Shinzo-Returns

安倍総理の志は死なない!!

〝岸田ステルス増税〟金持ちと官僚優遇の仕組み「社会保険料上乗せ、扶養控除縮小」 国民「1世帯あたり10万円の負担増」森永卓郎氏

物価高に賃金上昇が追い付かず、家計が苦しい状態が続いている。今後も「電気料金の値上げ」や「防衛増税」「保険料の引き上げ」などが控え、国民の生活は苦しくなるばかりだ。岸田文雄政権肝いりの「異次元の少子化対策」でも、増税を否定する一方で、社会保険料の上乗せ徴収や扶養控除の縮小など、「ステルス増税」とでもいうべき負担増が仕掛けられている。専門家は「1世帯当たり10万円の負担増となり、優遇されるのは官僚や金持ちだ」と批判する。

政府は児童手当の支給対象を来年度にも拡充し、現行の中学生までから、新たに高校生にも1人当たり月額1万円を支給する方針だ。第3子以降の支給額も倍増させ、所得制限も撤廃することを検討している。
児童手当の拡充に加え、育児休業給付の充実や保育サービスの利用拡大などで、2024~26年度に年間3兆円規模が必要となる。その財源について岸田首相は22日、「大前提として、消費税を含めた新たな税負担については考えていない」と述べたが、代わりに歳出カットや企業の拠出金のほか、個人の負担増となるものも検討されている。その一つが「社会保険料の上乗せ徴収」だ。
実際の負担額は所得に応じて変わる可能性があるが、政府は1人当たり月500円程度、年間6000円程度の上乗せを検討、26年度にも徴収を始める方向だ。現役世代や高齢者、単身者らは手取り収入が減る上、「目的外使用」との批判もある。
もう一つが「扶養控除の縮小」だ。現行の扶養控除は、扶養する親族が16歳以上19歳未満の場合、所得税を計算する際に年収から38万円を差し引くことで税負担が軽くなる仕組みだ。16歳未満が対象の「年少扶養控除」は、民主党政権が子ども手当(現児童手当)を導入した際に廃止された。今回も児童の手当拡充とともに、縮小または廃止となる可能性が高い。
少子化対策をめぐる国民負担について、「1世帯あたり10万円の負担増と試算でき、多くの国民の生活が悪化する」と指摘するのは経済アナリストの森永卓郎氏だ。
「社会保険料の上乗せ徴収では、所得ゼロを含む全世帯、特に高齢者らが最も影響を受けるもので、増税よりもひどいものだ。児童手当の所得制限撤廃では、夫婦共働きで高収入の『パワーカップル』は大きなメリットを得られるが、そこには実は官僚も含まれる。国家公務員の平均賃金は民間の正社員と比べて約3割、非正規まで含めると約5割高いので、有利になる役人も大賛成なのだろう。低所得層の賃金を底上げをすべきなのに金持ち優遇になっている」と強調した。
家計や企業を取り巻く環境はすでに厳しい。大手電力7社は家庭向け電気料金を6月分から値上げする。今月12日には75歳以上の公的医療保険料を24年度から段階的に上げる健康保険法などの改正法も成立。防衛費増額の財源を確保する特別措置法案も23日に衆院を通過した。国有財産の売却などの税外収入や歳出改革、決算剰余金を組み合わせて防衛財源を捻出し、不足分を増税で賄う方針だ。
帝国データバンクが4月末に発表した調査結果によれば、23年も2万品目を超える食品の値上げが予想されている。仕入れ価格が上昇しても価格転嫁ができないことなどによる「物価高倒産」も10カ月連続で最多を更新した。
国民や企業などの負担率は47・5%に達し、江戸時代の年貢にたとえ「五公五民」とも揶揄(やゆ)される。
岸田首相は、負担分は公的サービスに還元されているとして「同列に論じるのは不適当だ」と反論しているが、経済への影響は避けられない。
第一生命経済研究所の永濱利廣首席エコノミストは「G7(先進7カ国)で2010~20年の国民負担率の上昇率を比較すると、日本は6・9ポイント上昇しており、2位のカナダの3・3ポイントと比較しても2倍以上の伸びだ。国民負担率が1%分上昇すると、(持続的な経済成長の目安となる)潜在成長率マイナス0・11ポイントの押し下げ要因になる。また、社会保険料の負担が増えると、逆に未婚率を上げて少子化に拍車をかける構図にもなりかねない。企業の賃上げの機運にも水を差す可能性がある」と警鐘を鳴らす。
国民負担が増え続ける背景について、前出の森永氏は「財務省が岸田政権に、負担増を働きかけているのだろう。国民からさらに巻き上げ、日本を重税国家にしようとしている」と強調した。