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小池都知事、緊急事態宣言要請で責任転嫁? 「犬猿の仲」菅首相と責任のなすり合い

「GoToトラベル」を頑なに推し進めてきた菅政権が、ついに緊急事態宣言を出すに至った。東京都と周辺3県の知事らに押し切られる形での宣言となったが、この裏には都知事による責任のなすりつけという側面もあるようだ。AERA 2021年1月18日号の記事を紹介する。
※【菅首相「年末年始は感染者減少」と致命的な読み違えも 無策が招いた感染拡大】より続く
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 機能しない政府を横目に動いたのは、菅首相とは犬猿の仲と言われる「あの人」だった。
 年明け間もない1月2日。神奈川、千葉、埼玉の3知事を従えて西村康稔経済再生担当大臣を訪ねた小池百合子・東京都知事は、新型コロナ特措法に基づく緊急事態宣言の発令を政府に求めた。コロナ禍とはいえ1月2日から、晴れ着どころか地味な作業服に身を包んでの直談判に官邸は揺れた。しかも首都近郊の4知事が連れ立ってとなると、さすがに官邸も無視はできない。
 小池氏の奇襲には伏線があった。12月30日の臨時記者会見。年末年始で感染を抑えることができなければ、宣言の発出を国に要請せざるを得なくなる、と言及していた。そして翌31日には都内の感染者が1337人と過去最多を更新。都庁内の緊張感は最高潮に達した。結局、この1都3県の知事の行動に押し切られる格好で、菅首相は緊急事態宣言の発令の決断を強いられる。都関係者の一人は、ここぞというタイミングでの小池氏の行動には、菅首相を上回る覚悟が感じられたと語った。
「東京都はこれまで飲食店に対し、午後10時までの時短営業を要請してはいたものの、政府の要請だった『午後8時までの時短営業』に応じてこなかったという負い目があった。ただ、新規感染者数が1千人の大台に乗ったことを機に、東京都で感染を抑えられない原因は、国が緊急事態宣言の発出を決断しないからと匙を投げるふりをして国にその責任を転嫁してみせた。結局、都も政府もお互いに責任をなすりつけ合っているのです」
■本音漏れた「解散は秋」
 4日の菅首相の記者会見で、緊急事態宣言の発出以上に注目された場面があった。それは今年、必ず行われる総選挙の時期に関する言及だった。
「秋のどこかで衆院選を行わなければならない」
 言い換えれば、秋まで衆議院を解散しないというその一言に一瞬、会場が静まりかえった。時の首相が自らの専権事項である衆議院解散について、その時期を特定して言及することは極めて異例だ。結局、会見後、官邸は「秋までのどこかで」の間違いだと訂正に追われた。
 しかし、今年の政治スケジュールから逆算すると、衆議院解散のタイミングは二つに絞られる。一つは「春」。本予算成立後の3月説、もしくは、4月下旬に開催される補欠選挙(衆院北海道2区、参議院長野選挙区)との同日選説だ。
 もう一つは「秋」。五輪、パラリンピック後の9月説だ。永田町では、菅首相の「秋のどこかで」発言は、そもそも言い間違えではなく本音ではないのかと推察する人は多い。
 仮に緊急事態宣言が効果をあげ、ワクチン接種が前倒しになったとしても、4カ月後の選挙を想像できるだろうか。首相本人も「春」は到底無理だと高をくくっているのではないか。
 菅首相が描くベストシナリオは「コロナを収束させ、五輪を開催し、支持率を復活させてから選挙に臨み、自民党総裁選でも満を持して再選される」ことだ。しかし、この数カ月で収束のめどを立てられなければ、総裁選を前倒しし、新たな首相の下で総選挙をという「菅おろし」の風が吹く。そうなると選挙を前に自民党内の派閥闘争を国民の面前にさらすことになる。
 いずれにしてもカギになるのは、新型コロナ感染症の拡大収束だ。その意味では2021年もコロナ政局に翻弄される一年になることは間違いない。(編集部・中原一歩)
※AERA 2021年1月18日号より抜粋