Shinzo-Returns

安倍総理の志は死なない!!

戦うことは「悪」ですか 自衛隊の最重要任務は「国防」 常備自衛官の災害派遣によって訓練機会が喪失、鳥インフル対応などは予備自衛官で代替できないか

世間の耳目が新型コロナウイルスに集まる陰で、高病原性鳥インフルエンザが猛威を振るっている。この影響で、すでに鶏肉や卵の価格が高騰している。

千葉県の要請を受けて、鳥の殺処分を行う自衛隊員ら=同県旭市(陸自第1空挺団のツイッターから)© zakzak 提供
農水省によると、今シーズンは過去最速の10月28日に国内1例目が報告されて以来、1月26日時点で、1道24県の養鶏場で66事例が確認された。殺処分の対象になった鶏などは約1180万羽に上る。これは過去最高だった2年前を上回るペースだが、事の重大さの割に報道が少ないように思えてならない。
殺処分のために自衛隊が災害派遣されていることは、ご存じだろうか。大規模なところでは、昨年12月中旬に青森県三沢市の養鶏場で約140万羽中、約70万羽を、今年1月上旬には新潟県村上市で約130万羽中、約43万羽を自衛隊が処分している。
統合幕僚監部のHPで確認できるだけでも、20カ所に迫る養鶏場に、約3500人の自衛官が派遣されている。
国家、国民の危機に際して自衛隊が支援すること自体を否定する気はない。が、東日本大震災以降、地震、台風、豪雨、大雪、山林火災、豚熱、そして鳥インフルなどの対応に加えて急患輸送など、多岐にわたる災害派遣が繰り返され、その数は年間で380件を超える(2021年度)。
いうまでもなく、自衛隊の最重要任務は「国防」だ。まもなく1年を迎えるロシアのウクライナ侵攻で、ある日突然平和は破られ、殺戮(さつりく)が始まることを私たちは目の当たりにした。
本来、自衛隊は、そのようなときに備えて、日々錬磨しておかなければならない。頻発する災害派遣によって訓練時間が削られるばかりか、隊員ひとりが一日動員されるコストを試算すると、自衛官の平均日給約2万円に災害派遣手当、携行食、必要な装備品、輸送費などの実費が加わる。訓練機会の損失も加味すれば、コストはさらに増大する。こうした現実にも、真摯(しんし)に目を向ける必要があるのではないか。
災害派遣の3要件は「公共性」「緊急性」「非代替性」である。その派遣は、本当に常備自衛官でなければならないのか。
例えば、鳥インフル対応などは予備自衛官で代替できないか。基本的に年5日間の訓練しかない予備自衛官にとって、指揮系統に基づき組織的に活動する実任務の場は、有事に備えるという意味でも格好のOJT(実地訓練)になる。
また、予備自衛官を招集して運用する自衛隊側も、予備自衛官を雇用している企業への連絡体制や人員把握の観点で有益であろう。熱意をもって任に着く予備自衛官たちを直接知る身としても、前向きな活用の検討を望みたい。 (防人と歩む会会長)