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安倍総理の志は死なない!!

国際的イメージ、地に落ちた中国-自国の魅力訴え攻勢に転じる

(ブルームバーグ): ここ3年の中国の国際的なイメージは最悪だ。
  新型コロナウイルスの起源に関する調査を妨げたことで、中国が重要な情報を隠しているという疑念が浮上。ロシアがウクライナ侵攻を始める数週間前にプーチン大統領が北京を訪れ習近平国家主席と「無制限」のパートナーシップをうたったことは、中国が台湾侵略を計画しているのではないかとの臆測を強めた。
  かつて親中派を公言していたウォール街も、今では中国に懐疑的だ。習政権が民間セクターを締め付け、「中国は投資できない国になったのではないか」とマネーマネジャーは懸念している。
  米ピュー・リサーチ・センターが昨年行った世論調査によれば、米国と日本、韓国、オーストラリア、スウェーデンでは回答者の約8割が中国に好感を抱いていない。
  これらの国では政治家がこうした国民感情をてこに、中国の政治・経済的影響力を抑えるための政策をこれまで以上に推し進めている。例えば、米国のバイデン政権だ。半導体テクノロジーへの中国のアクセスを制限するために、日本とオランダを説き伏せた。
  中国指導部もこの動向を気にしていないわけではない。昨年10月の共産党大会を経て異例の総書記3期目入りを果たし、今年3月の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で国家主席に3選された習氏は2年前の時点で、中国には「信頼でき、愛すべき、尊敬に値する」国であるとのイメージが必要だと党幹部に伝えていた。
  確かに中国はかつて、他国に友好的とのイメージを打ち出そうとしていた。だが、今は国内世論という新たな制約に直面している。
  香港城市大学で中国政治を専門に研究している劉冬舒助教によると、中国経済が好調だったころは途上国へのインフラ関連融資などの援助に反対する声は国内ではほとんどなかったが、成長が鈍化し若者の高失業率などの問題が表面化するにつれ、対外支出に対する抵抗が顕著になってきた。
  「世界のリーダーの一角であることをアピールする戦略的手段として、中国はコストが低めの簡単な問題を選ぼうとしている」と劉助教は指摘。「自国が世界の大国となることを望んでいる中国人だが、そのためのコストを賄う用意はできていない」と話す。
懸念の象徴
  中国が以前行っていた外交は、世界における中国の地位を高め、国有企業が国外でビジネスを獲得できるようにすることに重点を置いたものだった。
  だが、香港浸会大学(HKBU)のジャンピエール・カベスタン名誉教授(政治学)は現在の対外政策について、「西側と米国の同盟国からの外交的孤立を防ぎ、これらの国々の企業が中国に戻ってきて投資するよう説得する」ことが目的になっているとみている。
  中国は3月6日、スリランカの債務救済を支持し、資金難に苦しむ途上国の債務再編を巡り協力を強める姿勢を示した。
  その数日後、イランとサウジアラビアは中国が仲介し北京で調印した取り決めで関係を正常化。3月半ばには習氏がウクライナのゼレンスキー大統領とロシアのウクライナ侵攻後初めて会談する予定であると報じられ、中国政府が欧州の平和をより真剣に促していくことを示唆した。
  習氏が中国の外交努力を主導しているのに対し、経済・企業絡みの働きかけを行っているのが3月11日に首相に就任した李強氏だ。就任して程なく、李氏は中国内外のビジネスリーダーと接触。3月終盤には米アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)ら北京を訪れた世界の企業幹部を前に、「雨上がりの虹」を見ようと呼びかけた。
  その数日後、李氏は海南省で別のビジネスリーダーたちに同じようなメッセージを発し、「中国に投資することは、より良い未来の選択に等しい」と述べた。 
  ロイター通信によれば、李氏はアリババグループ創業者の馬雲(ジャック・マー)氏に中国本土に戻るよう説得した数人の一人だという。2020年後半にアリババに対する規制当局の攻撃が始まって以後、馬氏の不在は、民間セクターに対する政府の支援が後退し、中国経済において国家の役割が大きくなるとの懸念の象徴となっていた。
  馬氏は3月下旬、アリババ本社のある浙江省杭州市の学校を訪問し、その動画が中国のソーシャルメディアで話題になると、直ちに景況感が改善。その後、アリババが自社を6分割し、それぞれの部門が新規株式公開(IPO)などを目指すと発表すると、景況感はさらに強まり、中国株が一段高となった。こうした動きは、非競争的な慣行に対する政府の懸念に対応するとともに、株主価値を引き出すための見事な解決策と受け止められた。
西側の疑念
  だが、全てが順調に進んだわけではない。新疆ウイグル自治区での少数民族の扱いや香港での民主派封じ込め、台湾の国際的地位などを巡る長年にわたる対立は、欧米に中国の意図に対する疑念を深く植え付けた。中国政府がウクライナ情勢を巡る12項目の仲介案を2月に発表すると、ワシントンやブリュッセルではロシアに有利なように傾斜していると見なされ、実現不可能だとほとんど無視された。
  中国当局は3月31日、米マイクロン・テクノロジーに対しサイバーセキュリティー調査を始めたと発表した。
  先端半導体の対中供給を絶とうとする米主導の取り組みに対して、中国が反撃する用意があるというメッセージを米国とその同盟国に送るもので、すでに中国事業に対し慎重になっている米企業をさらに遠ざける危険性もはらむ。
  企業調査を手掛ける米ミンツ・グループとアステラス製薬の社員が中国本土でほぼ同じ時期に拘束された件にも同じことが言えそうだ。詳しい拘束理由は明らかにされていない。
  ナティクシスのアジア太平洋チーフエコノミスト、アリシア・ガルシアエレロ氏は中国が「自国の魅力を訴える大掛かりな攻勢をかけている」とみているものの、「ある場所では魅力的だが、全ての場所で魅力的というわけではない」と述べた。
(原文は「ブルームバーグ・ビジネスウィーク」誌に掲載)
原題:Xi Launches Charm Offensive to Repair China’s Tattered Image (抜粋)
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