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安倍総理の志は死なない!!

ニュースの核心 中国「非公式警察署」問題 岸田首相は〝主権侵害〟に毅然とした対応を 米国で2人逮捕、米司法省「訴追は中共への明確な返答だ」

習近平国家主席率いる中国が、日本を含めた世界50カ国以上に「非公式警察署」の拠点を設置していたとされる問題で、米国がついに動いた。米司法当局は、ニューヨーク・チャイナタウンにおける、中国の「非公式警察署」の開設・運営に関与したとして男性2人を逮捕した。中国公安部の指示を受けて活動していたという。日本でも複数の「非公式警察署」の存在が指摘されているが、明確な「主権侵害」に対し、岸田文雄政権はどう対応対峙するのか。ジャーナリストの長谷川幸洋氏による、怒りのリポート。

米司法省は17日、中国がニューヨーク市内に設置した「非公式警察署」の開設と運営に関与した中国系米国人2人を逮捕した、と発表した。非公式警察署は日本にもある。岸田政権は何をモタモタしているのか。
私は昨年11月の本欄で2回にわたって、この問題を取り上げ、岸田政権に断固たる対応を求めた。国会でも参政党の神谷宗幣参院議員が政府に2回、質問主意書を提出した。だが、政府は「我が国の情報収集能力等を明らかにするおそれがあることから、お答えは差し控えたい」などと回答しているだけだ。
目の前で堂々と日本の主権が侵害されている恐れが極めて高いのに、まるで、やる気が感じられない。これでは、いくら中国に「ルールに基づく国際秩序」などと説いても、鼻であしらわれてしまう。
米国は断固として対応した。それは、司法省の検察官が記者会見で語った言葉に、鮮明に示されている。
「ニューヨーク警察が北京に『秘密の派出所』を開設するなど、考えられないだろう。それが、マンハッタンで起きていたのだ。彼らは『中国人の運転免許証更新を手伝っている』などと言っていたが、それさえも司法長官の許可がなければ違法だ」
「もっとひどいのは、中国の非公式警察署は逮捕した2人に、米国に住む中国の民主活動家の居所を突き止めるよう指示していたことだ。彼らは連邦捜査局(FBI)の捜査が入ったと分かると、中国当局との通信記録を破棄した」
「中国公安部(MPS)は大胆にも、繰り返し、われわれの主権を侵していた。中国からの亡命者に帰国を迫り、彼らの家族も脅していたのだ」
「われわれは中国共産党が何をしているか、分かっている。米国では許されない。今日の訴追は、中共に対するわれわれの完全に明確な返答だ」
この問題で中国人が逮捕されたのは、世界でも今回が初めてだ。司法省は2人の逮捕にとどまらなかった。中国公安部職員と米国の情報通信企業に勤める中国人ら44人も同時に訴追した。彼らは中国などに在住している、とみられている。米FOXニュースやCNNは、ニューヨーク地裁が公開した顔写真の一部も報じた。
中国が外国で非公式警察署を運営している問題は、スペインの人権NGO「セーフガード・ディフェンダーズ」が昨年9月、報告書を発表して、明るみに出た。日本を含めて50カ国以上、100カ所以上に存在していることが分かっている。
日本では、少なくとも東京都内など3カ所に存在しており、「与党議員が関係団体の高級顧問に就任している」とも報じられた。岸田政権の甘い対応は「与党議員の存在」が関係しているのか。何か別の事情があるのか。それとも、そもそも岸田政権自体が「親中」だからなのか。
長野県軽井沢町で18日に開かれたG7(先進7カ国)外相会合は、中国について「力による一方的な現状変更の試みに強く反対する」という共同声明を発表した。
政権の本質を物語るのは、言葉ではなく、実際の行動だ。これで3度目だが、自分の足元で「中国に断固たる対応を示せ」と注文したい。
■長谷川幸洋(はせがわ・ゆきひろ) ジャーナリスト。1953年、千葉県生まれ。慶大経済卒、ジョンズホプキンス大学大学院(SAIS)修了。政治や経済、外交・安全保障の問題について、独自情報に基づく解説に定評がある。政府の規制改革会議委員などの公職も務めた。著書『日本国の正体 政治家・官僚・メディア―本当の権力者は誰か』(講談社)で山本七平賞受賞。ユーチューブで「長谷川幸洋と高橋洋一のNEWSチャンネル」配信中。