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安倍総理の志は死なない!!

どうすることもできない…リニア抗戦の静岡・川勝知事が狙う次のネタは「土と生き物」遠のくリニア開業

元プレジデント編集長の小倉健一氏は「静岡県の川勝知事がまた新たな印象操作を始めた」と警鐘を鳴らすーー。


国もついに呆れた!報告書「川勝知事の言っていることはおかしいが、川勝知事が納得しないから言う通りにしなさい」
静岡県の川勝平太知事が原因で、リニア中央新幹線の静岡工区での建設着工が遅れに遅れている問題で、ようやく「水問題」の解決が見えてきた。大井川の水が減った分についてJR東海に責任をもってもらうことでできていた大筋合意をひっくり返した川勝知事。『工事の際にでる「水一滴」まですべて大井川に戻せ』(いわゆる「全量戻し」)という無理難題の一点突破でやってきたものの、国の有識者会議の中間報告において、川勝知事の「屁理屈」は却下されたのだ。
国の有識者会議は、川勝知事が求める「全量戻し」について、「やらなくても水を利用する中・下流の河川流量が維持されないわけではないが、地元との合意形成のために必要」と指摘している。元を辿れば2017年の時点で川勝知事以外の県庁幹部とJR東海が全量戻しなどない条件で大筋合意をしていたことから考えれば、この報告書の「地元」とは、つまり川勝知事のことである。


なんのことはない、国の報告書は「川勝知事の言っていることはおかしいが、川勝知事が納得しないから言う通りにしなさい」と報告しているわけだ。あまりにもバカバカしい話ではないだろうか。


わずかな量の水のために、静岡工区の工事を遅らせた川勝知事
JR東海の解析結果では、この静岡工区の建設工事によって、工事期間中の一部期間に限り県外に流出する水の総量は、大井川の年間の河川流量のうちわずか、0.2~0.3%にすぎないのである。この中下流域の水利用には全く影響しないような量の水のために、静岡工区の工事はもう10年近く(お隣の山梨工区は2015年12月着工)進んでいないのだ。大事なことなので繰り返しになるが「水資源への影響はない」(国の報告書)のにもかかわらずだ。


「大井川の水は、命の水」だとして、あたかも工事で水がなくなるかのような印象操作を行ってきた川勝知事だったが、いよいよ「水」問題での妨害工作は終わりを迎えつつある。


これはメディア全体の問題でもあるのだが、水問題での印象操作を川勝知事が開始したとき、きちんと誤りを指摘したり、反論をしてこなかった。地元紙である静岡新聞が繰り返しJR東海側の問題が大きいように主張をしていたこともあり、この水問題の解決は本当に時間がかかることになってしまった。続く問題も、水同様に川勝知事の印象操作でしかないことを世の中に理解しておいてもらえれば、解決も早まるはずだ。


次は「土一粒」と「生き物一匹」がターゲットに
「水一滴」の次に、川勝知事が狙っている印象操作は、「土」(盛り土問題)と「生き物」(生態系問題)である。工事でできた土は「土一粒」に至るまで、静岡県に置くな。そして、工事によって「生き物一匹」殺すなともいうべきものである。川勝知事の最近の口ぶりをみていると、どうやら先にネガティブキャンペーンをはじめるのは「土一粒」のようだ。よって、今回はトンネル工事に伴う発生土について解説をしておこう。


盛り土(もりつち)、盛土(もりど)とは、トンネル工事などでできた土を使って、人工的に造られる構造物だ。読んで字の如く、土を盛り上げて固めるものだ。リニアの工事、とりわけ静岡工区では370万㎥の盛土をすることになる。この370万㎥ではせいぜい高速道路のパーキングエリア(新東名高速道路の清水パーキングエリアは350万㎥)ぐらいのものしかつくれない。川勝知事が愛してやまない富士山静岡空港の建設にあたっては、人家の近くに2600万㎥の盛土をおこなった。


この盛土を、川勝知事は厄介者のように扱っているが、そもそも何かを建築する際に盛土は必要なことが多いので、工事現場で重宝されている。例えば山梨県の早川町は、リニア工事でできた盛土をつかって、防災拠点の整備事業や道路の造成工事などに活用している。しっかりJR東海とコミュニケーションをとれば、こうしたWIN-WINの関係も築けるはずなのに、川勝知事はどれだけ県民益を損ねているか、ため息がでる。


川勝知事が「盛土が危ない」2つの理由をそれぞれ論破(じゃあ、熱海の件はどうなんだよw)
このわずか370万㎥の盛土を置く場所について、川勝知事は「危ない!」という印象操作をしているのが現在の状況だ。川勝知事の「盛土が危ない」という根拠は、2つある。


1つ。熱海で起きた土石流災害で発災の原因となった違法業者による「盛土」があり、その違法盛土の量のおよそ60倍がリニアの盛土量だということ。


2つ。JR東海の盛土を置こうとしている南アルプス一帯は、「国交省の深層崩壊推定頻度マップ」の危険度が比較的高い箇所であるということ。


まず、1つ目から片付けていこう。違法業者が積んだだけの盛土と、JR東海のガチガチに固めて排水溝設備まで完備した構造物としての盛土はまったく別物であること。JR東海が公表している資料によれば、同社が計画している盛土は、100年に1度クラスの大雨にも耐えられるように設計されている。ちなみに、静岡県盛土条例は5年に1度クラスの大雨に耐えればよいとしている。想像してほしい。新幹線も含めて、これまで一般的に鉄道は盛土の上に線路を敷いてきたわけである。これが雨などに影響を受けてその度にどこかへ流れ出ていたら、JRはまともな営業などできない。JRの盛土技術を違法業者と一緒にするという感覚がそもそもおかしい。また、盛土の量が熱海の60倍ととても多い、と強調するが、仮に量だけで単純比較するその理屈が通るなら、その更に7倍もの盛土をしている富士山静岡空港はどれだけ危ないということになるのだろうか。


静岡市街からクルマで4時間半かかる場所なんだが…
次に2つ目だ。まず、この盛土がされるツバクロという場所だが、静岡市街からクルマで4時間半(リニアなら東京=名古屋間を4往復弱できる)もかかる場所にあり、周囲に誰も人が住んでいない。雨が降ろうと、富士山が爆発してマグマが流れ込もうと、南海トラフ地震が起きようとも、北朝鮮ミサイルが落ちようとも、絶対に人は死なない。


さらにこの付近で大規模土石流が発生すると仮定してJR東海が実施したシミュレーションでも、河道閉塞は発生せず、水は流れ続けることがわかっている。また、静岡県は、2014年の準備書に対する知事意見、2017年の事後報告書に関する知事意見、その他の専門部会意見などにおいて、この盛土に対して、明確にその場所が「不適地である」という懸念が表明されることはなかった。


印象操作がバレバレであることに気づき焦りだした川勝知事
突然、「ツバクロに置くべきではない」と川勝知事が言い出したのは、中間報告によって「水一滴」がバレバレの印象操作であることが世間に知られ、JR東海が県外流出分の水の戻し方の有力案である田代ダム案を提示した後である。この時期になって突然「危ない」と言い出すのは、単純にゴールポストを動かしただけであることは、これまで述べてきた時系列からも明らかであろう。


科学的、工学的根拠もなく、突然の「土一粒」静岡県には置かせないなどと、笑止千万だ。以上のようなことは百も承知の地元メディア・静岡新聞がどういうアクロバティックな論法で川勝知事を擁護するか、非常にミモノだ。


そして、「土一粒」が不発に終われば、今度は「生き物一匹殺すな」という言いがかりが川勝知事から始まることになる。とはいえ、まずは「土一粒」論争を早期に終結させよう。不信任が否決された以上、辛抱強く、川勝知事の印象操作を跳ね返していかなければならない。彼に反省の色などない。