売価格は全国平均で176.9円(10月10日発表)、抑え込まれてはいるが高止まりであることには変わりなく、岸田首相は9月7日から新たな補助金制度を発表した際にも「レギュラーガソリンの平均価格が175円程度の水準を実現」としている。
来年もずっと170円台、地域によっては180円台を続ける
帝国データバンクによれば2023年度上半期の企業倒産は4000件超、その中でも「運輸・通信業」は9年ぶりに200件を超えた。2024年問題を前に物流の危機が迫っている。過当競争や人手不足はもちろん、生命線であるはずの燃料費の高止まりが要因だ。
「つまり、来年もずっと170円台、地域によっては180円台を続けるということだ。本当に現場を知っているのか疑問しかない。下がればいいのではなく、高止まりが続くことが問題なのに」
確かに来年3月、検討段階では来年4月以降も補助金でしのぐということは、岸田首相による事実上の「170円台容認」と見る向きもある。
本来は3ヶ月連続で160円を超えればトリガー条項を発動するはずなのに「170円台容認」、2011年の東日本大震災の復興財源確保のために凍結されているとはいえすでに10年以上が経っている。凍結解除に動けるはずなのに動かないということは、トリガー条項を発動する気がないと受け取られても仕方がないように思う。例えば復興特別法人税など2014年に早々に廃止できてもトリガー条項凍結は解除できない。
政府の無策が招いたガソリン高騰
これについて、地域の燃料販売業者と親しい無所属の地方議員が語る。
「補助金は国民の税金だから政府も財務省も問題ないという姿勢でしょう。その復興特別法人税も消費税が8%に上がる分で廃止された。サラリーマンや個人事業主が払う復興特別所得税は2037年まで払わされるのにね」
補助金は石油元売り大手を中心に投入されている。法人税そのものの新たな減税も検討されているが、サラリーマンや自営業者といった一般国民に対する配慮は皆無、可処分所得は減り続けている。
「トリガー条項を発動すれば財源が減る、暫定税率の廃止や減税なんてもっての他、それならずっと国民の税金を使う、そういうことです」
これまで使った6兆円の補助金は政府が170円前後までコントロールするために使われた。しかし2022年から補助金を段階的に下げたことが裏目に出て、あの2023年7月からの小売価格の高騰を招いた経緯がある。
サラリーマンの使える額はますます減る
「逆に言えば国民の税金をじゃぶじゃぶ注ぎ込めば170円台から180円台には抑制できる、と踏んでいるのでしょう。コロナ禍やロシアのウクライナ侵攻でも抑制できた。むしろ岸田内閣は自信を持っているのでは」
しかし日本が原油輸入の90%以上を依存している中東、パレスチナ・ハマスのイスラエル領内襲撃とそれに対するイスラエルの報復もある。円安もいまだに149円台(10月13日外国為替)と厳しい。4月に約5100品目、10月に約4600品目の値上げとなったが、これも要因のひとつはガソリンの高止まりであることは明白である。商品価格と輸送費は切っても切れない関係にある。メーカーや小売、外食にそれを負担するだけの体力は残されていない。
だからこその値上げだが、それが来年まで続くとなると国民負担は増え、サラリーマンの使える額はますます減る。
食品専門商社の営業マンが語る。
商社マン「日本は他国にガソリンを買い負けている」
「ガソリンの小売価格は他国も上がっています。日本以上にね。しかし賃金も上がっている。急激な上がり方です。そういう国と市場で奪い合いになっているから日本は買い負けている、ということです。物価は上がるが賃金は上がらない、これはルーザー(負け犬)の定型的なパターンでしょう。ガソリンが200円だろうが平均賃金が上がっていればいいわけで、端から30年間無策だったツケを岸田首相が対応していると考えたら、少し同情しますね」
いまさら言っても仕方のない話だが、せめてトリガー条項の凍結解除および発動、「暫定」であったはずの暫定税率の廃止、そして長年の懸念であるガソリンに何重にもかけられた税金という二重価格問題(政府および財務省は二重価格と認めていないが)だけでも解決すれば、末端価格は下がり、国民に等しくガソリン価格の抑制の恩恵を与えることができると思うのだが。
それでも2022年度の日本の税収は71兆円で3年連続の過去最高、コロナ禍すら税収は過去最高を更新し続けたということになる。
誰のために仕事をしているのかわからない財務省
財務省OBによれば、この結果もあって「非常に頼もしい」と現在の財務省は評価が高いとされているようだ。もちろん評価は政府および財務省内の話だが、彼らは何のために、誰のために仕事をしているのか。
ともあれ、トリガー条項も、ガソリンに暫定税率分含め何重にもかけられた二重価格の解消も、税の軽減や撤廃も発表されることなく、来年4月以降も国民の税金を使った石油元売り会社に補助金が払われ続けることで調整に入った。
岸田首相は10月10日、物価高の対策や経済成長戦略に関して「明るい将来に向けて、国民へのメッセージ性の高いものにすることが肝要」と述べた。
岸田首相の言う「明るい将来」、それは国民にメッセージとして届いているのだろうか。