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安倍総理の志は死なない!!

日韓間にも「中国人留学生のバイト代免税」と似た“不平等条約”が存在した

先日、「日本で働く中国人留学生のバイト代は免税されていたのが、撤廃の方向で調整が進んでいる」というニュースが注目を集めた。実はこのニュース、韓国でも大きな話題になっている。1980年代に中曽根内閣が締結した日中租税条約のように、日本にはそろそろ見直すべき“不平等条約“がいろいろある。(ビジネスライター 羽田真代)
「中国人留学生のアルバイト代免税撤廃」
が韓国でも話題に

 産経新聞が「<独自>中国人留学生のバイト給与の免税撤廃へ」(2022年6月25日)という記事を出した。このタイトルの通り、現在、中国人留学生が日本で稼いだアルバイト代には上限なしで免税措置が取られている。
 この記事は日本だけでなく、日本のもうひとつの隣国、韓国でも話題になった。報道を受けて「中国だけでなく、自国も含まれるのでは……」と思った人がいたのだ。
 日本と韓国の間には「日韓租税条約」が締結されている。そこで、今回はその条約の内容と現在の状況、また、その他に抱える日本の問題について見ていきたいと思う。
1983年に締結した日中租税条約は
そろそろ見直すべきだ

 日本政府が検討に入ったのは、1983年に締結された日中租税条約の改正だ。この条約では「教育を受けるために日本に滞在する中国人留学生が生計や教育のために得る給与を免税扱いにする」と定められている。
 この条約の内容を見直して「滞在国で課税を受ける」という近年の国際標準に合わせる方向で調整が始まった。ただし、これはあくまでも検討段階で、いつから適応されるか、本当に改正されるのか現時点では不明だ。岸田政権による、参議院選挙のためのアピールかもしれない。
 租税条約の見直しを政府に訴えかけたのは、自民党の小野田紀美氏だ。国会で「上限なく所得税がかからないのは中国だけだ」「世界のスタンダードに合わせるべきだ。日本人の学生を大切にすべきだ」と主張した。
 産経新聞の報道が出てから小野田氏は、自身のTwitterで「ひとつひとつ、当たり前になっていたおかしいことは直していかなければなりません。この件を指摘した者として、しっかり注視して参ります」とコメントを出した。若手議員が日本に不利な条約を撤廃しようとしている。
靖国問題が始まったのも、
第1次中曽根内閣のとき

 日中租税条約が締結された1983年と言えば、第1次中曽根内閣の時だ。中曽根元首相は、日中関係の土台を固めた政治家として中国で認識されている。彼は中国政府の反発を受け、靖国神社への参拝を取りやめた人物でもある。政治家の靖国参拝が外交問題化するきっかけを作った張本人で、彼がこの時、中国からの反発を受け入れていなかったら、40年もの間日本はこの問題に頭を悩まされることはなかっただろう。
 ついでに言うと、韓国との関係も中曽根内閣時代に改善された。彼は1983年に韓国を訪れて第一次歴史教科書検定問題(※)に決着をつけるとともに、「日韓新時代」を宣言した人物だ。また、韓国に対して40億ドルの円借款の供与まで行った。
※高校の歴史教科書において文部省(当時)が、中国華北地域への「侵略」を「進出」と書き換えさせたとする産経新聞グループの誤報があり、これをきっかけに韓国で大規模な反日デモが繰り広げられた。
 時代が異なるので一概には言えないが、同じ自民党議員であっても中曽根元首相と小野田議員とでは政策方針が全く異なる。一方は中・韓に擦り寄った外交をし、一方はこれらの国家に対して特別措置をやめるべきだと国会で奮闘している。
日韓間は、留学生のバイト代は5年間、
年間2万ドル以内は課税されない

 前置きが長くなった。日本政府が中国人留学生アルバイト給与の免税を撤廃する方向で調整を進めるという報道を受けて、韓国のメディアは一斉に「日本、中国留学生のアルバイト給与免税廃止を検討……韓国留学生も?」と、産経新聞の記事を引用報道した。
 日本と韓国の間には「日韓租税条約」が存在する。「当該交付金、奨学金及び勤務による報酬の額の合計が年間2万合衆国ドル又は日本円若しくは韓国ウォンによるその相当額を超えない場合には、当該一方の締約国において租税を免除される。ただし、その者は、いかなる場合にも、継続する5年を超える期間当該免除を受けることはできない」という内容だ。
 日本では、地方入国管理局で「資格外活動許可」さえ取得すれば、外国人留学生はいつでもアルバイトを始めることができる。だが、韓国に日本人が長期留学に行った場合、6カ月以上修学してからでないと「資格外活動許可」の申請ができないことになっている。
 また、日本では最大週28時間(長期休み中は1日8時間以内、上限週40時間)働けるのに対し、韓国は平日基準で週20時間以内(土日・長期休み中は無制限)と、それぞれに与えられる条件にも差がある。
 日本では、外国人観光客の多い都市を中心に韓国人アルバイトの姿をよく見かける。最近では田舎のコンビニでも見かけるようになった。一方、韓国では日本人アルバイトを見かけることはまれだ。一部の日本料理店で働いている人がいるくらいで、長年ソウルに暮らしている筆者でも、コンビニやカフェで勤務する日本人留学生の姿を見たことがない。
 そもそも、日本に来る韓国人留学生の数が1万8338人(2019年5月1日時点/日本学生支援機構)なのに対して、韓国に行く日本人留学生は2662人(2018年12月時点/韓国法務部)しかいないのだから、筆者が日本では韓国人アルバイトをよく見かけると感じるのは当然かもしれない。
日本は外国人留学生の受け入れに
年間180億円以上使っている

 小野田議員は、バイト給与の免税問題以外にもさまざまな問題について国会で疑問を投げかけている。そのうちの一つが「国費外国人留学生制度」問題だ。
 この制度は、日本と世界各国相互の教育水準を向上させるとともに、相互理解、国際協力の推進に貢献することを目的に1954年(吉田茂内閣)に創設された。聞くところによると、外国人留学生の受け入れに年間180億円以上もの税金を使っているという。筆者と面識のあった韓国人学生の中にも、かつてこの制度を利用して日本に留学したという人が何人もいた。
 2018年に文部省から出された資料によると、1位:中国(1018人/10.8%)、2位:インドネシア(897人/9.5%)、3位:タイ(723人/7.7%)、4位:ベトナム(660人/7.0%)、5位:韓国(573人/6.1%)といった具合だ。
 小野田議員が国会でこの問題を取り上げて以降、日本のSNSでこの問題が話題になっている。だから、日本人学生に税金を使わず、外国人留学生に多額の税金が投じられていたという事実をご存じの方も少なくないだろう。
 上位5位の国家には反日運動や領土侵犯をする国が含まれている。日本人の血税がこのような国からやってくる外国人に使われていいはずがない。筆者は小野田議員と何の面識もないし、地元選挙区でもないが、日本を守るためにこれからも国会で奮闘していただきたいと思う。
韓国で働いた日本人が帰国しても、
年金の掛け金は返してもらえない

 最後に、小野田議員の主張に加えて、もう一つ問題があるのでご紹介したい。それは年金問題だ。
 日本で就業していた韓国人が母国に帰国する際には、日本から該当韓国人へ年金の掛け金が返還されるのに対し、その逆はない。日本人が韓国の職場を辞めて完全帰国しても、韓国からは1ウォンも返還されることがないのだ。これは不公平だろう。
 海外に居住していれば就業の事実があってもなくても、日本の国民年金基金は合算対象期間(カラ期間)として見てくれるが、海外で支払った額は当然のことながら年金額に反映されない。
 韓国側が掛け金を返還しないのであれば、日本側も即座に返還をやめるべきだろう。日本で働く韓国人の年金掛け金を合算したところで金額は微々たるものだが、それでも日本人の年金受給額に少しは反映できる。
 日本には、小野田議員の言う「当たり前になっていたおかしいこと」がまだまだたくさんある。こうした問題に言及できる若い議員が出てきたのは、日本の未来のためによいことだと筆者は思っている。