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安倍総理の志は死なない!!

岸田首相“親中に変節”か 人権法見送り報道、林外相の起用…怪しい「対中姿勢」 乱れる欧米各国との歩調 識者「弱い政治のシグナルに」

 岸田文雄政権の「対中姿勢」が怪しくなってきた。中国当局による香港やウイグルなどでの人権弾圧を念頭に、海外での人権侵害行為に制裁を科す「日本版マグニツキー法」の整備が検討されてきたが、岸田首相が当面見送る方針を固めたと報じられたのだ。第2次岸田内閣では、政界屈指の「親中派」である林芳正外相を起用した一方、法整備に積極的な中谷元(げん)元防衛相を「国際人権問題担当の首相補佐官」に登用してバランスをとったとされたが、まさか「親中・リベラル」に舵を切ったのか。

 「首相、人権侵害法見送りへ」「対中外交に選択の余地」
 共同通信は16日午後、このような見出しで、政府関係者が明かしたという「独自ダネ」を、次のように配信した。
 「岸田首相は『日本版マグニツキー法』の制定を当面見送る方針を固めた」「外為法など既存の法律を活用し、資産凍結や入国制限を可能とする方策を検討する」「対中外交の選択肢をより多く残しておく狙い」「新法制定で中国を過度に刺激するのを避ける」「岸田政権の姿勢に欧米各国の理解が得られるかも焦点」
 欧米各国はすでに、人権侵害に関与した外国当局者らに制裁を科す法律や制度を整備している。記事は、中国に配慮して、欧米との共同歩調から外れる-と読める。
 習近平国家主席率いる中国共産党政権による人権弾圧は極めて深刻だ。100万人以上のウイグル人が職業訓練センターを称する強制収容所に送られたとされる。チベット人やモンゴル人も人権侵害に苦しんでいる。香港からは「自由と民主主義」が消えた。
 岸田首相は、自民党総裁選で「日本版マグニツキー法」に賛成する姿勢を示し、「人権担当首相補佐官の設置」を目玉政策としていた。
 ところが、第2次内閣発足を受けた10日の記者会見では、新法制定について「超党派の議論も続いている」と明言を避けた。中谷氏も15日のBS日テレ番組で「(新法制定は)簡単にはいかない」と慎重な姿勢を示していた。
 中谷氏は4月に設立された「人権外交を超党派で考える議員連盟(人権外交議連)」の共同会長を務め、与野党の有志議員の中心的存在として「日本版マグニツキー法」の必要性を訴えてきた。
 今回の報道をどう見るか。
 中谷氏とともに人権外交議連を設立し、共同会長も務めた弁護士の菅野志桜里前衆院議員(旧姓・山尾)は「事実なら失望だ」といい、続けた。
 「岸田政権が、中谷氏を首相補佐官に登用したことで、欧米各国は『日本も人権外交に取り組む』と期待していた。今回、『当面見送り』という報道が出たことは大きな後退だ。今大切なのは、各国が連携して『あなたのしていることが人権侵害だ』と中国に声を上げ、行動を起こすこと。このままでは、『国際情勢の変化に対応できない日本』『外務省に飲み込まれる弱い政治』というシグナルになってしまう」
 6月中旬に閉会した通常国会で、中国当局による人権侵害行為の即時停止を求める国会決議案は採択が見送られた。これに対する反発が、菅義偉前政権への逆風につながった面もある。
 衆院選で勝利した岸田政権だが、「親中派」林外相の起用を含め、「対中姿勢」が変化したとすれば看過できない。
 人権外交議連の副会長を務める自民党の山田宏参院議員は「日本政府が示すべきは、中国の人権弾圧に対する『明確な姿勢』だ。欧米と共通する『自由』『民主』『人権』といった価値観に基づき、行動しなければならない。共同通信は『外為法など既存の法律を活用して…』と報じていたが、日本には『人権』で横軸を入れてペナルティーを科す法律はない。既存の法律での対応とは似て非なるものだ。中谷氏も補佐官になった以上、法整備に向けて努力してほしい」と強調した。
 米紙ワシントン・ポスト(電子版)は16日、ジョー・バイデン米政権が、中国の人権侵害を理由に、来年2月の北京冬季五輪に外交使節団を派遣しない「外交的ボイコット」を近く表明する見通しだと報じた。後手後手の日本とは温度差が生じるばかりだ。
 前出の菅野弁護士は「欧米各国は『中国も経済発展すれば民主化する』という認識を改めた。中谷氏には『日本版マグニツキー法』の必要性を主張し続けてほしい。林外相は『親中派』というレッテルを貼られているが、軌道修正して毅然(きぜん)とした対中政策をとれば国民からも評価されるはずだ。国会での対中非難決議と、北京五輪の『外交的ボイコット』についても、先送りにせずに検討して、実行してほしい」と語った。