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安倍総理の志は死なない!!

中国人はなぜ海外に脱出するのか?足立区はチャイナタウン化…専門家が指摘するコロナ禍以降の3つの要因

東京・足立区に住む中国人の人口が、10年前に比べて約2倍の約1万6700人に増加している。


街の中には本格的な中華が味わえる店が並び、飲食店の他にも中国人向けの美容室やスーパーなどが完備され、足立区竹の塚はチャイナタウン化が進んでいるという。


なぜ中国人人口は増えているのか。中国情勢に詳しい石平(セキ・ヘイ)さんに話を聞いた。


「ゼロコロナ政策」独裁権力の怖さ
ーー今中国人が日本に多く居住している理由は?
まず1つは、中国人は日本に限らずアメリカやヨーロッパにも大量に移住しています。


自分たちが住む地域の政治や経済状況が悪くなって生きていかれなくなると、新天地を求めて外に出るというのが、昔からの中国人の意志、伝統でもあります。


例えば昔、中国人は大量に東南アジアに移民しました。


今、マレーシアの総人口の約20数%は中国系で、シンガポールも約70%は中国系です。


特にこの数年間は、日本に限らず海外に移民する人が急速に増えていて、2022、23年の2年間はすごく増えています。


例えば、アメリカを目指して南米諸国から国境を越えてアメリカに密入国した人の数は、アメリカ側に摘発されただけでも2023年度は約2万4000人に達しています。


この数は2022年度と比べて約70倍に増えています。


ーー2年間で急増している要因は?


背景の1つは、習近平政権が2020年に施行した「ゼロコロナ政策」があります。


コロナ感染者をゼロにするという、本来ならば不可能な目標を掲げてコロナの完全撲滅を目指しました。


あらゆる政治権力を利用して、人々の権利を徹底的に制限しました。


例えば、マンションの1つを完全に封鎖して、病気になっても病院へ行けない。


あるいは団地から1歩も出られない、仕事にも行かれない状態が起きました。


ゼロコロナ政策の中で、権力者が許可もなく人々の家に立ち入り、感染者がいるかどうかを調べたり、消毒するといった、自由と人権が極端に制限される事態が起きました。


この数年間で、人々は共産党の政治権力、独裁政権の怖さを身をもって知ったのです。


それまでは、中国共産党の独裁体制があっても、自分たちに直接影響が及ぶとは思っていませんでした。政治権力に反抗しなければ、自分たちの自由はある程度保障され、人権は守られると思っていたのです。


しかし、習近平政権のあまりにも理不尽で乱暴なゼロコロナ政策を経験したことで、何もしなくても、自由や仕事をする権利、病院へ行く権利も全て奪われてしまうことを知ったのです。


だからゼロコロナ政策が終わって中国が一旦解放されてからは、中国に絶望した中産階級の人々が急速に海外に移住するブームが起きています。


“中国から逃げ出すのが1番”という意味の造語までできています。


2つ目は、2022年10月の党大会との関係性があります。


秋の党大会でいわゆる改革派の人々が最高指導部から一掃されて、完全に習近平の独裁体制ができました。


人々は「時代が完全に変わった。改革開放以前に逆戻りした」と感じ、習近平政権の長期化でこの国にはもう未来が見えないと絶望感を抱きました。


要するに政治的絶望です。


習近平政権のもとではますます政治も悪くなり、人々の権利も保障されなくなることを危惧しました。


3つ目は、経済状況の悪化です。


中国経済は今崩壊している最中で、北京大学の副教授によると、昨年6月時点の中国の16~24歳までの若年層の失業率は、46%以上に達しています。


前代未聞の大変深刻なの数字です。


失業が広がって、企業も倒産しています。


特に中小企業の経営者や個人店舗の経営者の多くは大変な不況の中で、店を閉めるしかなかったり、企業はそのまま倒産しています。


また、不動産バブルが崩壊する中、中国の中産階級は不動産を財産として持っている人が多く、その人たちは財産を失っています。


仕事も財産も失って、将来どうなるか全くわからない。


そういう状況の中、海外に逃げ出して活路を見出すしか方法はないと考える人が増えています。


人々は裕福な先進国を目指しますが、中国人からすればアメリカは遠い国です。


ヨーロッパは尚更遠いです。


その中で日本は近く、すでに多くの中国人が永住しています。


そうした中国系の人達は、これから脱出する人々にとって一種の助けになります。


中国人は昔から、日本にやってきた仲間が、親戚や友達らを続々と呼び寄せる伝統があります。


中国人の大量移住という現象は、足立区だけでなく日本全体、あるいは世界全体に広がりつつある状況です。


中国政府は国外脱出を容認
景気低迷による失業率の高まりが大きな問題となる中、中国政府は脱出を食い止めるのではなく、むしろ容認していると石氏は話す。


ーー中国は流出を食い止めようとしない?


習近平政権は、中国人の海外脱出を本腰入れて食い止めようとはしていません。


むしろ政権に対して不満を持つ人を海外に出した方が、都合が良いと考え放置しています。


今深刻なのは失業問題です。


中国国内に仕事はないので、失業者が海外に出ることは、中国政府にとって決して悪い話ではありません。


ーー脱出以外の選択肢は?


中国には民主主義による選挙制度がないので、国民は独裁政権のもとで政治や経済に対して絶望感を抱いても、現状を変えることはできません。


民衆は無力で、自分たちの力で現状を変えることができないため、逃げ出す以外に選択肢はありません。


政治権力に抵抗はできないけど、政治権力から逃げ出すことはできるという考えです。


ーー反抗したらどうなる?


政権に反抗したら当然捕まって刑務所入れられたり、知らないうちに消されてしまったりします。


中国人は冗談で、「我々の手に投票する1票はない。だから足で投票しましょう」と言います。


ちゃんとした選挙制度がないので、自分たちの手で指導者を選ぶ1票はありません。


だから、足で逃げることが我々の投票になる、と言いたいのです。


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