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Jアラート「北海道に着弾の可能性」発令は何も間違っていなかった…「ミサイルはマッハで来る」「国会議員の『おおかみ少年』発言はまったくの筋違い」と元空自幹部が断言するワケ

13日に北朝鮮が弾道ミサイルを発射した際、一時このミサイルが「北海道周辺に落下する可能性がある」として全国瞬時警報システム(Jアラート)が発令された。この対応をめぐり、与野党の政治家から様々な苦言が発せられた。 
その一部を抜粋すると、与党である自民党の萩生田光一政調会長が、党会合で「混乱が見られた。国家の安全に関わる」と述べこの運用の改善を求めたほか、野党である立憲民主党の泉健太代表は、党会合で「国民の信頼が得られる情報発信を求める」と発言、同党安住淳国対委員長からは「正確性がないと、国民への影響が大きい」「確実性が乏しい発信を繰り返せば、信用を失っておおかみ少年に陥る」などとの指摘がなされた。
これらに対し、政府の松野博一官房長官は記者会見で、この対応について「判断は適切だった」と述べた。
果たして、今回の対応は、松野官房長官が述べたように適切なものだったのだろうか。それとも、これら与野党政治家の方々の指摘のように、今回のJアラートの発信は不正確で不適切なものだったのだろうか?
過去に実際の現場でこのような弾道ミサイル対処に携わってきた者としての結論は、今回のJアラートによる「国民保護に関する情報」で、「北海道周辺に落下するものとみられます」と伝えた政府の判断は、正しかったと思うことについて前編『Jアラート「北海道に着弾の可能性」発令は何も間違ってはいなかった…「北朝鮮の3段式ミサイルの“最後の弾頭”は北海道に向かっていたかもしれない」と元空自幹部が分析』で述べた。
発生した事案の分析から、北朝鮮が第3段階の弾頭の動向を追跡し切れていなかったと考えられること、日本の防衛省も同様であり、そのため結果的にミサイル発射の30分後に「北海道周辺への落下の可能性」のJアラート発令にいたったこと、また自衛隊の弾道ミサイル防衛統合任務部隊(BMDJTF:Ballistic Missile Defense Joint Task Force)が迎撃態勢に移行していたであろうことについて触れてきた。
警報が無効となれば「解除」すれば良いだけ
一方、これらの事態に対する政府の動向についてであるが、国民に対しては、北朝鮮のミサイル発射が試験発射か実際の攻撃か判明しない以上、わが国領域内に着弾する可能性があることを迅速に通知するのは当然のことであり、政府の責任でもある。
そのためにJアラートというシステムを構築したのである。このシステムを使用して警報を流した今回の判断は何も間違ってはいない。これが結果的に、予想どおりに落下せず消失又はいずこかに落下したとしても、何も責められるものではない。
というよりは、責めてはならないのだ。マッハの速度で飛翔するミサイルというような兵器の対応について、極度に正確性を追求すれば、警報発令のタイミングを失して結果的にミサイルが着弾してしまうような、最悪の結果を招く可能性があるからだ。
ウクライナで空襲警報が外れたら政府を責めるか?
今回の場合も、発射後約30分、落下予想の5分前という時間を見ると、事の重大性を考えて、正確性を追求するのにどこかで時間がとられた可能性もある。弾道ミサイル関連のJアラートが、ミサイル発射を探知する自衛隊からいくつかの結節を経て発令されることも、多少の時間ロスを発生させる要因となっている。この辺りは、萩生田政調会長が述べたように、その運用に改善の余地があるかも知れない。
つまり、何よりも今回のような警報に関しては、正確性より迅速性を追求しなければならないのである。そして、この脅威がないことが確認されれば、この警報を「解除」すれば良いだけなのだ。ところが、今回政府はこれを「訂正」とした。これは大きな過ちである。「訂正」などというからこのような批判を招いてしまったのである。
また、各メディアの報道についても、警報発令当初、いたずらに勝手な推測を加えて不正確なコメントを述べ、混乱を招くようなところがあった。このような場合、次の情報が発表されるまで、判明している事実だけを迅速確実に伝えるという姿勢を徹底していただきたいと思う。
そもそも、軍事攻撃というものは相手側の意図によって行われるものであるから、時々刻々と変化するのは当たり前である。常に、最悪を予想してこれに対応しなければならない。ウクライナの状況を見ても分かるとおり、空襲警報が流されたからと言って、実際にミサイルや爆弾が着弾するとは限らない。着弾しないことの方が多いかも知れない。だからといって、誰も警報を流す政府や軍を「おおかみ少年」などとは思わない。
そんなことを指摘するよりは、政治家ならば、すでにわが国がウクライナのように、「いつ周辺国の戦争に巻き込まれ、領土内にミサイルが着弾するような事態が起きてもおかしくないような状態に置かれている」という認識をもって、国民保護に関する法整備や施設整備を急ぐべきだと思うのだが、いかがであろう。
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