Shinzo-Returns

安倍総理の志は死なない!!

準備は整った中国の台湾侵攻、日本も間違いなく戦場になる

 テレビのあるワイドショーで台湾に関するアンケート結果を公表していた。
 日本は「台湾有事に軍事的にかかわるべきか」という設問に対し、「関わるべき」が71%、「関わるべきでない」が18%、「どちらとも言えない」11%であった。
どこか他人事のメディア人
 筆者は大変驚いた。驚いたのはこの数字より、設問である。
「台湾有事」は好むと好まざるとにかかわらず、「日本有事」になる。軍事的常識があれば、沖縄、先島諸島は少なくとも戦場になることは分かるはずだ。
 フォークランド紛争、湾岸戦争、イラク戦争などからも容易に想像がつく。
 この設問を作った人は、台湾有事について日本が「軍事的にかかわらず」に済ませることができるとでも思っているのだろうか。
 コメンテーターが誰一人これを指摘しなかったことも問題だ。
 現代戦はサイバー戦、心理戦、世論戦などから始まるが、武力行使は制空権奪取から始まる。台湾から与那国島まで110キロしか離れておらず、戦闘機では7分もかからない。
 台湾で事が起きると、指呼の間にある日本の領土は否応なく戦場にならざるを得ない。
 このアンケートを企画した人は、平均的日本人だと思う。だが、台湾有事を「ベトナム戦争」の感覚で観ていることに驚いてしまう。
 またぞろ米国の戦争への「巻き込まれ論」の再生である。
沖縄県民140万人をどう守るのか
 軍事を教えてこなかった戦後教育のつけが、こんな形で出てきたのかもしれない。もし日本の政治家が、この程度の認識であれば恐ろしいことになる。
 国民の71%が「かかわるべき」と応えているが、設問にはおかしいと感じつつも「かかわらざるを得ない」と考えたのだろう。
 一般国民の方がよほど常識的な感覚を示している。少しホッとする。
 台湾有事という危機は日本にとって2つの深刻さがある。一つは先述のとおり、日本の領土、少なくとも南西諸島が戦場になるということだ。
 沖縄県民140万人の命をどのように守るのか、先島諸島に住む約10万人の国民をどのように安全に避難させるかなど喫緊の課題は山盛りである。
 2つ目は台湾が中国の手に落ちた時の深刻さである。
 もし台湾が中国に屈服し、中国海軍、空軍が台湾に常駐するようになれば、日本のシーレーンは容易に中国に押さえられる。
 貿易立国の日本、資源の大半を海外に依存する日本にとってシーレーンは生命線である。このシーレーンが押さえられれば、中国の属国に成り下がらざるを得なくなる。
 台湾有事は日本存亡の危機ともいえる。
習近平主席の本気度
 だからこそ、中国に対し台湾有事を起こさせないよう、外交はもとより、価値観を同じくする国が一致結束してハード、ソフトの「抑止力」を整えなければならないのだ。
 日本の最大の問題は、アンケートの設問にみられるように、台湾有事がどこか「対岸の火事」的感覚で捉えられていていることだ。
 危機に対する当事者意識が日本人にないこと、これが最大の危機である。
 2021年7月1日、中国共産党創建100年にあたり、習近平党総書記は「台湾問題を解決し、祖国の完全な統一を実現することは、党の歴史的な任務だ」と強調した。
 10月9日の辛亥革命110周年記念大会では、「祖国の完全な統一は必ず実現しなければならない歴史的任務であり、必ず実現できる」と述べた。
 11月16日(日本時間)に行われたオンライン米中首脳会談で、ジョー・バイデン大統領が「台湾海峡の平和と安定を損なう一方的な行動に反対」すると述べると、すかさず習近平氏は「台湾独立派がレッドラインを突破すれば、断固たる措置を取らざるを得ない」「火遊びする者は焼け死ぬ」と警告した。
 軍事的にみれば、この1~2年に台湾武力侵攻が可能なほど軍事力が十分整っているとは言い難い。
 ただ米国の参戦がなければ、明日でも台湾の空中、海上封鎖は可能である。
 現在、中国海軍艦艇数は約350隻、米海軍は293隻であり、世界最大の海軍の座は既に中国に奪われている。
台湾侵攻への法整備は整った
 台湾侵攻のための中国国内の法整備は既に整った。
 2010年に国防動員法、2015年には国家安全法が施行され、2017年には国家情報法およびサイバー・セキュリティー法、そして2021年には、改正国防法と海警法が施行された。
 主権や領土の保全に加えて、海外権益などを軍事力で守る方針を明記しており、軍民の総動員は可能になった。
 台湾の武力統一は起こるか否かではなく、いつ起こるかという段階にきている。
 日本人は危機を直視し、危機の未然防止のために、あらゆる手立てを尽くさねばならない。
「危機を未然に防止する者は決して英雄になれない」といわれる。英雄はいらないのだ。