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安倍総理の志は死なない!!

捕鯨文化担う新母船の建造開始、南極海まで航行可能…EEZ外での操業は見通せず

 世界で唯一、母船を中心とした船団を組んで大型の鯨を捕獲する母船式捕鯨を行っている捕鯨会社「共同船舶」(東京)は10日、山口県下関市で新母船の建造を始めた。現在の母船の老朽化が理由で、関係者には、多くの鯨を捕っている母船式の維持が日本の捕鯨を守ることにつながるとの思いがある。ただ、日本の排他的経済水域(EEZ)外での遠洋操業の見通しが立たないなど課題もある。(今泉遼、受田至弘)

(写真:読売新聞)© 読売新聞
■新母船は南極海まで航行可能
 「新母船を造らないと捕鯨文化を次の世代に伝えていけない」。この日、契約先の旭洋造船本社(下関市)で安全祈願祭が開かれた後、共同船舶の所英樹社長(68)は記者会見で強調した。
 捕鯨母船は小型船が捕獲した鯨を積んで解体し、鯨肉を冷凍する役割を持つ。同社が所有する日新丸(全長130メートル、幅20メートル、8145トン)は建造から約35年が経過している。
 新母船は全長113メートル、幅21メートル、9100トン。航海日数60日、航続距離は1万3000キロ・メートルになる。現在はEEZ内でしか操業していないが、南極海まで航行可能だ。コンテナ式の保冷設備や鯨を探索するドローン用のデッキなど最新設備も備える。建造費は約60億円。来年3月に完成予定だ。
■日本だけが母船式捕鯨を存続
 現在、日本の捕鯨方式には2種類あり、小型船が日帰りで漁に出る「沿岸捕鯨方式」ではミンククジラを捕っている。ただ、近年は捕獲枠上限まで捕りきれていない状況が続いている。
 一方、母船式は近年、より大きいニタリクジラ、イワシクジラを捕獲枠いっぱいまで捕っている。母船がなくなれば、この2種は捕獲できなくなる可能性が高く、捕鯨や鯨の食文化が消滅しかねないとの危機感が関係者にはある。母船式捕鯨は1920年代にノルウェーが始め、各国も続いた。だが、資源量枯渇を不安視する国際世論が高まり、徐々に衰退した。
 日本は87年から頭数などを調べる調査捕鯨を南極海などで行い、母船式が存続した。2019年には国際捕鯨委員会(IWC)を脱退。商業捕鯨再開に踏み切り、日本のみが母船式を続けている。
■日本の食料安保に寄与
 水産庁は、新母船建造に補助はしないが、それでも、共同船舶は自社での新母船建造を決断した。所社長は建造の理由に、「日本の食料安全保障に寄与したい。食料危機時に役に立てると思い、南極海に行ける設計にした」と付け加えた。
 ただ、政府内には、米豪など反捕鯨国の反発を回避する必要があるとの考えが強く、EEZ外での操業は見通しが立っていない。
 東海大の大久保彩子准教授(海洋政策論)は「EEZ内の沖合で捕鯨を続けていくためにも新母船は必要。政府は国際法との整合性を取りながら、安定的に捕鯨ができる環境を整備していく責任がある」と指摘する。
■母港化へ、下関市が建造に3億円を助成
 近代捕鯨発祥の地とされる山口県下関市では新母船建造を機に、船団の母港化を目指している。市は建造を支援するため総額3億円を共同船舶に助成する。
 前田晋太郎市長は今月6日の定例記者会見で「建造は以前からの悲願だった。鯨の食文化が広く市民、国民に浸透することを願う」と語った。同社の所社長は10日の会見で「船籍を下関にすることで固定資産税などが下関に落ちるようにする。メンテナンスまで任せることになれば本当の母港化になる」と前向きに協議を続ける考えを示した。同社は新母船の命名権を同市に譲渡することを申し入れており、市は昨年11月~今年1月に公募。約2000件の応募があり、選考を経て3月に発表予定だ。


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