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安倍総理の志は死なない!!

習近平政権が異常事態!…国防相「失踪」から聞こえてくる「中国崩壊」の断末魔 進む粛清人事

政権基盤を揺るがしているのは間違いない
中国の習近平政権が「異常事態」に陥っている。秦剛外相が突然、解任されたかと思えば、今度は李尚福国防相の動静が2週間以上も途絶えたままだ。一方、国内ではスパイ狩りが加速し、国民の服装まで処罰の対象にする方針だ。いったい、何が起きているのか。
李国防相は8月29日に北京で開かれた中国平和安全フォーラムに出席したのを最後に、公の席に姿を見せていない。世界で憶測が広がり、とりわけ、中国と国境紛争を抱えているインドのメディアは、こぞって「李氏の行方不明」を大きく報じた。
米国のラーム・エマニュエル駐日大使は9月8日、X(旧ツイッター)で、先の秦外相解任に触れたうえで、今回の李氏失踪について「習主席の閣僚体制は、いまやアガサ・クリスティの小説『そして誰もいなくなった』のようだ」と皮肉を込めて、投稿していた。
李氏は65歳。2022年の中国共産党大会で党中央委員に任命され、ことし3月、国防相に就任した。それ以前は軍装備を調達する部門の責任者を務めていた。
中国当局は、李氏の動静について何も発表していないが、香港の英字紙、サウス・チャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)は7月28日、中国ロケット軍の司令官と2人の副司令官が汚職の容疑で調査を受けている、と報じていた。その後、司令官と政治委員が更迭されている。李氏についても、これまでの経歴を考えれば、汚職容疑が浮上している可能性もある。
もしも、李氏も更迭されたとなると、外相に続く重要閣僚の失脚だ。米国との対立関係が続くなか、習近平政権にとって避けたい不祥事であり、逆に、それほど深刻な事態であることを物語っている。閣僚級ではない幹部クラスに対する粛清人事も続いている。政権基盤を揺るがしているのは、間違いない。
原因は習近平の側に…
政権の異常事態は、一連の重要な国際会議を欠席したことからもうかがえる。
習氏は8月22日に南アフリカで開かれた新興5カ国(BRICS)の首脳会議に参加しながら、同時に開かれたビジネス会合を欠席し、代わりに同行していた商務相が習氏の演説を代読した。飛行機から降り立った習氏の表情は精彩を欠き、同行していた側近が会場に入れず、習氏が不安そうに、何度も後ろを振り返るシーンもあった。
続いて、9月9、10日にはインドで開かれた20カ国・地域(G20)首脳会議を欠席した。本来なら、新興国のリーダー格として指導力をアピールする絶好の場だったはずだ。ところが、習氏の欠席で、中国のライバルであるインドの存在を際立たせる結果になってしまった。
インドのナレンドラ・モディ首相は絶好のチャンスとばかり、攻勢に打って出て、アフリカ連合(AU)をG20のメンバーに加えることに成功した。アフリカ勢はインドに感謝したに違いない。一帯一路プロジェクトを武器に、アフリカの取り込みに腐心してきた中国にとっては、大きな外交の失点だ。
こうした経過を受けて、欧米では「米国との関係改善が思うように進まなければ、習氏は11月にサンフランシスコで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議も欠席するのではないか」という見方が出ている。
だが、米中関係の改善が進まないのは、米国側に大きな責任があるとは言えない。なぜなら、米国はこの間、重要閣僚が相次いで訪中し、関係改善を呼びかけてきたからだ。
5月のウィリアム・バーンズ中央情報局(CIA)長官を皮切りに、アントニー・ブリンケン国務長官、ジャネット・イエレン財務長官、ジョン・ケリー気候変動問題担当大統領特使、ジーナ・レモンド商務長官、さらには対中融和派として知られるヘンリー・キッシンジャー元国務長官までが訪中した。
米中関係の悪化は、2月に米国大陸上空に飛来した中国のスパイ気球を米国が撃墜した事件がきっかけだった。だが、相次ぐ閣僚の訪中は、まるで米国が中国に関係改善を願い出ているかのようだ。双方向の往来が外交慣習なのに、まったく異例である。
これほど一方的な米国のラブコールを、習氏がAPEC欠席という形で袖にするのであれば「原因は習氏の側にある」とみていい。突然の外相解任や今回の「李国防相失踪」が背景にあるとすれば、中国の異常事態も理解できる。
国内の取り締まりを強化
そんななか、習政権は国内で引き締めを強めている。
中国国家安全部は8月21日、米CIAに協力してスパイ活動をしていたとして、39歳の政府職員を逮捕した。彼は日本留学中に米国へのビザを申請したのをきっかけに、CIAにリクルートされ、中国に帰国して政府機関で働き、情報を提供するよう唆された、という。
国家安全部は、この10日前に別の中国人もCIAに協力したスパイ容疑で逮捕している。彼はイタリア留学中にリクルートされ、中国の軍事企業に勤めていた。
上海警察は8月、海外移住について助言する最大手の中国系コンサルタント会社の女性経営者と従業員を逮捕した。中国共産党中央党校の元教授で米国在住の蔡霞(Cai Xia)氏によれば、当局は同社に顧客名簿の提出を要求し、関係者の間で「移住を相談した顧客も摘発されるのではないか」という懸念が広がっている。
中国当局は治安管理処罰法を改正し、国民に有害な服装を禁止する法案も準備している。「中華民族の精神に有害で、感情を損なうシンボルを身に着けたり、服装をしている者は拘束し、罰金を課す」という内容だ。だが、いったいどんなシンボルや服装が、それに該当するのか、明示されていない。
先週のコラムでも紹介したが、習政権は2021年夏から、故・毛沢東主席による文化大革命を思わせるような大弾圧政策に乗り出した。
学習塾や英語教育の禁止とともに、アイドル・タレントが人気を博したテレビ番組も禁止した。
今回の服装規制もその一環とみられるが、たかが服装だが、されど服装である。日々の暮らしに直結する点で、国民に与える衝撃度は、これまでの比ではないだろう。習政権に対する反発も当然、高まるに違いない。
政権内部では閣僚を含めた更迭、粛清人事が続き、社会に対しては異常な弾圧を強める。6月2日公開コラムで紹介したように、米国への不法入国を試みる中国人も続出している。まさに「政権の断末魔」が近づいているのではないか。