Shinzo-Returns

安倍総理の志は死なない!!

この件については経団連が正しい!

十倉会長「産業が滅べば脱炭素に貢献できない」
秦 卓弥 : 東洋経済 記者
2023年02月15日
産業界が深く関わる政府のGX政策。キーマンである経団連・十倉会長を直撃した。
日本政府が昨年末に示した「GX(グリーントランスフォーメーション)実現に向けた基本方針」が、2月10日閣議決定された。脱炭素、エネルギー安定供給、経済成長の3つの課題を同時に克服するため、再生可能エネルギーや原子力への電源転換を進め、今後10年間で150兆円の官民のGX投資を行うというものだ。
このGX基本方針には、経団連が2022年5月に掲げた多くの提言が盛り込まれている。十倉雅和会長にエネルギー移行期の産業界のあり方を聞いた。
──「年2兆円規模の政府支援」や「原子力の活用」など主要な提言がGX政策に反映されました。


『週刊東洋経済 2023年2/18号[雑誌](どうするエネルギー危機 どうなる脱炭素)』(東洋経済新報社)


経団連会長として、最初の1年に最も力を入れたのがGXだ。政府が提言のほとんどを取り入れてくれたことは評価している。
経団連は「サステイナブルな資本主義」を目標に掲げていて、行き過ぎた資本主義の問題の1つに気候変動の問題があると認識している。
社会課題を解決するとともに産業の成長の強化・維持を成し遂げようという狙いだ。経済成長によって分配の原資を生むことができ、地球温暖化を防止できる。
GXはただクリーンエネルギーを作るだけではなく、社会そのものの変容と産業の構造転換も起こる国際競争だ。世界に劣後してはいけないし、日本はアジアの国々をリードしなければいけない。
決して拙速な議論ではない
再生可能エネルギーの強化はもちろんだが、科学的・論理的に考えて核エネルギーを重視しなくてはいけない。いろんな意見があるのは知っているが、むしろ正面から議論させていただいた。
──経団連の提言から7カ月で政府の基本方針が決まりましたが、議論は尽くされたとお考えですか。
原子力やクリーンエネルギーの問題は従来から議論してきた。決して拙速ではなく、危機感をもって迅速にやれたと思っている。
──産業構造の転換へ、10年間で官民150兆円の投資を行います。
GXによって日本の産業・経済が弱くなったら意味がない。民間企業は脱炭素に資する要素技術を多く持っているので、これを経済成長につなげなくてはいけない。
ただどうしても未知の分野・技術に挑戦する必要が出てくるので、政府に予見可能性を与えてください、と。民間の投資を促す「グリーンディール」を欧米に遜色ない規模でしてほしいとお願いした。
一方で、温室効果ガス(GHG)の排出を削減するために、排出量取引制度も提言した。規制を嫌う経団連が「規制をお願いします」と言ったのだから、相当の決意で申し上げたつもりだ。
脱炭素は一直線にいかない
──日本政府が掲げる2030年度のGHG46%削減に間に合いますか。
革新的技術は10年ちょっとでできるものではない。研究開発から検証、実証、商業プラントの立ち上げまで普通は15年かかる。
脱炭素は一直線にいくものではなく、移行期は再エネのほか、例えば既存技術であるLNG(液化天然ガス)や原子力でつなぐ必要がある。そして水素や、最終的には核廃棄物が出ない核融合を目指す形になるかもしれない。投資先は不断の見直しを行う必要がある。
──誰が見直していくのでしょうか。
GXは国全体で取り組むべき問題なので、司令官はもちろん総理大臣だ。岸田文雄総理はGX実行会議を続けるとおっしゃっているから、その場で議論していくのだと思う。僕が経団連会長の間は出席するし、ゆくゆくは後任に入ってもらうことになるだろう。
──原発の運転期間延長の議論も出ています。
それで時間を稼いでいる間に、より安全な革新炉の開発・社会実装をやらなければいけない。(現行ルールで最長の運転期間)60年で試算すると、2060年に稼働している原発は8基になってしまう。革新炉といっても、開発から実装まで10年ほどかかる。
原子力発電にはいろんなタイプがあるが、やはり核廃棄物が出るのは世界中どこでも一緒で、これを減らさなくてはいけない。そういう意味で、革新炉の実装と同時に核融合の研究開発も同時にやらなければダメだと政府に言っている。
産業が滅んでいいのか
「経団連は原発を推進している」と言われるが、僕らは再生エネルギーを力いっぱいやる。それでも足りないから、ベースロード(基幹)電源として原発がいる。
──GXは産業に配慮した政策、という意見もあります。
産業が滅んでCO2(二酸化炭素)が減ったとして、それでいいのか。日本は技術での貢献もできなくなる。それよりは苦しみながらでも産業を強くして、CO2を減らす技術で世界に貢献する。そうすれば、日本の地位も上がる。