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中国スパイ気球「日本は態勢を整えよ」〝ヒゲの隊長〟佐藤正久氏が指摘 撃墜は困難か 自衛隊を含めた省庁横断的な体制構築が急務

米国が、中国の「偵察気球(スパイ気球)」を撃墜した問題は、日本に新たな〝脅威〟を突き付けた。今回の気球が、日本上空付近を通過して北米大陸に向かったとする調査が報じられたうえ、過去に日本上空でも類似の気球が目撃されているからだ。日本は危機に対処できるのか。「ヒゲの隊長」こと、自衛隊OBで自民党の佐藤正久元外務副大臣に聞いた。

佐藤氏は中国の新たな脅威への対処を訴えた© zakzak 提供

「スパイ気球は、中国の『非対象戦(=戦略や戦術が大幅に異なる戦争)』だ。これまで盲点だった領域で、新たな攻勢を仕掛けてきた」
佐藤氏は、こう危機感をにじませた。
日本の本質的危機の第1は「法制度」だ。
国際法上、気球は航空機に位置付けられ、他国の領空に侵入するのは国際法違反の領空侵犯にあたる。通常、領空侵犯した航空機には、退去を警告したり、強制着陸させたりする。
浜田靖一防衛相は7日の記者会見で、外国の気球が日本の領空に飛来すれば、自衛隊機による緊急発進(スクランブル)を規定する自衛隊法84条に基づき対応する考えを示した。一般論として、「(国民の)生命と財産を守るために必要であれば、それ(=撃墜)は実施するということだと思う」と述べた。
これに対し、佐藤氏は厳しい見方をする。
「(気球の)攻撃の意図や、スパイ行為の有無を判断するのは困難だ。中国は軍民両用の『デュアルユース』から、すべての先端技術を包括する『マルチユース』に突入している。中途半端な撃墜判断の基準化や法制化は国民を危険にさらし、現場に難しい対応を強いることになる」
ジョー・バイデン米政権は、スパイ気球が領空侵犯した時点で最新鋭ステルス戦闘機「F22ラプター」を待機させ、米本土上空を通過した後、領海上空で撃墜した。
日本は同じ対応が取れるのか。佐藤氏が語る。
「昨年12月、新たな『安保3文書』が閣議決定され、『反撃能力』の保有が明記されたが、道半ばだ。気球だけでなく、ドローンや新型飛行体が領空外から日本を攻撃する恐れも高まっている。手出しは難しい。領空内で有害行為をした後、領空へ出られた場合も対応はできない」
危機の第2は「技術や性能の壁」だという。
スパイ気球は高度2万メートル超の成層圏を飛行し、米軍はF22戦闘機から空対空ミサイルを発射して撃墜した。
「F22の性能でなければ対応できない高度だったのだろう。自衛隊の戦闘機では対応不能だ」「成層圏を飛行するドローンも開発され、ステルス性能も高まっている。中国が『スキマ』を狙うのは常套(じょうとう)手段だ」
打つ手はあるのか。
佐藤氏は「法整備と防衛力強化が最優先だが、事態は切迫している。自由主義諸国で中国の不法行為に『圧力』をかけることも必要だ。今後は、海上保安庁や警察が外国のドローンに対応するケースもあり得る。自衛隊を含めた省庁横断的な体制構築が急務だ」と語った。