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経団連という組織の深い闇と偽善…財政再建を口実に“消費増税”を主張する「詐欺」まがいを許してはいけない

前編記事『経団連による「財政再建のために消費増税すべし」の主張が、偽善まみれの「お為ごかし」と断言できる2つの理由』に続き、経団連が消費増税を主張する2つ目の理由について解説していく。
ここまでは、経団連が消費増税を常に主張し続けたこと、しかし、その背後には、「自分たちの負担が増えるのを減らしたい」という狙いがあったということを解説しました。
こうした狙いは「消極的な理由」と言うことができますが、経団連が消費増税を主張するにはこれとは別に、もっと「積極的な理由」もあります。実は、日本には今、「消費税が増税されればされるほどに儲かってしまう」というメカニズムが存在していて、これこそが、彼らが消費増税を主張する、より本質的な理由なのです。
より多くの還付金を貰いたいから
【理由2】消費税が引き上がると経団連企業への「輸出還付金」が増える
そのメカニズムは、消費税における「輸出還付金」という仕組みによるものです。それは、次のようなものです。
消費税というものは、国内のマーケットで販売した時には支払った人たちに払って貰うことができるという税金、として運用されています。しかし、輸出企業の場合は、消費税を支払ってもらえない、という事態が生じます。なぜなら、「輸出」してしまった商品は、国内マーケット以外で販売したということで、その輸出品を買った(外国)人から、消費税を支払って貰うことができないからです。
ところが、輸出企業がその輸出品を作るために買った原材料を日本国内のマーケットで購入した場合、原材料購入の時に消費税を支払っている、ということになります。したがって、輸出企業の場合、原材料を国内で購入する時には消費税を払っているのに、顧客である海外の人からは消費税を払ってもらえない、ということになります。
これでは不平等だということで、「輸出企業が、輸出品を手に入れるために、日本国内で支払った消費税」を全て「政府が支払ってあげる」(還付する)という仕組みを、政府が作っているのです。これが「輸出還付金」という制度です。
ちなみに、経団連に入っている大企業は基本的に全て、大量の輸出をしている企業ですから、多くの還付金を政府から支払って貰っていることになります。そして、その還付金の金額は消費税率が上がれば上がる程、増えていくことになります。
これこそが、経団連が消費税率を上げる第二の、そしてより積極的、かつ、本質的な理由です。つまり、経団連は、より多くの還付金を貰いたいからということで消費税増税を主張しているのです。それによって経済が冷え込もうが低迷しようが貧困が広がろうが格差が拡大しようが知ったことではない、という次第です。
「輸出還付金」は極めて不当な制度
しかし、読者の中には、「ただ余分に払った消費税を後で返してもらっているだけなのだから、還付金は正当ではないか? だから、輸出企業は別に還付金欲しさに増税を主張しているのではないのではないか?」と感ずる方もおられるかもしれません。
しかしそういう認識は、残念ながら、大間違いです。実態として言うなら、還付金制度とは、極めて不当な制度なのです。
この点を理解するには、経団連大企業と下請け企業との関係を考えることが必要です。
まず、大企業達が原材料を仕入れる企業は基本的に、中小の「下請け」企業が主体です。言うまでもなく、大企業と下請け企業は決して平等ではなく、両者の間には圧倒的なパワーバランス上の格差があります。大企業は、言うことを聞かない下請け企業を使わず、言うことを聞く下請け企業だけを使うことができるからです。
したがって、大企業はその圧倒的な「権力」を使って、多くの下請け企業に対して正当な「消費税」を支払ってはいないのです。
例えば、消費税率が0%の時に100万円で取引していた下請けに対して、消費税率が10%になってもやはり100万円で取引を続けている、という実態が多くの現場において存在しているのです。
もちろん、大企業は、消費税10%の現状においては、伝票には「10%の消費税を支払っている」という風に記述します。
より具体的に言うなら、大企業は消費税率が0%の時と同じように100万円のおカネしか下請けに支払ってはいないにもかかわらず、下請け企業には、「商品代90.9万円 消費税9.1万円 合計100万円」という伝票を用意させているのです。
これは勿論わかりやすくするためのシンプルな例ですが、実態は10%分の消費税の全部、あるいは「一部」を支払ってはいないのに、10%「全て」払ったかのような伝票を用意させる、というケースが横行しているわけです。
輸出企業に対する事実上の「補助金」
このように、「大企業は消費税を支払っていないにもかかわらず支払ったフリをして伝票を用意する」ということをしているわけですが、それは、輸出企業は還付金を「丸儲け」できる状況になっている、ということを意味します。
何と言っても、下請けには消費税払ってないのに、払っているかのようなフリをして、輸出した後で還付金を政府に払って貰っているわけですから。
これは事実上の「詐欺」といってよい手口ですが、消費税を払ったという伝票が用意されており、かつ、その伝票を発行することを下請けが用意してしまっている以上、法的には問題無い、ということになってしまいます。
ただし、公正な取引を侵害しているということで公正取引委員会の処罰対象になることは論理的にはあり得ますが、実態上、処罰されることはまずありません。下請けはただ単に泣き寝入りしているのが現状なのです。
ちなみに、この還付金、今日においては、消費税の総税収の実に四分の一にも相当する状況になっています。
例えば、2022年の輸出還付金の合計額は6兆6千億円という凄まじい水準に達しており、これが輸出企業に注入されているわけです。一方で22年度消費税収は26兆円と見込まれています。したがって、私たちが支払った消費税総額の25.4%もが、社会保障等の政府の行政には使われず、ただ単に輸出企業に対する還付金(補助金)として注入されているのです。
別の言い方をするなら、国内マーケットで商売をする「非輸出企業」が納めた消費税の約四分の一が、海外マーケットで商売をする「輸出企業」に給付されている、ということもできます。
したがって、「還付金」という制度が存在する「消費税」という仕組みはやはり、輸出企業に対する事実上の「補助金」を支給する仕組みとして機能しているのです。というよりもむしろ、この消費税(あるいは海外では「付加価値税」と呼ばれます)という仕組みは「輸出企業に対して、合法的に事実上の補助金を支給するために考案された制度」なのです。
経団連という組織の深い闇と偽善
詳しくは拙著『消費税減税 ニッポン復活論』でも解説していますが、自国の輸出企業の国際競争力を強化したいフランス政府が、(WTOによって禁じられている)輸出企業に対する補助金支給を、還付金という形で事実上支給できる制度として消費税(付加価値税)の制度を導入したのです。
しかも、その補助金は、輸出しない企業から徴収できるわけですから、消費税率が高ければ高いほど、非輸出企業に対するペナルティは大きくなり、輸出企業に対するインセンティブは拡大し、輸出企業が強力に支援される事になるわけです。
だからこそ、輸出企業達の圧力団体である経団連は、より多くの補助金としての還付金目当てに、消費増税を主張し続けることになるのです。
このように、経団連は、自分たちの納税額をできるだけ減らし、かつ、より多くの還付金という名の補助金を受け取るために、一貫して消費増税を主張し続けているのです。
最近の経済学では、企業というものは利益を追求する存在だ、と言われることがしばしばです。そんな思想に基づけば、経団連のこの振る舞いは正当なものだ、ということになってしまいます。そして、経団連自身は、そう考えていることは事実でしょう。
しかし、企業というものは公的な存在でもあるのです。だからこそ、様々な法律でその行為が規制されているのであり、金儲けのために何をやってもいいのでは決してありません。
しかも彼らは、単なる利益追求のために消費増税を主張しているに過ぎないにもかかわらず、口先では「財政再建のためだ」と、さも、倫理的で正義感あるかのような体裁をとりながら消費増税を主張しているのです。
口先では世のため人のためだと言いながら、実は「今だけ金だけ自分だけ」の発想で消費増税を主張しているわけですから、それは単なる「偽善」であり典型的な「お為ごかし」であり、さらに有り体に言うなら、事実上の「詐欺」という他有りません。
残念ながら我が国には、その嘘や偽善がどれだけ巨大な被害をもたらそうとも、それが単なる嘘や偽善だというだけで刑罰を与えることができる法は存在はしないのですが、そういう反社会的に振る舞う組織に対して、真実を知った国民、世論が、社会的な制裁を加えることならば可能な筈、です。
少なくとも、本記事を読まれた読者各位には、経団連という組織の深い闇と偽善をしっかりとご認識いただきたいと思います。