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安倍総理の志は死なない!!

回顧2021 あやふや岸田政権、外交も不明確 来夏の参院選は苦戦確実…どのように乗り切るのか 気になる安倍元首相との距離 政治ジャーナリスト・安積明子氏

2021年はまさに激動の1年だった。
1つは、秋篠宮家の長女、眞子さんと小室圭さんの結婚について、多くの国民が懸念を示し、皇室について議論を呼んだ点は前代未聞。騒動は22年も続くと思われる。
もう1つは、岸田文雄政権の誕生だ。岸田首相は20年9月の自民党総裁選で、石破茂元幹事長を抑えて2位になったが、獲得した地方票はわずか10票。「岸田はほぼ死んだ」と言われていた。
にもかかわらず、1年後に総理総裁の座をゲットしたのは、9年近くにわたった安倍・菅政権への疲弊感もあるが、岸田首相の「諦めない」という強い執念ゆえだろう。岸田陣営は総裁選への出馬表明後、早々に全党員に政策パンフレットを送付したが、初出馬の高市早苗氏(現政調会長)の事務所は「投票に間に合うように送付するのは、時間的にも資金的にも厳しかった」と述べている。
岸田首相の勝利は「役員任期の制限」などの党改革と、政治不信の払拭の提案が国民に好意的に受けとられたためだ。ただ、二階俊博前幹事長の更迭には成功したが、その他はあやふやだ。
勇ましく「新しい資本主義」を提唱したが、「令和版所得倍増」の文字は主張から消え去り、「デジタル田園都市国家構想」もなぜ成長につながるのか理解しにくい。何よりも、岸田首相の曖昧な性格が出ているのが「4年8カ月外相を務めた」と誇る外交だろう。
「台湾侵攻(統一)」をもくろむ中国に対して、「当事者の直接的対話により平和的に解決されるべき」と従来の姿勢を崩さなかった。中国当局による新疆ウイグル自治区などでの人権弾圧を受けて、米国や英国、オーストラリア、カナダなどが北京冬季五輪の「外交的ボイコット」を公表しても、なかなか明確な態度を示さなかった。
さらに、「18歳以下への10万円給付」問題では、岸田首相のリーダーシップを消失させた。
にもかかわらず、12月6日に開かれた安倍派(清和政策研究会)のパーティーで、岸田首相は「清和研は、(宏池会の)池田勇人首相の提案した『所得倍増計画』に、福田赳夫政調会長が反対してつくった党風刷新連盟が源流」と述べ、安倍晋三元首相らを牽制(けんせい)した。
英国での国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)に参加したとき、ある首脳から「シンゾーから選挙で6連勝した奥の手を教えてもらった」と言われた話を披露し、「私はまだ教えてもらっていない」と述べ、安倍氏との距離を匂わせた。
安倍氏は「あれは面白い冗談」とかわしている。
21年の衆院選で、岸田自民党は絶対安定多数の261議席を確保したが、15議席を失って日本維新の会の躍進を招いた。22年の参院選で自民党が苦戦することは確実だが、岸田首相はどのように乗り切るのか。
■安積明子(あづみ・あきこ) ジャーナリスト。兵庫県出身。慶応義塾大学卒。1994年に国会議員政策担当秘書資格試験に合格。政策担当秘書として勤務する。ジャーナリストに転身後、月刊誌や週刊誌などに数多く寄稿する。著書に『眞子内親王の危険な選択』(ビジネス社)、『新聞・テレビではわからない、永田町のリアル』(青林堂)など。