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安倍総理の志は死なない!!

トヨタなど日本勢に追い風 EV一辺倒だったEUがエンジン車販売禁止を転換

欧州連合(EU)は脱炭素に向けて2035年以降にエンジン車の新車販売を禁止するとしていた方針を転換した。ドイツ政府の意向を受けて、水素と二酸化炭素(CO2)を原料にした「e―fuel(イーフュエル)」と呼ばれる合成燃料を使用する新車に限り販売を認める。電気自動車(EV)一辺倒だった欧州の方針転換は、車の脱炭素化へ多様な選択肢を提供すべきだと訴えるトヨタ自動車など日本勢にとって追い風となりそうだ。
ドイツで雇用喪失懸念強まる
欧州連合(EU)欧州委員会とドイツ政府は25日、35年以降も条件付きでエンジン車の新車販売を容認することで合意した。
脱炭素に向けて、欧州委はエンジン車の新車販売を35年までに事実上禁止する法案の採択を目指していたが、ドイツの反対で方針転換を余儀なくされた。28日に修正した法案が採択される見通しだ。
方針転換の背景には、フォルクスワーゲン(VW)やBMWなど多くの自動車大手を抱えるドイツでエンジン関連の雇用損失を懸念する声が強まっていたことがある。
EV普及を強く推進している欧州が条件付きで、エンジン車を容認したことについて、東海東京調査センターの杉浦誠司シニアアナリストは「日本の自動車メーカーにとってはプラスに働く」と指摘する。
イーフュエルはガソリンより高価
車の脱炭素化に関して、欧州は日本勢が得意とするハイブリッド車(HV)を排除する姿勢を鮮明にし、中国とともに世界のEVの潮流を作ってきた。これに対し、トヨタをはじめとする日本の自動車各社は地域のエネルギー事情に合わせて、EVやHV、燃料電池車(FCV)など多様な選択肢を展開する方向で事業戦略を進めている。
昨年には米国のカリフォルニア州やニューヨーク州も35年までにHVの新車販売を禁止する方針を示すなど日本勢の旗色は悪かったが、「自動車大国のドイツがEV一択では脱炭素化の実現が難しいと判断したのは大きい」(国内の自動車メーカー幹部)。
もっとも、デロイトトーマツグループの後石原大治パートナーは「(EUの動きは)日本勢の考え方と近くなっている点で追い風だが、優位性を取れるかどうかは今後、注視が必要だ」と話す。エンジン車販売容認の条件としたイーフュエルは価格がガソリンよりも高く、高級車に利用が限定されるとの見方もあり、利用が広がるかは不透明だ。
各国の環境規制は流動的で、二転三転する可能性もあり、日本勢は変化への対応力が問われる。(黄金崎元)