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安倍総理の志は死なない!!

岸田首相は「増税メガネ」を気にしている? 専門家「国民への愛が感じられないのは致命的」

「増税メガネという言葉、気になりますか」。10月27日の衆院予算委員会で立憲民主党の長妻昭氏にそう尋ねられた岸田文雄首相は「いろいろな呼び方はあるものだなと思っている」と苦笑いで流したが、元経産官僚で慶応大学教授の岸博幸氏は「(増税メガネの)悪評を払拭(ふっしょく)したいという思いが優先しているのでは」との感想を持ったという。というのも、政府が検討する税金還元策があまりに「国民に対する愛がない」からだ。


 インターネット上やSNSであふれる「増税メガネ」という揶揄(やゆ)の是非はおいといても、岸田政権が掲げた経済対策には批判の声が渦巻いている。


■所得減税に触れず
 岸田首相は10月23日の所信表明演説で「経済、経済、経済。私は何よりも経済に重点を置いてまいります」と力強く述べた。しかし、自身が事前にぶち上げていた「所得減税」にはまったく触れず、SNSでは〈何をしたいのか伝わってこなかった〉などと批判の声があがった。
 その後、政府が検討している税金の還元策として、所得税など1人当たり年4万円減税、非課税世帯には7万円の給付、非課税世帯以外の所得が低い人に10万円の給付、を検討していることが公表されている。


 これについて岸氏は、


「なぜわざわざ法改正が必要な減税をするのか」


 と疑問を呈する。


岸田首相は「増税メガネ」を気にしている? 専門家「国民への愛が感じられないのは致命的」
岸田首相は「増税メガネ」を気にしている? 専門家「国民への愛が感じられないのは致命的」
© AERA dot. 提供
 というのも、現在検討されている減税策は、来年1月召集の通常国会に税制改正法案が提出され、年度末に成立。実施は早くても6月から、という段取りになっているからだ。


 岸氏がこう指摘する。


「法改正はどうしても時間がかかります。恩恵を受けるまでに半年以上も待つ必要があり、その間、苦しい生活が続くことになります。1回限りで定額で減税するなら、定額給付でお金を配ればいい話です。給付金であれば半年早く国民に届けることができます」


■国民が苦しんでいるとの意識が低い
 今回、岸田首相があえて「減税」という手段をとっている背景には、現在SNS上で広まっている岸田首相を揶揄する言葉があると見られている。X(旧ツイッター)では岸田首相を批判する文脈で「増税メガネ」という言葉が頻繁に使われている。


 岸氏がこう話す。


「『増税メガネ』という悪評を払拭(ふっしょく)したいという思いのほうが優先してしまっているのではないでしょうか。そうでないならば、単純に、国民の生活が物価高で苦しくなっているという意識が低いのかと思えてしまいます」


 さらに岸氏は、還元策のバランスの悪さについても言及する。所得税などの減税は1人あたり4万円で、例えば4人家族であれば16万円の減税となる。他方で非課税世帯では4人家族だとしても7万円の給付しかない。


「非課税世帯は母子家庭など生活が苦しい状況があります。本当に困っている人に手厚く給付するべきですが、そうはなっていません。また、定額減税については富裕層を対象から外し、その分、低所得の方々を支援するべきでしょう。所信表明演説を聞いても物価上昇に苦しむ国民への想いや愛を感じる言葉や表現を見つけられませんが、政策を見てもそうした想いや愛を感じられません。これは致命的な問題だと思います」


 国民に「愛」を示せない首相には、支持率はついてこないようだ。


(AERA dot.編集部・吉崎洋夫)