Shinzo-Returns

安倍総理の志は死なない!!

一退一路w

19日も続く中国共産党大会で異例の続投が確実視されている習近平国家主席。しかし、インド洋の島国・スリランカを取材すると習主席肝いりの「一帯一路」が、曲がり角にさしかかっている現状が浮かび上がってきました。
    ◇
スリランカの最大都市・コロンボには、中国の融資で建設されたという巨大な電波塔がそびえ立っていました。肝心の放送設備はまだですが、先月、展望台がオープンしました。
その展望台から市内を眺めると、見えたのは海岸で行われている大規模な埋め立て工事です。中国が主導する「ポートシティ」計画で、シンガポールやドバイのような金融都市を目指す巨大プロジェクトです。2014年に習近平国家主席が自ら起工式に足を運ぶなど、肝いりとされるこの計画。中国企業が土地の4割の借地権を得た上で、約20年後の完成を目指し工事が進んでいます。
中国が遠く離れたスリランカでこのような計画に力をいれるのには、中国が推し進めるアジアからヨーロッパまでを陸と海で結ぶとする巨大経済圏構想「一帯一路」が関係しています。インド洋のスリランカはその海路の要衝で、中国としては構想の実現に必要不可欠な場所に位置しているのです。
習主席はその「一帯一路」について、共産党大会でも16日、言及しました。
習近平国家主席
「一帯一路は、広く歓迎される国際公共財と国際協力プラットホームとなった」
“各国で受け入れられている”とその成果を強調しました。
     ◇
しかし、スリランカは今年、新型コロナウイルスによる観光収入の激減もあり、中国などへの債務の返済が滞って経済が破綻。物価も上昇し、政府に対する市民の怒りが爆発しました。
さらに、スリランカをめぐっては、中国の“ワナ”にはまったとの指摘もあります。
南部にあるハンバントタ港では中国から受けた融資が返済できず、運営権を99年間、中国に譲渡する事態になりました。融資が焦げ付きインフラの権利などを渡す、いわゆる中国の“債務のワナ”です。今年8月には中国軍の調査船が入港し、将来的な軍事利用への懸念も広がっています。
ハンバントタのインフラ事業はこれにとどまりません。
中国の融資で作られたマッタラ・ラジャパクサ国際空港は現在、定期便はなく、“世界一ガラガラな空港”とも言われています。ハンバントタでは、採算度外視で数々の箱物が作られましたが、街の発展にはつながらず住民は貧しいままです。
ハンバントタにあるソーリヤウェワ村は、医師グループの調査で子どもの実に8割が栄養失調だったといいます。
3人の子どもがいる家を訪ねると、料理にはガスの代わりにまきを使っていました。建築業の夫は、空港の工事には参加したものの、その後、仕事は増えず、経済危機で暮らしはより厳しくなったといいます。
村で暮らす3人の子どもの母親(39)
「昔は、週に2、3回はお肉を食べられましたが、いまは週に1回か2週間に1回食べられるかどうかです」
子どもの文房具を買うために、食事の量を減らすこともあるといいます。
港の隣に住んでいるというハンバントタの市長は…
ハンバントタの市長
「港や空港などのプロジェクトは間違っていました。この地域にはふさわしくありません。住民の利益にもなっていないのです」
こうした中、スリランカの対中姿勢に変化も出てきています。
今年7月に就任したウィクラマシンハ大統領は、脱中国依存のため日本との関係強化を進めています。約300億ドル(=約4兆4700億円)に上る対外債務の返済についても、日本に協議の主導を依頼しています。
一帯一路が生み出したきしみ…。中国の対応に注目が集まっています。