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安倍総理の志は死なない!!

中国軍の「気球部隊」、中南米・東南アジア・欧州でも…米高官が指摘

 【ワシントン=蒔田一彦】米国は、大西洋上で4日に撃墜した中国の偵察用気球について、中国軍の指揮下にある「気球部隊」の活動の一環だとみている。撃墜した気球の搭載機器などを回収・分析し、実態解明を図る考えだ。ただ、気球が米本土を横断するまで撃墜を見送ったバイデン政権の対応には、国内で批判が上がっている。

米サウスカロライナ州沖の上空を漂う気球の残骸。戦闘機と飛行機雲も確認された=4日、AP© 読売新聞
 「この偵察用気球は意図的に米国とカナダを横断した。軍事拠点を監視しようとしていたと確信している」。米国防総省高官は撃墜後、記者団に対し、こう説明した。中国側は、気球が気象観測などを目的とした民間のもので、偏西風によって航路を外れ、米国の上空に入ったと主張したが、高官は「ウソだ」と言い切った。
 高官によると、米上空を飛行した中国の偵察用気球は、少なくともトランプ前政権時に3回、バイデン政権初期に1回確認されていたという。国防総省は3日、別の中国の偵察用気球が、中南米を飛行しているとも発表した。これらの気球について高官は、「監視任務を行うために開発された中国の気球部隊の一部だ」とし、「このような活動はたいてい中国軍の指示で行われる」と指摘した。同様の気球は近年、東アジアや南アジア、欧州などでも確認されているとし、「中国が米国や他国の主権を侵害することは容認できない」と非難した。
 国防総省は、気球が米上空を飛行中にも気球の性能や情報収集能力を調査してきたが、残骸を回収して連邦捜査局(FBI)などと共に、更に詳細な分析を行うことにしている。残骸は広範囲に散らばっているものの、主要部分は想定よりも水深の浅い位置にあるという。米軍高官は「回収作業は比較的短期間になる」との見通しを示した。
 バイデン政権は、残骸が地上に落下して被害が出ることを防ぐため、気球が海上に出るまで撃墜を見送った。その結果、気球は約1週間、北米上空を飛び続けた。野党・共和党のティム・スコット上院議員は4日、「気球は米本土を横断した後ではなく、その前に撃墜されるべきだった」とツイッターに投稿し、政権の対応を批判した。
 米中は対話を通じて緊張を管理する外交方針は変えず、問題の早期収拾を図るとみられる。米国は3日に延期を発表したブリンケン国務長官の訪中も早期に実現させたい構えだ。しかし、対中警戒論が強まる中で、対話の機運が再び高まるかどうかは不透明だ。
 中国国防省は5日、報道官談話を発表し、気球撃墜について、「我々は同様の状況で必要な措置を講じる権利を有する」と反発したが、中国政府関係者によると、習近平(シージンピン)政権内では「火に油を注ぐ対応をとれば、米国がさらに団結して対抗してくる」との警戒感が出ている。