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安倍総理の志は死なない!!

「この国は借金漬け」は、相も変わらずマスコミの「印象操作」だ…2024年予算案に対してもついた「ケチ」

「借金漬け」は本当なのか
政府は12月22日、一般会計総額112兆717億円の2024年度予算案を決定した。国債費が過去最大、借金漬けなどと報じられているが、それは妥当なのか。


予算フレームで見てみよう。歳出のうち一般歳出67.3兆円(前年度当初比▲5.4兆円。以下カッコ内同じ)、地方交付税交付金等17.8兆円(1.4兆円)、国債費27.0兆円(1.7兆円)で計112.1兆円(▲2.3兆円)。歳入のうち税収69.6兆円(0.2兆円)、その他収入7.5兆円(▲1.8兆円)、公債金34.9兆円(▲0.7兆円)。


歳出の一般歳出が減少したのは、主として予備費を1兆円(▲4兆円)に圧縮したからだ。ただし、相変わらず歳出のうち国債費が大きいと報道されている。国債費の主な中身は、債務償還費16.9兆円(0.5兆円)、利払費9.7兆円(1.2兆円)だ。
本コラムでは、例えば、2023年1月23日「増税でも財源確保にまだ足りない?財務省は不合理な債務償還ルールを撤廃するのが先だ」など何度も書いてきているが、筆者は、財務省役人当時、国債課課長補佐をしたが、日本の国債制度が海外と違ったのには参った。


日本では、国債に60年償還ルールがある。毎年国債残高の60分の1を一般会計から国債整理基金特別会計(減債基金)へ繰入れしたものが債務償還費として規定され、ちなみにその額は16.9兆円となっている。


日本でも民間会社が社債を発行しているが、減債基金という話は聞かない。減債基金の積立のために、さらに借金をするのはおかしいというのは誰でもわかる話だ。民間の社債では、借り換えをして、余裕が出たときに償還するというのが一般的だ。


相変わらずの「印象操作」
これは、海外の国債でも同じなので、海外の先進国では、かつては国債の減債基金は存在していたが、今ではなくなっているので、債務償還費の繰入れがない。


しかし、日本では、国債減債基金はまだ存在している。大学の財政学のテキストにも、国債の減債基金の制度やその重要性が説明されている。


ただ、海外では存在していないこと、減債基金がなぜ必要なのかはあまり言及されない。もし学生がそうした質問をしたら、大学教員は説明に困るだろう。


いずれにしても、日本の予算では、歳出が債務償還費分、歳入はその同額の国債が、先進国から見れば余分に計上されている。これは当年度に限れば「埋蔵金」である。


2021年度から、こうした批判を受けて、財務省フレームでも、国債発行額は財政赤字ではないので、「財政収支赤字(利払費相当分と政策的支出による赤字相当分の公債金の合計)は、18.0兆円」と注記している。実質的な国債発行額は34.9兆円ではなく、18.0兆円にすぎないが、マスコミ報道では相変わらず借金漬けだとか、印象操作を図っている。


さらに、利払費もおかしい。想定金利を23年度の1.1%から1.9%に引き上げたためというが、妥当ではない。これも筆者の国債課課長補佐時に、来年度中の補正を想定し、その財源のために、余分に利払費を「積んでおく」という慣行があった。


実際の金利がそこまで行かない水準に金利を想定し過大に予算計上するのだ。これは、同じ財務省の理財局から主計局に予算要求するので、通常であれば過剰に予算要求すると削られるのだが、同じ省内のために、過剰に予算要求しておけと逆に言われるのだ。


2024年予算はもっと異なることに
いくら日銀が金融引き締めになるといっても、現時点で短期はマイナス金利、長期は1%にもなっていない。長期で1%超、短期がマイナス金利から脱するとしても、各年限の加重平均が1.9%になる公算は低い。つまり、今でも「積んでおけ」は健在だ。おそらく1兆円程度過剰に積んでいるだろう。


その上、税収見通しもおかしい。21日、閣議了解された2024年度の経済見通しでは、2024年度の名目経済成長率は3.0%とされた。


税収弾性値は2~3が普通だが、従来の慣例で固めの1.1としても、税収は3.3%増、2.3兆円増の71.7兆円のはずだ。普通の税収弾性値2~3であると、税収は6~9%増となるので、本来の税収は73.6(4.2兆円)兆円~75.6兆円(6.2兆円)になるはずだ。


これらを考慮すると、財政赤字は11~13兆円程度、基礎的財政収支赤字は1~3兆円程度にすぎない。つまり、あまり財政危機を煽らないほうがいい。


これらは、国債費と税収だけをみて試算したものだが、その他収入などでも、一般会計のところは過少計上するなどの「会計操作」をしばしば行っているので、それらも精査すると、もっと異なる2024年度予算の姿になるのではないか。


いずれにしても、これは政府案にすぎないので、来年の通常国会で是非ともまともな国会審議をしていただきたい。より正しい財政の姿を国民の前に明らかにするのが、国権の最高機関たる国会の責務である。