Shinzo-Returns

安倍総理の志は死なない!!

中国の食糧自給率がもう限界…

習近平の「食糧安全保障」
中国のSNSやネット上では最近、次のようなニュースが頻繁に取り上げられるようになっている。
「福建省のある村の花畑が政府の強制的な命令で耕地に改造へ」
「成都市政府は341億元投じて建設した緑地帯を耕地に改造へ」
(5月22日付ニューズ・ウイーク)
キーワードは「退林還耕」。「退耕還林」をもじった用語だ。
退耕還林は1990年代末に始まった森林保護政策だ。痩せた土地での耕作をやめて植林を進めることにより、洪水や土壌浸食などの環境問題の解決を目的としていた。これに対し、退林還耕は食糧危機を防止するため、緑地を農地に戻すことが狙いだ。
今年3月の全国人民代表大会(全人代)の閉幕後の記者会見で新任の李強首相は「中国14億人のためのご飯茶碗が常に私たちの手でしっかりと握られているようにする」と述べ、自国の農家がより多くの穀物を生産することを奨励した。
習近平国家主席も最近「食糧生産能力建設」と題する重要講話を行っており、ついに退林還耕政策がスタートした、ともっぱらの噂だ。
中国は、なぜ今、環境保護よりも食糧増産を優先するようになっているのだろうか。それは、ロシアのウクライナ侵攻が大きく影響している。
中国「食料自給率95%」はもう限界
ウクライナは、中国にとってトウモロコシの大輸入国だった。2021年に824万トンものトウモロコシを輸入していたウクライナからの供給が危ぶまれる事態になっている。
さらに問題なのは、中国のトウモロコシの最大の輸入先が米国(1983万トン)ということだ。
ウクライナ戦争後の米中関係は悪化しており、中国国内では「今後、米国が食糧供給を絞るのではないか」との懸念が生じている(6月5日付日本経済新聞)。
このような国際環境の悪化を受けて、習近平は食糧自給率の向上にご執心のようだが、はたしてうまくいくのだろうか。
中国の食糧問題は長年、国際社会の関心の的だった。
1994年、米国の思想家レスター・ブラウンが「だれが中国を養うのか?」と題する論文を発表し、「中国の経済的台頭により世界が食糧不足に陥る」との警鐘を鳴らしたが、30年後の現在、その予言は幸いなことに的中していない。
1996年11月にローマで開かれた世界食糧サミットで李鵬首相(当時)は「中国は95%の食糧自給率を維持する」と宣言し、中国はその後、毎年のように食料を増産し、その約束を守ってきたからだ。
だが、その取り組みは既に限界に達している。
習近平の「食糧安全保障」は、失敗に終わることだろう。