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安倍総理の志は死なない!!

中国にとって台湾問題は「恥辱の歴史」…習近平が腹をくくった、「台湾奪取」の戦慄シナリオ

1996年の台湾海峡危機時よりも軍事的緊張が高まっている。脆弱だった中国の人民解放軍は、今や米軍を脅かすほど強大になり、台湾侵攻がいつ起きてもおかしくはない。その時、日本はどうするのか。
米中の海軍がにらみ合う
原子力空母ロナルド・レーガンが南シナ海に、強襲揚陸艦トリポリが沖縄周辺に展開し、米海軍第7艦隊が台湾周辺に兵力を集結させている。
一方の中国の人民解放軍は8月4日から、台湾を取り囲むように6ヵ所で実弾演習を開始した。
台湾をめぐる米中の軍事的緊張は、かつてないほど高まっている。
きっかけは、ナンシー・ペロシ米下院議長の台湾訪問だった。正副大統領に次ぐナンバー3の立場にあるペロシ氏の言動に中国は激怒。習近平国家主席は、「火遊びをすれば、必ず身を焦がす」と武力行使を示唆してみせた。
8月2日にペロシ氏は台湾を訪問。蔡英文総統と会談を行った。中国は事態を重く見て、台湾近辺に空母を出航させたという報道もある。台湾海峡は米中の軍隊がにらみ合う一触即発の状況だ。
習近平にとって、「台湾奪取」は悲願である。中国の軍事に詳しい防衛省防衛研究所主任研究官の山口信治氏がこう話す。
「台湾の問題は、中国にとって『恥辱の歴史』の象徴なのです。日清戦争で日本に奪われ、その後、中国国民党政府によって実効支配をされ、現在では民進党が統治している。これを取り戻すことは、中国の指導者にとって歴史に名を残すことになります。習近平が諦めることはないでしょう」
ターゲットは沖縄か、グアムか
すでに中国は台湾侵攻へ向けて助走を始めている。その手始めが国内のSNS(交流サイト)の統制だ。『台湾有事 米中衝突というリスク』の著書があるジャーナリストの清水克彦氏が言う。
「8月1日に、中国政府はインターネット利用者の管理を強化する新たな指針を施行しました。中国でSNSを利用する際にはサービス提供業者に実名や身分証番号などを登録するようお触れが回ったのです。
背景には、ウクライナ侵攻に際してSNSを制御しきれなかったロシアの姿が念頭にあるのではないか。すでに中国は、平時でも有事でもないグレーゾーンの軍事的な準備期間に入っていると判断していいでしょう」
習近平はいかにして台湾へ侵攻するのか。その戦慄のシナリオを前出の山口氏はこう分析する。
「第一段階として、台湾の防空施設や指揮通信施設をミサイルで攻撃します。その次に、上陸作戦を展開し、首都・台北をめがけて市街戦が展開されていくことになる。同時に、サイバー攻撃で指揮統制系統を麻痺させようと試みるでしょう」
中国が台湾侵攻に踏み切ったら、米国も軍事介入に踏み切るのは間違いない。その際、米軍が戦力を展開させる拠点となるのは、日本の沖縄にある米軍基地である。
「中国が米軍の展開を阻害したいと考えた場合、叩くとしたら在日米軍基地であることは常に指摘されてきました。しかも近年、中国の核戦略に変化が見られることが気になります。これまで中国の核兵器は、米国などから攻撃を受けた時に反撃することが重視されてきました。あくまでも相手が先に攻撃した時にのみ使用する『先制不使用の原則』を中国は掲げてきたのです。
しかし、最近では先制攻撃で使用する前提で核兵器を整備しているように見えます。核弾頭の数を増やしていますし、ミサイルの多弾頭化を進めているからです。『台湾問題』を解決するために、核兵器による先制攻撃の脅しをかける可能性はある」(山口氏)
ターゲットとなるのは、沖縄か、より強力な兵力が駐屯しているグアムの米軍基地だ。
核電磁パルス攻撃の恐怖
中国が用いる兵器は通常核兵器だけではない。'20年6月、米国国土安全保障省EMP(電磁パルス)タスクフォースのピーター・プライ局長は、中国の電磁パルス攻撃に関するレポートを公表した。元海上自衛隊情報業務群司令で、実業之日本フォーラム編集委員の末次富美雄氏が解説する。
「このレポートでは、中国は『核HEMP(高高度電磁パルス)攻撃』を情報戦やサイバー戦の延長線上と見なし、最も優先順位が高い戦争の手段と位置づけていると指摘しています。核高高度電磁パルス攻撃は、高度30〜400kmの上空で核爆発を発生させることにより、一定エリア内で電波障害を発生させる。
日本戦略研究フォーラムの報告によれば、10キロトン級の核爆発が高度30kmで発生した場合、影響範囲は600kmに及ぶといいます。台湾と周辺海域がすっぽりと収まる範囲で、中国は台湾を丸々標的にできるということです。理論上では、同じ規模の攻撃を米軍基地のある沖縄やグアムにも行える兵器と言えます」
「週刊現代」2022年8月13・20日号より
後編記事『「台湾統一だけは譲れない」…早ければ10月にも!習近平が仕掛ける「台湾侵攻」のタイミング』では、中国による台湾侵攻における「最悪のシナリオ」について紹介する。