Shinzo-Returns

安倍総理の志は死なない!!

日本の電気代が下がる!中部電力が「13万年前の化石」を今、必死で探す理由

エネルギー情勢の不安が続く中、日本では、いまだ動いていない原子力発電所の再稼働の必要性が増している。そんな中、私は原発(特に浜岡原発)の再稼働を応援しないといけないという、決意にも近い強い気持ちになっている。それがなぜなのかを今回お話ししたいと思う。(イトモス研究所所長 小倉健一)
エネルギー安全保障が揺らぐ中
見直すべき原発の価値

 日本は今、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領によるウクライナ侵略を原因とした、世界的なエネルギー危機に瀕(ひん)している。日本はエネルギー資源を持っていない。そして不幸なことに、2011年に福島第1原発が事故を起こしたことで、二酸化炭素(CO2)を出さない、準国産エネルギー源である原発を動かすことに、極めてネガティブな世論が存在している。
 代わりに、太陽光発電などの再生可能エネルギーを増やしていこうと、例えば、何かと話題の三浦瑠麗氏や、強制捜査に入られたその夫・清志氏などが頑張っていたようだ。だが、ご存じのように再エネは「お天気任せ」で出力が安定しない。
 蓄電(電気を貯めておく)技術が格段に進歩すれば、太陽が照っている間に大量の電気をためておいて、太陽がない時間に使うということもできるようになるのだろう。ただ、現在の技術では価格的に絶対に不可能という水準だ。
 むしろ、世界で実用化に向けた動きが進む次世代型原発である革新炉は、これまで長年の懸念であった使用済み燃料の有効利用や核廃棄物の処分年代を大幅に短縮できるタイプもあるということで、こちらの技術に期待すべき段階といえる。
 原発の再稼働が進めば、エネルギー危機は低減され、日本経済にとって大きなプラスである。
 そんな中、中部電力は今、必死で「13万年前の化石」の発掘調査をしている。実は、その結果次第では日本全体の電気代が下がる扉を開くことにつながり得る話なのだ。
 原発にまつわる過度な不安を払拭するため、安全性について議論やデータを整理しながら、中部電力の動向の意味についてもお伝えしたい。
原発再稼働で地球温暖化防止に貢献し
ロシア産LNGの輸入を減らす

 現在の日本では、液化天然ガス(LNG)の輸入の8.8%をロシアに頼っている。「ウクライナ側が挑発したせいで、プーチン大統領が武力行使せざるを得なかった。プーチンのロシアともっと仲良くせよ」。鈴木宗男参議院議員や森喜朗元首相は、そんな浅薄な主張をする。しかし、何があったにせよ現状を武力行使で動かそうとする無法国家に対峙(たいじ)しないでどうするのか!
 エネルギー供給の一部をロシアに頼っている日本の現状を考えれば、やはり地球温暖化防止にも貢献し、かつ安定的な電力を生む原発を動かすべきだ。その分ロシアからのLNG輸入を減らすことで、日本は国際社会できちんと役割を果たせるというものだ。
 国内の電気料金が上がることで、日本企業の競争力を奪っているのも事実だ。原発が動いていない多くの地域では、国により規制されている部分の電気代はこれからさらに上昇していく。政府の補助金によって2月からは当面の間、比較的価格が抑えられるのだが、その補助金の原資は国民の税金だ。結局のところ、日本国民は自分のお金を使って電気代を安く見えるようにしているにすぎない。原発を再稼働させる、新設する以外に現実的で根本的な解決はない。
 そこでポイントとなるのが、いまだに稼働していない原発の再稼働である。その中でも、東日本大震災後に地震による危険が高いエリアのため、国により停止要請を受けたことで注目された静岡県にある浜岡原発の再稼働が気になるところだ。逆に言えば、浜岡が動かせるとなったら日本全国の原発も動かせるということだ。
 浜岡原発は、東日本大震災の直後に当時の首相だった菅直人氏の「要請」(事実上の命令)によって運転停止をさせられた。それ以来、10年以上の月日が流れたが、いまだに稼働していない。
浜岡原発を運転停止させた
当時の判断とは?

 菅直人元首相は、朝日新聞デジタル(21年5月15日)の記事で、当時の判断について次のように振り返っている。
「南海トラフ地震の危険性が以前から指摘され、特に浜岡原発については私の頭にあった」
「海江田大臣(海江田万里・経済産業相)が5月6日、私のところにきた。自らの判断で前日に視察した大臣が『浜岡の再稼働は止めるべきだ』と提案してくれた。担当大臣が現地で中部電の関係者と会ったうえで私に提案してくれた意味は大きい。浜岡は日本の中心で、そこで事故が起きると東海道新幹線も東名高速道路も寸断されるなど日本が真っ二つになる。私の心配と共通していたので総理として賛同した」
 菅直人元首相によれば、浜岡原発は、日本で一番危ない原発だそうである。言うまでもなく、彼の主張は完全に虚偽である。
 浜岡原発のある静岡県は、海洋(フィリピン海)プレートと大陸プレートとの境界(南海トラフ)が近い。政府の地震調査委員会によれば、南海トラフで巨大地震(マグニチュード8~9級)が20年以内に起きる可能性は、60%程度。気象庁によれば、関東地方から九州地方にかけての太平洋沿岸の広い地域に10mを超える大津波の襲来が想定されている。
 国による原発再稼働のための審査の中で、浜岡原発が現在確認している自然に係わる主なハザードは、「地震」「津波」「活断層」である。
 この3項目のうち「地震」については、浜岡原発はもともと糸魚川静岡構造線エリア付近に立地されるということで危険度が高いことが分かっていた。そのため、建設当初より耐震強度に余裕を持った構造となっており、その後も新たな知見により耐震性を随時高めてきている。
「津波」対策としては、すでに浜岡原発は海抜22m(総延長約1.6km)の防潮堤を設置しているが、この高さでも不十分という意見が出ている。しかし、そもそも防潮堤だけで安全性の全てを賄うことに意味はあるのだろうか。
3.11の福島第1原発で
起きたこととは?
 11年の福島第1原発の事故で起きたことは、以下の通りだ。
(1)地震によって受電設備の損傷や送電鉄塔の倒壊が起こり、外部から電気を受けることが不可能になった。
(2)津波による浸水で、非常用ディーゼル発電機とバッテリー電源も喪失した。
(3)電源喪失によって原発の冷却機能が使えなくなり、メルトダウン(炉心溶融)を起こした。

「津波」で問われているのは、この「(2)津波による浸水で、非常用ディーゼル発電機とバッテリー電源も喪失した」ことを防ぐためのものだ。ただ、浜岡原発では緊急時の電源として、海抜40mの高台へ新たにガスタービン発電機を設置している。
 また、重要な設備は水密構造を施した建屋で囲われている。つまり、仮に防波壁などそもそもなくて津波の一部少量が原発敷地内に入ってきたとしても、電源が喪失することなどない。一滴も海水を発電所敷地内に入れさせるなという発想自体が、そもそも荒唐無稽な話であろう。
12万~13万年前の化石を
中部電力が必死で探している理由

 最後の「活断層」に至っては、浜岡原発の地下に活断層がないことを証明させようとしている。建設当初に活断層として考慮すべきとされた年代からさらに古い年代を確認することとされており、今では12万~13万年前以降に断層が動いていないことを証明しなくてはならない。
 そのため改めて地層の年代調査をし、例えば新たに土地を掘り起こして花粉等の化石の分布状態を調べることなどにより、活断層かどうかを判断するという。中部電力は12万~13万年前の化石を必死で探す羽目になっているというわけだ。
 もし活断層を発見すれば、日本経済復活への序曲となろう。愛知県や静岡県など中部エリアの電気代も下がることになる。
「疑わしきは地元住民、国民の安全・安心のために」などと主張し、「原発はゼロリスクが当然である」というのが再稼働の前提であれば、稼働できる原発など日本どころか、世界に一つもない。
発電方法別の死者数を比較すると
原子力の安全性が際立つ

 原発に安全性を求めるのは当然として、他の発電方法にも危険は伴う。単純な数値比較はできないものの、1テラワット時(TWh)の発電量に対して、発電方法別の死者数を計算すると、その事実が浮かび上がる。
 40年以上原子力に関わってきたというドイツの研究者(マンフレッド・ヘイファーバーグ氏)が、ドイツの経済誌のインタビューに答えた内容によると、「石炭は30人、石油は20人、バイオマスは5人、天然ガスは3人、風力、水力、太陽光、地熱は0.2人、原子力は0.1人」(https://deutsche-wirtschafts-nachrichten.de/518536/Wenn-Russland-den-Hahn-zudreht-Dann-gnade-uns-Gott)というデータがあるという。
 また、英オックスフォード大学が提供するサイト「Our World in Data(アワー・ワールド・イン・データ)」でも同様に、発電方法別の事故や大気汚染による1TWh当たりの死者数を掲載している。20年2月の“What are the safest and cleanest sources of energy?(最も安全でクリーンな電源は何か?)”という記事内の図には、以下のような結果が紹介されている。
褐炭:32.72人
石炭:24.62人
石油:18.43人
バイオマス4.63人
天然ガス:2.82人
水力:1.3人
風力:0.04人
原子力:0.03人
太陽光:0.02人

 これらのデータを基に結論を出せば、原発の安全性がダメなら他の発電はもっと危ないということになる。原発のリスクはゼロにはできないが、それ以上に、火力や太陽光という発電方法であっても死亡者が出ている。原発だけにゼロリスクを求めるのは非合理的だ。そもそも太陽は、核融合で熱を発している。核融合がダメなら太陽光発電もダメ。問われているのは安全性だ。
 今、日本の原発再稼働の国の審査において、一番後ろのグループを走っているのが浜岡原発である。裏を返せば、浜岡原発が再稼働できることになれば、日本中の原発が再稼働できるということになる。
 家計のためにも、経済のためにも、エネルギー安全保障のためにも、浜岡原発をはじめ日本の未稼働原発を動かそうではないか。