Shinzo-Returns

安倍総理の志は死なない!!

リニアの令和9年開業断念、沿線の街づくりに打撃 経済効果の損失も懸念

JR東海がリニア中央新幹線の品川-名古屋間について、令和9年の開業目標を断念した。静岡県の反対で静岡工区の着工のめどが立たず、新たな開業時期も示せていない。リニア開業に合わせて進められている沿線の自治体の街づくりに影響が出るのは必至で、10兆円超と推計される経済効果の損失も懸念される。


「静岡」着工見通せず


「9年の開業は実現できない」。JR東海はこれまでも「9年の開業は困難」と言い続けてきたが、今回表現を変えた。昨年12月に否定していた「断念」という言葉も否定しなかった。


もともと、工事は平成29年11月に着手し、10年1カ月後の令和9年12月の開業を目指していた。だが、川勝平太静岡県知事が着工に反対。9年開業が間に合うギリギリのタイミングだった2年6月にも知事の了承を得られず、そもそも9年開業は困難だった。


今回、表現を変えたのは当初計画から6年4カ月たっても着工できず、計画との乖離(かいり)が今後挽回できないほど、大きく開いたからだ。国土交通省での有識者会議後の会見では、最短の開業時期が10年後の16年になるかを記者に再三問われたが、「今の段階では言えない」(水野孝則専務執行役員)と繰り返した。


「小異を捨ててほしい」


開業が先送りされ、見通しも立たなくなったことで、リニア開業に見据えて一体的なまちづくりを進めている沿線の自治体は計画修正を余儀なくされそうだ。


三菱UFJリサーチ&コンサルティングによると、品川-名古屋間の開業で移動時間短縮や企業の生産性向上によって約10・7兆円の経済効果が試算されるが、「そろそろ開業の遅れによる経済損失も考えるべきだ」と指摘する関係者もいる。


リニア建設を巡っては水資源や生態系への影響などについて、JR東海と静岡県の間で主張の隔たりが大きく、溝が埋まらないでいる。JR東海の丹羽俊介社長は昨年4月に就任後、就任挨拶以外で川勝知事とのトップ会談を開いていない。「小異を捨てて大同についてほしい」。国交省の有識者会議座長の矢野弘典産業雇用安定センター会長はこう呼びかけた。(万福博之)