Shinzo-Returns

安倍総理の志は死なない!!

世界は原子力発電なしでネットゼロエミッションを実現できない

私たちに必要なのはソーラーパワーだけと信じる集団は常に存在している。私はこの人たちを「数学をやらなかった人たち」と考えるようにしている。彼らは「ソーラーは原子力より安い」というような定性的な反応を山ほどよこし、ソーラー発電は驚くべき速さで成長しているというデータを挙げる。
ソーラーが急速に伸びているのは本当だ。実際、私はそのことについて何度も書いている。遡って2007年、私は「The Future is Solar(未来はソーラー)」という記事を書いた。以来、何十回とこの話題に関する記事を書いてきた。しかし、ソーラー擁護派の中には、原子力は必要ないと私を説得しようとする人たちが必ずいる。私がすでに知っている事実ばかりを挙げて。
前回の私の記事をきっかけにしてTwitter(ツイッター)で勃発した議論への反応を1つ見てみよう。ジガー・シャーは米国エネルギー省融資プログラム局のディレクターだ。彼は初期の成功したソーラー会社の1つであるSunEdisonの創業者でもある。ジガー以上のクリーン・テクノロジー支持者はいない。しかし彼はソーラーだけではできないことを知っていて、そうでないという誰かにツイートで反論した。
ジガーは、ソーラーの成長は速いが、十分速くはないと指摘する。そこには原子力が埋めるべき穴がある。「あらゆるモデルがそれを示しています」と。
事実、国際エネルギー機関はそれを知っていて、2050年までにネットゼロ・エネルギーを達成するためには、世界の原子力発電出力を2倍にする必要があると推測している。
それが、数字を詳しく見ている人とそうでない人との違いだ。そして、多くの環境組織や擁護派が、もし原子力を早く増やさなければ世界は石炭を燃やし続けることになるという結論に達した理由だ。
私だって再生可能エネルギーが全部できればいいと思っている。しかし、世界最大の再生可能エネルギー市場は、間違いなくそう思っていない。
中国は近年、どこの国よりも多くのソーラー電力を展開してきた。2021年、中国のソーラー出力は66テラワット時(TWh)増加した。これはソーラー電力の全世界における増加の35%に相当する。中国の年間総ソーラー電力327TWhは、世界第2位である米国の2倍だ。
しかし、それでも中国は新しい石炭火力発電所と新しい原子力発電所の建設を止めていない。中国の石炭消費量は過去20年で2倍以上に増えている。この国は世界石炭消費の53.8%を占めており、昨年中国は石炭消費量の新記録を打ち立てた。
中国は、自国があれだけ急速に増やしているソーラー電力であっても、それだけでは賄えないことを認識している。中国の原子力発電が着実に成長しているのはそのためだ。過去10年、中国の原子力発電出力の平均年間成長率は16.7%だった。イランを除くどの国よりも高い。その間、中国の原子力発電量は320 TWh増加し、今も21基の原子炉を建設中だ。
世界の原子力発電消費量は過去10年に148TWh増えた。これは中国以外ではこの期間に消費が減ったことを意味している。
どこで原子力発電が伸びているのか? 過去10年間に原子力発電が最速で成長した10カ国を以下のとおりだ。
1. イラン 41.9%(2011~2021年の平均年間成長率)
2. 中国 16.7%
3. パキスタン 14.9%
4. アルゼンチン 5.4%
5. インド 3.1%
6. ロシア 2.5%
7. メキシコ 1.7%
8. チェコ 0.8%
9. ベルギー 0.5%
10. スロバキア 0.2%
全世界の成長率はわずか0.5%だ。米国は今も世界第2位の原子力発電市場であり、世界の29%のシェアを持っているが、過去10年間の原子力発電出力は年間平均0.2%減っている。EUの減少はさらに大きく年間1.3%だ。
EU全体では、主要エネルギー消費の11%を原子力発電に依存している。米国ではその数字は8.0%だ(これは全エネルギー消費に対する割合)。対して、アジア太平洋という、世界の炭素排出量の大半に寄与している地域では、主要エネルギー消費に対する原子力発電の依存率はわずか2.4%だ。
果たしてアジア太平洋地域は、大量の新たなエネルギー需要に応える再生可能エネルギーを開発し続けることはできるか? この地域における総エネルギー需要の急成長ぶりを踏まえると、再生可能エネルギーだけで需要を賄うことは考えにくい。これは、近年これらの国々における化石燃料消費が大幅に増加したことを意味している。
途上地域の原子力発電が増えれば、二酸化炭素排出量を急増させることなく、そこの国々の成長するエネルギー需要に応えることができる。しかし、そのために世界は安全な原子炉の設計と、効果的な廃棄物処理の方法と、今以上の政治的支援を必要としている。
安全な原子力発電技術に関して私がエネルギー省キャサリン・ハフ博士と話した記事はこちら。
「原子力発電の安全な未来を確保する方法」を米エネルギー省の博士に聞く」
(forbes.com 原文)