Shinzo-Returns

安倍総理の志は死なない!!

岸田総理の「ガソリン補助金」は本当に公平なのか…1リットルあたり約40円が税金!

「総合経済対策」の中身を検証
物価高と円安に対応するために、政府は10月下旬、「総合経済対策」を取りまとめた。令和4年度第2次補正予算案として11月中旬に臨時国会に提出され、成立する予定である。
対策の柱は、(1)物価高騰・賃上げへの取り組み、(2)円安を活かした地域の「稼ぐ力」の回復・強化、(3)「新しい資本主義」の加速、(4)国民の安全・安心の確保の4つとされている。
最大の目玉は(1)で、従来のガソリン価格上昇の抑制のほか、エネルギー価格高騰の対策として、電気料金やガス料金などの値上がりに対する負担軽減策も講じるという。今回の総合経済対策の予算規模は概ね29兆円にのぼるが、その大半は国債発行で賄うことになっている。
言うまでもなく、日本経済再生のためには巨額の補正予算が必要だ。しかし、その中身が効果的かつ公平なものになっているのかという点では、疑問符がつく。
筆者が特に問題が大きいと考えているのは、「ガソリン価格抑制」である。正式名称は「燃料油価格激変緩和対策事業」という政策で、今年1月下旬からスタートしていたものだ。これまで期限を3度も延長しており、政府もつい最近まで「この補助制度の延長は12月末まで」と説明してきた。ところが今回、補助制度を来年1月以降も続け、9月まで延長することに決めたのだ。
一度始めたら止められない
しかし政府は、この対策のコストの大きさを国民に対し十分に説明してこなかった。2月頃の時点ではガソリンの補助金は1リットル当たり5円程度で徐々に縮小していく方針だったが、3月上旬、4月下旬に補助が拡充された。今やガソリンの価格は本来1リットル210円だが、税金から40円弱の補助をつけることで、約170円に価格を抑制している。
補助が増えていくことで、当然、コストも膨らんでいく。今年12月末までに措置する予算額は合計3兆円を超えており、一日平均90億円もの公費を投入してきたことになる。そのうえ、ここ最近では一日平均100億円がガソリン価格抑制のために投じられるようになっている。
この補助制度を来年1月から9月まで延長すれば、さらに約2.7兆円を投入することになる。このほか、電気料金の抑制でもすでに2兆円程度の公費を投入予定で、防衛費に匹敵する巨額な予算を、エネルギー価格高騰対策に投下していることになるのだ。
ガソリンの価格抑制は、一度始めてしまったら止められなくなる政策の典型だ。ガソリン価格がこのまま高止まりすれば、際限なく補助金を出し続けざるをえない。もし補助を打ち切れば国民から不満の声が上がるのは確実だからだ。支持率低下を何よりも恐れる岸田文雄政権にとっては、命とりになりかねない。
だが、よく考えてほしい。巨額の補助金を支給されるのは石油元売り会社であり、ガソリンを使用しない人々が受けられる恩恵は小さい。しかし免許を返納した人や、そもそも車に乗らない人が納める税金も、膨らみ続けるガソリン補助金に費やされている。
巨額の補正予算をつけるのはいいが、それらは回り回って国民の負担となる。本当に効率的な対策なのか、熟議を尽くす必要があるだろう。