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安倍総理の志は死なない!!

これはひどい搾取だ!地獄の岸田政権の子育て支援金「1人月500円増税」に国民激怒…数々のスローガンが実現していない現実

岸田文雄首相が「異次元の少子化対策」を掲げてから1年超が経過した。児童手当の拡充や育児休業給付の充実などを柱にした少子化対策関連法案が閣議決定され、首相が「ラストチャンス」とする少子化傾向からの反転を目指す。だが、多岐にわたる施策が列挙されているものの、その多くは何か目新しいものではなく、質・量もパンチを欠いたものが目立つ。経済アナリストの佐藤健太氏は「少子化対策には将来への不安を取り除き、安心感を提供することが重要だが、『子育て増税』という形で逆に不安を与えてしまっている。その意味では、たしかに『異次元』だ」と厳しい。


「異次元の少子化対策」実現に向けて関連法案が閣議決定
「将来を支える子供や子育て世帯を全世代、全経済主体が応援するという考え方に理解を得られるよう法案の成立に努力したい」。加藤鮎子こども政策担当相は2月16日の記者会見で、「異次元の少子化対策」実現に向けて関連法案が閣議決定されたことに関し、国民の理解を得るべく丁寧に説明していく考えを示した。
関連法案は、児童手当の拡充や育休給付の引き上げ、保育環境の充実などがポイントだ。昨年4月に発足した「こども家庭庁」の来年度予算案を見ると、主要施策としては所得制限の撤廃や高校生世代への支給対象拡大、第3子以降に3万円といった「児童手当の拡充」に1兆5246億円、妊娠届時や出産届時に5万円相当の経済的な支援をする「出産・子育て応援交付金」に624億円、4歳児・5歳児の職員配置基準の緩和や保育士の処遇改善などに1兆6617億円などを盛り込んでいる。


一般会計は4兆1457億円で前年度に比べ1766億円増、特別会計は1兆1375億円で同2962億円増となり、合計は前年度比4728億円増の5兆2832億円を計上している。2030年代に我が国の若年人口が急減し、少子化は歯止めの利かない状況になることが予想される中、出産や子育てなどの支援を強化する点は評価したい。


少子化対策の財源を確保するため「子育て増税」
だが、これらの一体どこが「異次元」なのだろうか。岸田首相は約1年前の年頭記者会見で「異次元の少子化対策」に挑戦すると宣言した。直後の施政方針演説(2023年1月23日)では「従来とは次元の異なる少子化対策」に変わったが、言葉通りとらえるならば従来施策の延長線上とはいかないはずだ。しかし、現時点で盛り込まれている施策の多くは以前から議論されてきたものばかりと言える。まだ実現するだけ良いのかもしれないが、出生数が過去最少になることが見込まれる中で、ラストチャンスという割には施策のメニューや質・量の“小粒感”が否めない。


呆れてしまうのは、少子化対策の財源を確保するため「子育て増税」をする点だ。個人や企業が払う公的医療保険を通じて集める「支援金制度」が創設されることになった。加入者1人あたりの拠出額は月平均で500円弱になると見込まれ、2026年度から運用が始まる。初年度は6000億円、2027年度は8000億円、2028年度は1兆円を集めるという。


岸田首相は「歳出改革と賃上げによって実質的な負担は生じない。『子育て増税』との指摘はあたらない」と否定し、加藤担当相も「総額が1兆円となる2028年度の段階での拠出額を粗い試算として示したもので、2026年度や2027年度はより低い額となる」などと国民負担に理解を求めている。


「実質的な負担は生じない」などと怪しい通販ショップのような言葉
だが、支援金制度なるものが創設されれば、国民はそれが税であれ、社会保険料であれ可処分所得が減少するのは同じだ。政府が「支援を強化します」と言っても、もう片方で「負担はしてもらいます」と実質的な増税のようなことをやっていれば、将来不安は取り除けないのではないか。NHKが2月10日から3日間実施した世論調査によると、月500円弱の支援金制度は「妥当だ」が20%にとどまり、「妥当ではない」は31%、「支援金制度自体に反対だ」は33%だった。


加えて、首相は「実質的な負担は生じない」などと怪しい通販ショップのような言葉を並べる。無駄な予算を削減する歳出改革は大いにやってもらいたいものだが、負担ゼロの根拠に「賃上げ」を付け加えていることも不可解でしかない。


たしかに経団連の集計によれば、2023年の春季労使交渉で大手企業の平均賃上げ率は3.99%となり、今年も賃上げの勢いが維持されることが期待されている。日本商工会議所が発表した2024年度の中小企業の賃上げなどに関する調査結果を見ると、賃上げ率が「3%以上」とした企業の割合は36.6%と前年から増加している。


未婚率の上昇に対するアプローチが見えない
ただ、資金の余力に乏しく業績が改善しない中小企業も存在する。持続的な賃上げが実現できなければ、そこで働く人々は支援金制度創設に伴う「子育て増税」と負担が相殺されないことを意味する。先のNHKの調査では、春闘で物価上昇を上回る賃上げが「実現できない」と回答したのは8割近くに達し、「実現できる」は8%だけだった。


昨年3月末に政府が公表した「こども・子育て政策の強化について(試案)~次元の異なる少子化対策の実現に向けて~」を見ると、そこでは「政府の予測よりも8年早いペースで少子化が進んでいる。少子化の問題はこれ以上放置できない待ったなしの課題である」と危機感を示した上で、基本理念として「若い世代の所得を増やす」「社会全体の構造・意識を変える」「全ての子育て世帯を切れ目なく支援する」と掲げている。ただ、支援金制度は2026年度と2027年度に現役世代を含む74歳以下が全体の92%を負担する。世帯の不公平感も気がかりだ。


政府は、理想の子供数を持たない理由として「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」との経済的理由が5割超と高いデータを元に、第3子以降を産みたいという希望を阻害していると分析しているが、未婚率の上昇に対するアプローチが見えない。内閣府の「結婚と家族をめぐる基礎データ」(2021年5月)によれば、平均初婚年齢や母親の平均出生時年齢は上昇を続け、50歳時の未婚割合も2025年に男性が3割弱、女性は2割弱になると予測されている。少子化対策として様々なメニューを並べるものの、支援金制度創設に伴うステルス増税は結婚や出産までのハードルを高くしているように映る。


岸田首相、数々のスローガンが実現していない現実
自治体に目を転じれば、東京都の小池百合子知事は高校授業料の実質無償化と公立小中学校の給食費補助、18歳以下に月5000円を支給する「018サポート」などを推進している。大阪府も2024年度予算案で所得制限のない授業料無償化制度に222億円を計上。福井県は来年度から扶養する子供が2人以上いる世帯の高校授業料を完全無償化し、神戸市も市内の高校に通う通学費を全額補助する方針を表明するなど、競い合うように子育て支援策を充実させている。


本来ならば、こうした施策は国が責任を持ってやるべきことだろう。実際、自治体間で子育て支援策に差が生じており、生まれ育った場所で支援を受けられるか否かが決まってしまうのは残酷とも言えるからだ。国が少子化対策に本気で取り組むというのならば、まずは先行する自治体の手本を元に、国が全国一律での支援策を決定した方が良い。


長期停滞に襲われた日本の名目国内総生産(GDP)は世界4位に転落し、インドや英国も後ろに迫る。少子高齢化に加え、労働生産性も悪化していけば「成長しない国」の行方が厳しくなるのは明らかだ。岸田首相は「明日は今日よりも良くなると誰もが感じられる国を目指す」と言っているが、数々のスローガンが実現していない現実を見れば、それを言葉通りに受け止める人は少ない。