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安倍総理の志は死なない!!

国葬に反対した人たちのご都合主義 大阪文化部長・酒井充

© 産経新聞 多くの参列者が集まった安倍晋三元首相の国葬会場=27日午後、東京都千代田区の日本武道館
平成29年1月14日、首相だった安倍晋三氏はオーストラリアのシドニー湾を見下ろす首相公邸の庭でターンブル首相(当時)と共同記者発表に臨んだ。直前の会談で「自由で開かれたインド太平洋」の推進などで一致したと述べる安倍氏を見つめるターンブル氏の表情は、同行記者から見ても本当にうれしそうだった。豪政府は中国寄りとの懸念があったが、日米印とクアッドを構成する重要な国となっている。
そのターンブル氏が9月の安倍氏の国葬(国葬儀)に参列した。同国からはアルバニージー首相、ハワード、アボット両元首相も駆け付けた。共産党の志位和夫委員長によれば、安倍政権は「戦後最悪の政権」だという。国葬で弔意を示した218の国・地域・国際機関も「最悪」なのだろうか。
志位氏は国葬反対の理由の一つに「国民多数が反対」を挙げた。5月の憲法記念日にあわせた主要紙の世論調査は全て「憲法改正が必要(賛成)」が「必要ない(反対)」を上回った。それでも共産は改憲に反対する。
国葬に反対した人たちは「法的根拠がない」とも訴えた。明記した法律はないが、国葬を想定した規定はある。根拠が「弱い」ならともかく「ない」は言い過ぎだ。国費投入も国会審議もしかり。反対派は税金を使う「内閣・自民党合同葬」でも反対し、国会審議を経ても反対と訴え続けただろう。
27年成立の安全保障関連法に際し、内閣法制局は従来の憲法解釈を変更し、集団的自衛権の行使を容認した。法制局の見解は本来、時代にあわせ変遷しうるものだが、同法の反対派は安倍政権が見解をねじ曲げさせたと訴えた。その法制局は国葬に「問題なし」とお墨付きを与えた。法制局の見解が大好きであろう国葬反対派から、この点への言及はあまり見られない。
「市民」が各地で行った国葬への予算執行停止などを求める仮処分の申し立ては、各裁判所に全て退けられた。国葬にお墨付きを与えた形だが、反対派からは、なお違法だとの声が上がる。
国葬反対のデモは原発反対、安保関連法反対と同じ光景に映った。彼らは岸田文雄政権が分断を招いたというが、政府の方針を理解するつもりがない人たちの主張が国葬を機に可視化、増幅されただけではないか。国葬への反対は自由だが、礼節をわきまえずに故人に罵詈(ばり)雑言を浴びせ、論理矛盾を展開することからは何も生まれない。