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安倍総理の志は死なない!!

武漢の研究所から流出説 バイデン氏、追加調査を公にした意図

 新型コロナウイルスの起源をめぐり、バイデン米大統領が26日、中国の研究所から流出した可能性に触れ、情報機関に追加調査を指示したことを明らかにした。
 米大統領が情報機関への指示を公に発表したのは異例の対応といえる。情報機関は常にホワイトハウスと緊密な連携のもとで動いているが、安全保障上、その具体的な指示内容を表にすることはほとんどない。バイデン氏は今回の指示を公表して調査期間を区切ることで、事実解明に向けた強い意思表示をするとともに、中国にも政治的なメッセージを送る狙いがあったとみられる。
 もともと中国の武漢ウイルス研究所を発生源とする見方は、トランプ前政権内で早い段階から主張されてきた。米国内で新型コロナウイルスが急速に拡大してから約1カ月後の2020年4月の記者会見で、トランプ米大統領(当時)は「研究所から発生したという説がある」と述べ、科学者や情報機関が流出説を調査していると明らかにした。
■トランプ氏の退陣後も消えず
 トランプ氏とともに流出説を唱えていたポンペオ国務長官(当時)も政権最終盤の1月15日、国務省から「武漢ウイルス研究所の活動」と題した声明を発表。新型コロナウイルスが確認される以前の19年秋、武漢ウイルス研究所の研究員数人が病気にかかり、新型コロナとインフルエンザに似た症状を発症したという情報があることを明らかにし、「米政府は(それを)信じるに足る理由を持っている」と記した。
 ただし、トランプ氏やポンペオ氏らは新型コロナを「中国ウイルス」「武漢ウイルス」と呼び、新型コロナをめぐる政権の失政を中国の責任に転嫁しようという動きを繰り返していたため、流出説はトランプ氏らの政治的動機が色濃く反映されているという見方が強かった。国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長ら公衆衛生専門家や民主党は流出説を懐疑的に見る人々が多かった。
 ところがその後も流出説は続く。トランプ政権で米疾病対策センター(CDC)所長を務めたロバート・レッドフィールド氏は3月の米CNNのインタビューで、研究所がウイルスの起源である可能性が「極めて高い」と語り、「この説を信じない人がいてもかまわない。しかし、最終的に科学によって解明されるだろう」と指摘。CDC前トップの発言だけに、流出説に再び注目が集まった。
 一方、バイデン政権も発足後、新型コロナをめぐる中国の対応に強い不満を募らせていた。中国が武漢で新型コロナ感染が拡大し始めた初期段階で各国と情報を共有しなかったことを繰り返し批判。世界保健機関(WHO)は3月、新型コロナの発生源をめぐる調査報告書を発表し「(武漢の)研究所から(ウイルスが)流出した可能性は極めて低い」と結論づけたが、バイデン政権は「中国政府が明らかに報告書の執筆を手助けした」(ブリンケン国務長官)と信頼度が極めて低いと受け止めた。