Shinzo-Returns

安倍総理の志は死なない!!

「主権侵害」中国スパイ気球 日本も撃墜の準備を 仙台上空、3年前目撃の飛行体と酷似「残骸について日米で情報共有を」自民・和田議員

米国で撃墜された中国の「偵察気球(スパイ気球)」をめぐって、日本でも波紋が広がっている。今回の気球が、中国本土から九州や四国上空付近を通過して北米大陸に向かったとする米国の調査が報じられたうえ、数年前に日本上空に出現した白い球体についても議論が再燃しているのだ。中国が、自衛隊や在日米軍の防衛体制をチェックするために、ひそかに日本領土上空でスパイ気球を飛ばしていたとすれば、「主権侵害であり国際法違反」と言うしかない。岸田文雄政権は、撃墜を含めた毅然(きぜん)と対応をとれるのか。

「(海上で撃墜したことで)気球の機密情報を集められるようになった」「米領空を飛行させて国際法を守らない中国とは異なり、米国は自国領空で撃墜しており国際法を順守している」
米国家安全保障会議(NSC)のジョン・カービー戦略広報調整官は6日のオンライン記者会見で、スパイ気球の残骸を回収したことを明らかにしたうえで、「撃墜が遅過ぎた」という批判に、こう反論した。
米海軍と沿岸警備隊は4日から南部サウスカロライナ州沖の領海に複数の艦船を派遣し、スパイ気球の残骸回収作業を始めた。残骸は周辺約11キロの海域に散らばり、一部は海上に漂っていたという。今後、米軍と連邦捜査局(FBI)が連携して解析を急ぐ。
スパイ気球は、日本も人ごとではない。
英BBC(日本語版)は4日、米国の気象学者が気流の移動モデルをもとにシミュレーションした、中国から米本土に至る気球の通過経路を報じている。図表を見ると、日本の九州や四国の上空を通過して、太平洋に出て、米アラスカ州から北米大陸に入るコースが記されているのだ。日本の防衛当局はスパイ気球の通過に気付かなかったのか。
2、3年前、日本上空で同様の白い球体が目撃された件をめぐっても、議論が再燃している。
2020年6月17日、仙台市や福島県の上空で、白い球体に十字状の物がぶら下がり、プロペラのようなものがついた飛行体が目撃された。同様の白い球体は21年9月にも青森県八戸市の上空で目撃されている。
磯崎仁彦官房副長官は6日の記者会見で、「わが国上空で飛行物体が目撃されたことは承知している」「米国の事案との関連性も含め、引き続き分析を進めている」と語った。
宮城県の村井嘉浩知事も6日の定例記者会見で、米国で撃墜されたスパイ気球と、仙台上空などで目撃された飛行体について、「似ていると言われれば似ている」「しっかり追尾して、正体不明であればどういうものか調べることは必要」と指摘した。
「安全保障上の脅威」を指摘する声もある。
仙台市の近くには、空自のアクロバットチーム「ブルーインパルス」の本拠地である松島基地(宮城県東松島市)などがあり、青森県八戸市の近くには、航空自衛隊と在日米軍が共同使用する三沢基地(同県三沢市)がある。この地域には安全保障上、重要な施設が集中しているのだ。
宮城県に地盤を持ち、安全保障問題にも詳しい自民党の和田政宗参院議員は「今回、米国の対応を受けて、日本でも『中国のスパイ気球飛来疑惑』が浮上しているが、日本は本来、3年前に正体を突き止めるべきだった。もし、スパイ気球だったなら、自衛隊や米軍の基地など情報が取得されたり、日本の危機対応の手の内を探られた懸念がある。生物・化学兵器などを搭載できる可能性もある」と指摘する。
確かに、日米間の対応の差は明白だ。
20年6月17日に目撃された白い球体について、当時の河野太郎防衛相は同19日の記者会見で、「24時間365日、レーダー、その他で警戒監視を続けております」と回答。同23日の記者会見では、球体の行方を聞かれて、「どこに行ったか定かではございません」とし、「日本に戻ってくる可能性はないのか」と問われると、「気球に聞いてください」と答えた。
一方、米本土でスパイ気球が確認された直後の1日、ロイド・オースティン国防長官は米軍高官と対応を協議したほか、撃墜に備えて最新鋭ステルス戦闘機「F22ラプター」を待機させた。
前出の磯崎氏は会見で、「外国の気球であっても、わが国の許可なく上空に侵入すれば領空侵犯となる。必要な場合には(自衛隊機の)緊急発進(スクランブル)を含めた措置を取ることは当然だ」と強調した。
ただ、スパイ気球を撃墜するには、自衛隊法の武器使用の規定(=正当防衛や緊急避難の場合に限り認められる)がハードルとなりそうだ。
和田氏は「日本も3年前、太平洋上に抜けた時点で落としたり、回収するような手段をとれなかったのか、再検証すべきだ。日本で過去に目撃された球体の映像と、米本土で目撃されたスパイ気球の映像を徹底比較し、米国領海で回収された残骸についても日米で情報共有すべきだろう。再度、球体が飛来した場合に備え、防衛省・自衛隊にも対処要領の策定を求めたい。場合によって、日本領海上空で撃墜できるような防衛体制も必要になる」と力を込めた。