Shinzo-Returns

安倍総理の志は死なない!!

インフレは目に見えない税金だ、社会保険料も「増税」が続く、インフレの時代にはともかく減税すべし

過去最高税収の理由
NHK 7月7日「なぜ?税収は過去最高でも借金増」であるのはなぜか?というのは多くの国民が抱く疑問であろう。
昨年度の国の税収は、一般会計で71兆1374億円と前年度よりも4兆995億円増えて、3年連続で過去最高を更新している。
例えば、サラリーマンが毎年昇進・昇給して大幅に給料が増えているのに、借金を減らすどころかさらに借金を重ねて「火だるま」になっているのと同じだ。「いったい何をやっているんだ……」ということになるはずだ。
さて、最近の税収増の理由については、世間で言われているような「景気回復」による部分は意外に少ないと考える。
前記記事に税収の内訳の表が記載されている。極めて単純に考えれば、4%(昨年12月コアCPI)のインフレと仮定すると、前年度21兆8886億円の消費税の税収は22兆7641億円になり、それだけで8758億円増えることになる。この数字は、実際の消費税の増加額1兆1907億円と1兆円を挟んで大差が無い。つまり、消費税の税収増加の主な理由はインフレであると考えることができるのだ。
また、所得税は、前年度から1兆1395億円増えて22兆5217億円だが、昨年の21兆3822億円に対しての増加率は5.3%以上だ。こちらは、累進課税(1月23日公開「減税で滅んだ国家はない、増税は国家衰退のサインだ」6ページ目「インフレでは自然増税になるから減税が必要だ」参照)の区分が(実質的に)上がっている影響もあると考えられる。つまり、所得税においては「実質増税」がすでに始まっているともいえる。
さらに法人税については、前年度の13兆6428億円より1兆2970億円増えて、14兆9398億円であり、前年度より9.5%増えている。確かに企業業績が好調なこともあるが、インフレや円安などによる「見かけの売り上げや利益の増加」の影響もかなりあると推察される。
このように、必ずしも手放しで喜べない税収の増加だ。しかし、どのような理由にせよ税収が増えているにもかかわらず、昨年度は結局50兆円規模の新たな借金をしている。繰り返すが、「いったい何をやっているんだ……」ということだ。
借金まみれで袋小路へ
確かに、71兆円という税収は巨額だ。だが、昨年度の一般会計の歳出は139兆円にも上る(なお、結果的に11兆3000億円が執行されずに「不要」となっている)。収入のほぼ2倍の支出を行っているのだから、年収500万円のサラリーマンが1000万円の散財をしているのと同じである。
このような状況が平然と見過ごされているのは「恐ろしい」とさえ感じる。税収が6%増えたと言って喜んでも、年収500万円のサラリーマンの年収が530万円になったのと同じである。1000万円の散財を何とかしなければ(それ以外にも過去に膨大な借金を背負っている)、問題が解決しないことは明らかである。
しかも、昨年7月23日公開「インフレで年金、健康保険に頼れなくなる中、どう生き残ればいいのか」4ページ目「健康保険、年金の破綻」で述べたように、社会保険を支える収入の内、保険料は6割以下しかなく、約4割は「税金」で負担している。後述するように、税金と社会保険料の区別が(事実上)無くなりつつあるから、社会保険料も「財政問題」と捉えるべきかもしれない。
このように、財政も社会保険も「袋小路」に直面し、どうしようもなくなったことが、岸田政権の「(社会保険料を含む)増税路線」の根本原因といえよう。もちろん、岸田政権の責任は大きい。しかし、このような「袋小路」に直面せざるを得なくなったのは、過去「改革」の必要が叫ばれながらも、それを実行してこなかった歴代政権の責任でもある。
増税は国家衰退のサインだ
確かに、袋小路の前に立ったままではどうしようもないから、何らかの解決策を考えなければならない。だが、その解決策が増税ではない(少なくとも中心的政策ではない)ことは明らかだ。
1000万円の散財をしているサラリーマンの500万円の収入を手っ取り早く増やそうとしてもかなり難しい。同じように税収を増やすと言っても数%単位である。もし、税収を何割も一度に増やそうとすれば、国民の生活は破綻する。
1月23日公開「減税で滅んだ国家はない、増税は国家衰退のサインだ」の通りだ。
歴史において増税によって破綻した国々は多いが、2013年12月4日ダイヤモンド・オンライン「“無理な『財政再建』と『増税』が民間経済を圧迫!”現代日本と歴代中華帝国の意外な共通点とは?」3ページ目「政財界の癒着、派手な公共事業、増税。その結果は……」、4ページ目「”財政再建による民間経済の圧迫”古代中国から学べる教訓とは?」における古代ローマ帝国、中国歴代王朝の事例などが参考になる。
要するに、借金の返済を含めた支出のコントロールができなくなるから、増税が必要なのだ。
500万円の収入なのに1000万円の散財をしているサラリーマンには、「まず散財をやめさせる」ことが必要なのと同じく、日本政府も「バラマキ」をやめることが最優先課題なのである。
そうしなければ、2021年10月25日公開「日本は外国に借金していないからデフォルトしないというのは本当か?」の副題「結局、どこかで国民がツケを払う」が現実のものとなってしまう。
社会保険料も「増税」!
これまでも年金や国民健康保険の問題は繰り返し指摘してきた。
昨年11月21日公開「健康保険と『国営ねずみ講』の年金を『第2税金化』で維持に必死の日本政府」副題「金利が上昇すればどうせ破綻する」のように、岸田政権が血眼になって保険料引き上げなどをしても焼け石に水だ。
また、1200兆円とされる政府の借金の利払いは、金利が1%上昇するだけで(単純計算で)12兆円も増える。5%の上昇ならば60兆円の増加であり、税収とほぼ同レベルである。つまり、収入がほぼすべて利払いに消えるという「悪夢」が現実のものになる。
年金の支給開始年齢を政府が「勝手に」遅らせて(フランスでは5月20日公開「7公3民、21世紀のフランス革命は起こるか、そして5公5民の日本では?」のような激しいデモが起こった)、何とか辻褄を合わせようとしているが「年金の持続可能性」は限りなく低い。
さらに、前記「インフレで年金、健康保険に頼れなくなる中、どう生き残ればいいのか」4ページ目「健康保険、年金の破綻」で述べたように、社会保障費の4割以上が国や地方自治体の公費(税金など)で賄われている。
社会保険制度は本来徴収する保険料によって運営される「独立採算」であるべきなのに、これでは意味が無い。税金から(多額の)補填を受けるということは、赤字だらけの国家財政と一体化するということだ。
社会保険料が文字通り「第2税金」となり、「第1税金」とコンビを組んで我々を苦しめている。
必要なのは増税ではなく無駄遣いを減らす事
結局、節操の無いバラマキ資金の調達のための増税は、国民を不幸のどん底に落とす。
是正すべきバラマキの例については、前記「減税で滅んだ国家はない、増税は国家衰退のサインだ」3ページ目「問題は税金取り立てではなく無駄遣いの抑制」などを参照いただきたいが、その他に国民健康保険の赤字と密接なつながりがある医療費にも膨大な無駄がある。
例えば、後期高齢者の医療における「既得権益」もまだまだ温存されている。「後期高齢者の窓口負担割合の変更等(令和3年法律改正について)」のように、昨年改正が行われてはいるが、まだまだ現役の3割負担とは差がある。
もちろん、この制度が「持続可能」であるのなら、「若者も高齢者になった時に……」という理屈が成り立つが、明らかに「現在の健康保険制度は『持続不能』」である。搾り取られるだけの現役世代の不満は大きい。
「健康保険制度」がどうせ「持続不能」であるのなら、リスクを犯しても、(後期高齢者を含めて)「5割負担」などの抜本的改革を行う価値はあると思う。
確かに「5割負担」は多くの人々にとって厳しいが、毎月の社会保険料支払い負担も減らすことが可能であろう。何よりも健康保険制度の「持続可能性」を高めることができる。
医療費が膨れ上がるのには色々な理由があるが、それに対する重要な「処方箋」は、患者(ユーザー)のコスト意識を高めることだ。昨年1月15日公開「親方日の丸の巨大産業・医療-年金だけでなく健康保険も破綻はある」で述べたように、医療業界のコスト意識の低さが多数の問題を引き起こしているのである。
5割負担ともなれば、医師に言われるがまま投薬を受け入れるのではなく、その効果と費用のバランスについて患者も真剣に考えるようになるはずだ。入院などについても同様だ。
もちろんこの場合には、昨年10月31日公開「インフレに平均寿命も頭打ち、大乱の時代に生命保険は役にたつのか」3ページ目「高額医療費制度廃止、健康保険崩壊からの連鎖」で触れた高額医療費制度は残す。
この制度があれば、たとえ5割負担であっても極端に高額な治療費の支払いは回避できるから、健康保険制度の意味は充分にある。
バラマキよりも減税
結局、現在の政府のやり方は、「バラマキで散財」して、そのつけを「増税」で賄うという手法である。
何度も繰り返すが、500万円の収入のサラリーマンがまず「1000万円の散財」の問題に取り組むべきであるのと同じように、日本政府は、70兆円の収入なのに140兆円近い散財を行うことをやめなければならない。
例えば、本来自立すべき経営者を公的資金で救済してゾンビ企業を増やすやり方が上げられる。このゾンビ企業を増やすために使われた資金は、最終的に国民負担になるのだ。
また、インフレ対策と称するバラマキも即刻停止すべきだ。そのバラマキが結局インフレを加速するし、ゾンビ企業のケースと同様、その費用は国民負担となる。
増税をしてそのようなバラマキをするくらいなら、インフレによって生じる「自然増税」の負担を減らすために、「減税」を行うべきであろう。
恐ろしい物価連動税…消費税
物価が上昇すると自動的に税額も上がる消費税の恐ろしさが身に沁みます!!