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安倍総理の志は死なない!!

<通常国会スタート>なぜ岸田総理は増税に固執するのか? 暗躍する財務省の振り付けと「財源確保法案」の行方

1月23日から始まった通常国会で注目されるのが、防衛費増額と、その財源となる増税を既成事実化する「財源確保法案」だ。増税に躍起な岸田総理と背後で暗躍する財務省。はたして両者の暴走を止めることはできるのか?
5年間で43兆円もの防衛費増額
<通常国会スタート>なぜ岸田総理は増税に固執するのか? 暗躍する財務省の振り付けと「財源確保法案」の行方© 集英社オンライン 提供
昨年末から増税話が世間を賑わしている。
コトの発端は防衛費を5年間で43兆円増額するという話。そのための財源の一部は増税によって確保するという方向性が決まったのだが(「方向性」としたのは、いつからやるのか等についてはまだ完全に決まったわけではないから)、岸田総理が増税によって防衛費増額の財源の一部を確保すると表明してから、なんとわずか8日間、途中土日を挟んでいるので実質的には6日間で決まってしまった。
これに対しては増税に明確に反対している自民党議員たちのみならず、増税に賛成しうる議員たちからも、さすがに異論や非難の声が上がったようである。
更に、防衛費増額の議論とほぼ時を同じくして打ち出された子ども政策関連予算の倍増も、安定財源と称して増税によることが想定されているようだ。それが証拠に、岸田総理の盟友とも言われる甘利明前幹事長がテレビ番組出演時に、子ども予算の財源として将来的な消費税増税に繰り返し言及している。
官邸は火消しに躍起になり、松野官房長官は「甘利氏の意見」として事の鎮静化を図ろうとしている。だが、防衛費増額の財源としての増税のメニューの検討に際して、岸田総理は当初「所得税は考えない」としていたのに、舌の根も乾かぬうちに所得税がその対象として上がってきたことを思い出せば、火消しはごまかしなり煙幕であって、そのうち何食わぬ顔で消費税増税を表明することなど容易に想定できる。
それにしても岸田総理はなぜそんなに防衛増税の方向性という結論を急いだのだろうか? それ以外についてもなぜここまで増税に熱心なのだろうか?
それを考えるには、岸田内閣とは、岸田総理とはどういう存在なのか、そして、財務省とはどういう機関なのかについて知っておく必要がある。
岸田氏に「実現したい政策」はあるのか?
まず、岸田総理は内閣総理大臣になりたくて自民党総裁選に立候補し、国会における首班指名を経て今の職に就いた人物である。
「何を当たり前のことを」と思われたかもしれないが、「内閣総理大臣になりたくなった」の意味するところは、何かやりたいこと、実現したい政策があるわけではなく、ただただその職に就きたい、就いていたいだけ、というのがほとんどで、岸田総理も同様のケースに見える。
ただ単に政治家になりたいだけ、議員バッジを付けたいだけで立候補して運よく当選した議員も少なからずいるし、知事や市長についても同様である。しかし、一国の総理大臣がそれでは日本の行く末は暗いとしか言いようがない。
何もやりたいことがなく、唯一のやりたいことと言えば出来るだけ長く総理の地位にい続けたいということであるから、岸田総理の行動様式は、地位にしがみつくこと、つまり保身が中心となる。保身につながるならば、自ら進んで言いなりになる。
一方で保身につながらないか、立場を危うくしかねないことには、たとえそれが必要であっても検討しかしない。検討ばかりの“検討使”と揶揄された所以である。
そんな岸田総理が率いる内閣だから、やりたいことに向かって突き進むのではなく、岸田総理の保身に振り回されて動く、何がしたいのかわからないものになってしまう。総裁選で掲げた「令和の所得倍増計画」がいつの間にか「資産所得倍増プラン」に取って替わってしまったことがその象徴だろう。
岸田総理と財務省の蜜月
では、岸田総理が言いなりになる財務省とはどのような機関なのか。端的に言って、隙あらば増税をしようと画策する機関であり、また、何らかの政策の結果として税収が増えたことは評価されず、増税を実現出来たことが評価される機関である。
日本の経済状況がどうあろうと、国民生活がどうなろうと、多くの事業者が苦しい状況にあろうと、そうしたことにはお構いなしに増税に突き進む、そんな機関である。そんな機関出身者が今や岸田官邸を仕切っている。安倍内閣は経産省内閣とも呼ばれたが、今や岸田内閣は財務省内閣である。
岸田政権はその迷走ぶりや、何も決めない姿から支持率は低迷し、自民党内では既に「岸田降ろし」が始まったとも言われている。保身のために財務省の言いなりになってくれる岸田総理はいつまでその地位にい続けられるのかわからなくなってきた。
だからこそ岸田氏が総理の座にいるうちにできる増税はやってしまおう、そう財務省が考えて拙速に動き、岸田総理は言われるがままに動いた、ということのようである。端から見ると、検討しかしてこなかった決められない男であった岸田総理が、突如決める総理になったかのようであるが、背景にはこうしたことがあったのだ。
そもそも今回の防衛増税の方向性の決定の更に背景には、アメリカから大量の武器を買うことでバイデン政権の覚えがめでたくなり、保身につながるという目算もあったようだ。
財務省による「岸田総理のうちに増税」作戦は防衛費増額にとどまらず、増税できる大義名分があればどんどん実行される。その絶好の対象が子ども関連予算倍増である。これではまさに増税のための増税なのだが、増税はいきなり、一気に実施するのではなく、ジワジワと進められる。
今回の防衛費増額では法人税、所得税、たばこ税が増税の対象として上がっているが、一緒に歳出改革、つまりは様々な予算を「無駄」のレッテルを貼って削減するということも行われる。「そうだ、行政の無駄を無くせば増税は必要なくなる」と、一般国民にわかりやすく、受け入れられやすそうな考え方だが、政府の財政支出の削減は経済の縮小を意味する。GDPの計算式に政府の支出が入っていることを思い出せば理解できるだろう。
とはいえ「無駄」の削減にも限度が出てくる。「無駄」な予算の削減が難しいとなれば、「予算の削減がこれ以上できないから仕方がない」、「必要な政策の財源確保のためには避けられない」として、次なる増税が検討の俎上に乗っかってくる。それこそが消費税増税である。
しかもこのシナリオを財務省が既に考えており、それに沿ってことを進めている可能性も否定できないこのだが、もしこれらの増税が実施されれば、日本は没落の道を進むことになる(財務省はそんなことはお構いなし)。
そもそも国は税収を前提にして支出をしているわけではなく、また国債を借金と位置付けて60年で償還(返済)しなければならないとしているのは日本だけである(こうした点については別稿で改めて解説したい)。
財務省の言いなりになって、保身のためならなりふり構わぬ岸田総理の暴走を早々に止めなければならない。その最大の山場は1月23日から始まる通常国会である。この国会には、防衛増税を既成事実化するための「財源確保法案(仮称)」が提出される予定である。
この法案を国会に提出させないか、少なくとも審議入りさせてはならない。

文/室伏謙一 写真/小川裕夫 gettyimages