Shinzo-Returns

安倍総理の志は死なない!!

独裁を強める習近平、「低成長・格差拡大」に苦しむ中国をコントロールできるのか?

知らんがなw

中国共産党の第20回大会が閉幕し、習近平政権の3期目がスタートした。習氏は独裁体制を強めており、今後、中国は毛沢東時代を彷彿とさせる、社会主義的色彩の濃い経済政策にシフトする可能性が高い。日本も中国との関係について再検討を迫られるかもしれない。
社会主義的な色彩が濃くなる
党大会閉幕翌日に開催された第20期中央委員会第1回全体会議(1中全会)では、習近平総書記を筆頭とする新指導部7名(政治局常務委員)が選出された。習氏と対立する派閥に属し、常務委員入りが注目されていた胡春華氏の名前はなく、ほぼ全員が習氏の側近、あるいは近い人物で固められた。
異例の3期目を実現し、習政権はより独裁的な体制にシフトしたわけだが、新政権はどのような経済運営を目指すのだろうか。ヒントとなるのは「共同富裕」「双循環」という2つのキーワードである。そしてこの2つのキーワードは、米中関係や世界経済の変化と密接に関わっている。
オバマ政権の時代まで、中国と米国は互いにパートナーという関係であり、有力な貿易相手国だった。米国は中国から大量の工業製品を輸入し、中国は米国向け輸出を成長の原動力としてきた。中国経済は、米国向けの輸出産業による設備投資と、それに伴う各種インフラ整備で成長したといっても過言ではない。
ところがトランプ政権以降、米国は中国と敵対する政策に舵を切り、半導体など重要製品は中国に輸出せず、中国からの輸入にも関税をかけるという、事実上の貿易戦争に突入した。米国向け輸出で経済を伸ばしてきた中国にとっては大打撃であり、中国政府は経済政策の抜本的な方向転換を迫られた。
米国向けの輸出に依存できない以上、中国は国内の消費市場で経済を回す内需主導型に舵を切らざるを得ず、そのためには経済や社会の構造を大きく転換する必要がある。こうした経済・産業構造の転換を端的に示すキーワードが、今回の党大会において正式に党規約に盛り込まれた「双循環」と「共同富裕」である。
中国経済は、トウ小平氏(トウは「登」に「おおざと」)が唱えた改革開放路線以降、めざましい成長を実現し、準先進国の仲間入りを果たす一方、成功者の富が極大化し、貧しい国民との格差拡大というあらたな問題に直面していた。
双循環と共同富裕というキーワード
対米関係の変化によって、今後、中国は2%程度の低成長が続く可能性が高まっている。経済のパイが大きくなっている時は、たとえ格差が拡大しても、多くの国民はあまりそれを認識しない(今年の生活水準が昨年より上がっていれば、他人との比較には意識が向かない)。だが、成長率が鈍化すると十分な満足感が得られなくなり、格差拡大による負の側面が政権運営に影響してくる。
中国経済の失速を受けて習政権が打ち出したのは、輸出に頼らず、国内経済を重視する「双循環」経済と、富裕層が得た富を中間層以下に再配分する「共同富裕」という考え方である。
内需で経済を成長させるためには、一定水準以上の消費を行う中間層の育成が必須要件であり、税や社会保障を通じて、低所得層に富を再配分することで中間層を拡大させる。こうした経済構造の転換は、日本側が想像する以上に大胆に実施される可能性がある。
中国は今でもマルクス主義を標榜する共産主義国家であり、西側各国では当然のこととされている基本的人権や私有財産権は保証されていない。このため、政府は時に強引な政策も平然と実行する。特に習氏は独裁的な人物であり、今後の中国経済を分析にするにあたっては、日本とは根本的な価値観やルールが異なっていることについて理解しておく必要があるだろう(西側と同じように、ルールに基づき、良識的に振る舞ってくれるはずだという先入観は危険だ)。
中国は建国当初、党創設者の1人である毛沢東氏が主導する、厳格な社会主義経済体制が敷かれていた。政府は5カ年計画を策定し、国営企業を中心に完璧な計画経済を実施しようと試みたが、あまりうまくいかず、大量の餓死者も出した。
だが共産党の独裁政権においては、国民生活よりもイデオロギーが優先され、社会主義的な経済政策が継続した。毛氏の死後、党の主導権を握ったトウ小平氏が、社会主義的制度を残しつつ資本主義の要素を取り入れる経済政策(改革開放路線)を立案。これによって中国経済は本格的な成長モードにシフトした。
改革開放路線によって中国はめざましい成長を実現したが、トウ氏は1989年に発生した民主化運動(天安門事件)を徹底的に弾圧するなど、独裁者であることに変わりはない。現在の中国も資本主義的な政策が実施されているとはいえ、共産党による独裁体制が続く。習氏が打ち出したスローガンは極めてイデオロギー色の強いものであり、トウ氏の改革開放路線を修正し、より社会主義的な経済政策に舵を切ることが予想される。
反腐敗やゼロコロナも権力闘争の一環
習政権は2期目に入ると、共同富裕と双循環という2つのスローガンを提唱すると同時に、汚職撲滅を目的とした反腐敗闘争やゼロコロナなど、過激な政策を相次いで導入した。日本では、これらについて個別の事象と捉える人が多いのだが、そう単純な話ではない。
低成長と米中対立時代を見据え、自由主義的・資本主義的な経済政策から、社会主義的な経済政策に舵を切る以上、共産党による国民や企業に対する弾圧は強くなると考えられる。
反腐敗というのはあくまでも表向きの理由であって、党中央に従わない人物や企業・組織に対しては、徹底的に弾圧するという方針の裏返しでもある。実際、反腐敗闘争では、習氏と対立してきた江沢民氏を後ろ盾とする国営企業幹部らが次々に摘発された。腐敗した幹部を刑務所送りにすることで国民の溜飲を下げると同時に、政敵を排除する権力闘争の一環と捉えた方がよいだろう。ゼロコロナ政策もまったく同じであり、党中央に対する忠誠心のリトマス試験紙と考えた方が自然だ。
今後、米中対立によって世界経済の分断が進むと予想する専門家は多く、ロシアによるウクライナ侵攻をきっかけに欧州とロシアの分断も決定的となりつつある。孤立したロシアが緩やかな形で中国経済に取り込まれていくことも、ほぼ確実だ。米国は米国で、政府調達から(日本など西側各国も含む)外国製品を排除する大統領令を公布するなど、自国中心主義を強めている。
一連の変化によって、従来型のオープンで自由なグローバル経済は姿を消し、米欧中が国家的なエゴをムキ出しにする、内向きなブロック経済体制にシフトする可能性が日増しに高まっている。習氏の3期続投に対しては、共産党内から大きな反発があったにもかかわらず、大きな波乱もなく3期目が決定した背景には、各経済圏が対立を深める世界情勢の変化があったことは想像に難くない。
日本は輸出入とも中国が最大の貿易相手国となっており、中国経済に依存した状況にある。このまま日本が輸出主導型経済を続けた場合、必然的に中国をパートナーにせざるを得ない状況に追い込まれてしまう。強権的な国家運営にシフトしている中国を相手に、健全な貿易活動を継続できるのか、日本が再検討を迫られる可能性は高いだろう。