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「民間人殺傷は正当行為」との韓国政府の主張退ける ベトナム戦争時の軍による虐殺、地裁が賠償命令

 ベトナム戦争に派遣された韓国軍による民間人虐殺を巡り、韓国の裁判所が初めて韓国政府の責任を認めた。虐殺で家族を奪われたベトナム人女性が韓国政府を相手取り2020年に起こした訴訟で、ソウル中央地裁は今月7日、政府に慰謝料約3000万ウォン(約310万円)の支払いを命じた。韓国の弁護士らが国をまたいだ国家賠償訴訟を支援しており、日韓の懸案である元徴用工訴訟ともやや似た構図。一審判決は、国家の論理より被害者個人の救済を重視する結論を出した。(ソウル・木下大資)
◆参戦した韓国軍人が証言
 原告は、1968年に韓国軍海兵隊の軍人らがベトナム中部の村で70人以上を虐殺したとされる事件の生存者グエン・ティ・タンさん(62)。きょうだいらを射殺され、自身も腹部に銃撃を受け重傷を負った。

ベトナム中部クアンナム省で13日、韓国の弁護団から勝訴の報告を受け笑顔を見せる原告のグエン・ティ・タンさん(右)=韓・ベ平和財団提供© 東京新聞 提供
 地裁は、参戦した韓国の軍人の証言などから、タンさんの訴えの大部分を認めた。敵兵と住民を区別しにくいベトナム戦争の特性上、「民間人を殺傷したとしても正当行為だった」とする政府側の主張は退けられた。
 韓国政府は65年にベトナム、米国との間でそれぞれ締結した約定書により、ベトナム人が韓国で裁判を提起することはできないとも主張。地裁は「軍当局間で締結した合意にすぎず、条約としての効力を持たない」として、被害者が韓国の裁判所に訴える権利は妨げないとした。
 賠償請求権の消滅時効が過ぎたかどうかも争点だった。地裁は、近年になって韓国で虐殺の真相究明に取り組む民間団体が証拠資料を確保するまで、被害者が実質的に訴訟を起こせる状態ではなかったと指摘。「原告は訴訟を提起するまで、債権者の権利を行使できない障害事由があった」と判断した。
◆「被害者個人に焦点を合わせなければならない」
 韓国軍のベトナム人民間人虐殺は、20年余り前に韓国の週刊誌報道をきっかけに浮上。進歩派の弁護士や市民らが被害者との連帯や真相究明を目指す活動を展開した。一方で、虐殺の暴露は参戦した軍人への名誉毀損(きそん)だとの保守的な考えも残る。ベトナム政府も内戦の記憶に触れることに消極的だったこともあり、韓国政府は虐殺を明確には認めてこなかった。
 韓国軍による虐殺の被害者は9000人以上との見方があり、韓国メディアでは「今後、類似の訴訟が相次ぐ可能性がある」と懸念する論調もある。李鐘燮(イジョンソプ)国防相は「国防省が確認したところでは虐殺は全くない。判決には同意できない」との立場を示した。