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中国、東シナ海「防空識別圏」境界付近に常時3隻以上の軍艦…海自の新型護衛艦とにらみ合い

 中国が、沖縄県・尖閣諸島を含む東シナ海上空に一方的に設定した「防空識別圏」(ADIZ)の境界線付近に、複数の軍艦を常時展開させていることがわかった。読売新聞記者が昨年12月30日、上空から中国海軍のジャンカイ2級ミサイルフリゲート艦を撮影した。すでに中国のADIZ内を飛行する航空機に即時退去を呼びかけるなど、自らの空域だとして事実上の運用を進めている。日本政府には、力による現状変更の試みへの対処が急務となっている。


 中国は2013年11月、事前協議なしに日本のADIZに重なり、尖閣諸島を含む形で自らのADIZを設定。国際慣行と異なり、中国当局の指示に従った飛行を航空機に一方的に求め、従わない場合は軍による「防御的緊急措置」をとるとしている。国際法に基づかずに「管轄権」を主張する内容とされ、日本政府は「効力はない」と強く反発している。米国、韓国なども懸念を表明している。


 読売新聞記者は本社機から、中国が主張するADIZの境界線から内側約20キロ・メートルの海域で、ジャンカイ2級と海上自衛隊の新型護衛艦「みくま」がにらみ合う様子を撮影した。
 飛行中には、中国海軍艦が、中国のADIZ内を飛行する別の航空機を追い払おうと、無線で呼びかける声も確認した。


 複数の日本政府関係者によると、2020年頃から中国ADIZの境界線付近では、中国海軍艦が少なくとも3隻態勢で常時展開するようになったという。


 高性能レーダーを搭載し、航空機の撃墜能力が高い防空ミサイル駆逐艦(中国版イージス艦)や、フリゲート艦などの活動が恒常化している。中国軍機は自衛隊機に緊急発進を繰り返しているという。東シナ海で自衛隊や米軍の航空機や艦艇などの監視を強化しているとみられる。


 一般的にADIZを有効に運用するには、接近してくる他国の航空機を早期に発見するレーダーの整備や、現場空域に即座に駆けつけることが可能な戦闘機部隊の練度向上が不可欠だ。


 当初、中国側の監視能力は低く、ADIZ設定は実効性を伴っていないとみられていた。今後は常時展開する軍艦と戦闘機などが連動し、軍事的な動きを活発化させるとの見方もある。自衛隊関係者も「台湾有事などの際には、自衛隊機や米軍機の進入を阻止する意図がある」と語る。


 日本政府関係者は、常時展開が、尖閣諸島の領有権を主張する動きとも結びついていると分析する。実際、尖閣諸島周辺で活動する中国海警局の公船が日本領海に侵入する際には、南下する動きを見せるなど、連携するケースがあるという。


 防衛研究所中国研究室の杉浦康之主任研究官は「ADIZを設定した10年前は、日米をけん制するためのメッセージの意味が強かった。近年では中国空軍と海軍のデータリンクが進んでおり、実態が伴ってきたと見るべきだ」と指摘する。


 ◆防空識別圏(ADIZ=Air Defense Identification Zone)=領空侵犯を防ぐため、各国が自国の領空の外側に設定している空域。領空侵犯の恐れがあるかを識別し、戦闘機が緊急発進(スクランブル)する必要性を判断する。日本の場合、ADIZを通過するだけの航空機はスクランブルの対象とはしていない。