Shinzo-Returns

安倍総理の志は死なない!!

1年前、コロナを新聞はどう報じたか 朝日は「それほど感染は広がらないとみている」

1/16(土) 5:59配信


ひたすら「冷静に」



今読むと、落差に驚く当時の新聞


 中国の武漢市で「原因不明の新型肺炎」が確認されたのは2019年11月22日。日本のメディアが「中国の肺炎患者から新型コロナウイルスを検出」と報じたのは翌20年1月9日だった。あれから1年が過ぎたということになる。  ***
 19年11月の主要ニュースを振り返ってみると、たった1年前なのに隔世の感がある。  具体的に2つのニュースをご紹介しよう。最初は東京オリンピックだ。月初めにIOC(国際オリンピック委員会)がマラソンの札幌開催を強引に決定し、日本で大きな波紋を呼んでいた。この頃、日本中の誰もが、東京オリンピックの予定通りの開催を、微塵も疑っていなかった。  次は安倍晋三氏(66)。当時は現役の総理で、11月に在職日数が憲政史上最高を記録した。その一方で、この頃は「桜を見る会」の私物化が取り沙汰されていた。批判や追求も盛んで、政治的には厳しい局面に立たされることも少なくなかった。  こうして見ると、たった1年しか経っていないのかという気がしてくる。とはいえ、ある日突然に全世界で新型コロナが猛威を振るい、立て続けに深刻な被害が発生したわけではない。  世界中の人々にとって、当初は中国の国内問題だった。まさに他人事、対岸の火事だった。日本も例外ではなかった。当初はどんな雰囲気だったのか、朝日、読売、毎日各紙の新聞記事から振り返ってみよう。
沈黙した3紙
 そもそも意外なことに、日本の大手メディアで最初に武漢市の異変を報じたのは共同と時事通信だった。  両社とも2019年12月31日に記事を配信したが、朝日、読売、毎日の3紙は何も報じなかったのだ。 「中国で原因不明の肺炎患者相次ぐ 武漢で27人発症、政府が調査」(共同通信) 「原因不明の肺炎拡大=27人のうち7人重体-中国・武漢」(時事通信) (註:全角数字を半角に変えるなど、デイリー新潮の表記法に合わせた。以下同)  年が明けて20年となり、1月4日にNHKが「中国・武漢 原因不明のウイルス性肺炎患者相次ぐ 患者数44人・重症11人」と報じた。  だが、依然として3紙は紙面に記事を掲載しなかった。その一方で、産経新聞は1月5日、「中国で原因不明の肺炎 武漢で44人発症、11人重症」の記事を掲載した。  更に先行する共同通信は6日、「中国発の原因不明肺炎に厳戒 香港・台湾、惨禍再来恐れ」と中国大陸との往来が多い地域が厳戒態勢となったことを伝えた。
僅か165字の初報
 やっと口火を切ったのは毎日新聞で、同じ6日に「中国で原因不明のウイルス性肺炎」との記事を掲載した。だが文字数は僅か165文字だった。  400字詰め原稿用紙の半分にも満たない量であり、まさにこの短さが“対岸の火事”と判断したことを物語っている。残る朝日と読売は共に1月8日に初報を掲載した。 「中国・武漢、原因不明の肺炎 患者50人超、香港でも症状」(朝日新聞) 「中国 原因不明の肺炎 武漢 香港・台湾でも疑い例」(読売新聞)  1月9日に初めて「新型コロナウイルスが検出された」と報じられたのは冒頭でご紹介した通りだ。  例えば読売新聞は同日の夕刊社会面に「中国の肺炎 新型コロナウイルスか 現地報道 複数患者から検出」との記事を掲載した。  こうして各紙は同じ土俵に乗ったわけだが、3紙の記事から感じられるのは「大げさに報道しないようにしよう」とする姿勢だ。  この編集方針を3紙の判断ミスと指摘するのは酷かも知れない。何しろ厚生労働省もWHOも専門家も口を揃えたように「たいしたことはない」と指摘していたからだ。
WHOは「感染しにくい」
 具体的に見てみよう。毎日新聞は1月9日の朝刊に、「中国で原因不明の肺炎 厚労省『過剰な心配不要』」との小さな囲み記事を掲載した。  武漢市から帰国する日本人に対し、せきや発熱の症状がある場合は検疫官に伝えるよう厚労省が呼びかけを始めた、というのが記事の骨子だ。  だが、読者の過剰反応を不安視したのか、《今のところ人から人への感染は確認されていない》と指摘し、厚労省の《「過剰な心配は必要ない」》とのコメントを紹介している。  読売新聞は1月10日、「中国の肺炎 新種か」との記事を掲載したが、ここにも「読者が大げさに受け止めない紙面にしよう」という配慮が感じられる。  まず袖見出しが「コロナウイルス WHO『感染しにくい』」と安全性を訴えるものになっており、中見出しも「専門家 冷静な対応を呼びかけ」と、読者を沈静化させようとする意図が明確だ。  記事に登場した専門家も、とにかく冷静になれと呼びかけた。 《「患者に接する医療従事者が感染しておらず、死者も出ていない。それほど恐れる必要はなく、正しい情報を得て行動してほしい」》
「心配する必要はない」
 朝日新聞は1月12日、「武漢の肺炎 61歳が死亡 新型コロナウイルスで初」との記事を掲載した。  見出しにある通り、中国で初めて死者が確認されたという内容だが、朝日新聞は武漢市当局の《ヒトからヒトへの感染も確認されていない》という説明を紹介している。  また日本人の専門家にも取材し、《「ヒトからヒトに感染する可能性は」》と質問したが、 《「コロナウイルスがインフルエンザウイルスほど変異しやすいという議論は聞かない。過度に心配する必要はないだろう」》 《「新たな患者が1週間以上見つかっていないことから、これ以上広がる可能性は低いと思う」》  との回答だった  1月16日、厚労省は武漢市を訪れていた神奈川県在住の30歳代の中国人男性が新型コロナウイルスに感染していたと発表した。  新型コロナの患者が国内で初めて確認されたわけだ。対岸の火事ではなくなったはずなのだが、3紙の紙面は違った。
「ヒトヒト感染があっても限定的」
 読売新聞は16日の夕刊で社会面を大きく使って詳報を行ったが、主見出しは大きな文字で「新型肺炎『冷静に』」と書かれていた。  記事では会見に応じた厚労省の担当者による説明が紹介されている。 《「人から人に感染した明確な証拠はない。感染が拡大することは考えにくいが、ゼロではないので、確認を急ぎたい」》  朝日新聞も翌17日の朝刊2面で、「新型肺炎 正しく備えるために」と大きく報じた。  国内で初めて感染が確認され、春節の大移動に懸念を伝えながらも、「継続的なヒトヒト感染 確認されず」とも強調している。専門家の指摘を伝えた部分をご紹介しよう。 《仮にヒトからヒトへの感染があっても限定的とみる》 《「感染があったとしても、インフルエンザやはしかなどと比べて確率はとても低い」》 《「現時点ではSARSやMERSと比べて重症度は低い」》 《「むやみに恐れる必要はない」》
徐々に報じられる感染拡大
 だが感染は徐々に広がっていく。読売新聞は1月20日の夕刊1面に「中国・武漢 新型肺炎 死者3人に 感染201人 北京 深圳でも」との記事を掲載した。  もちろん、武漢市政府などが発表した感染者数や死者数が、事実と異なる可能性があるのは、今では周知の事実だ。  この時点で「死者3人」は少なすぎると言われても仕方ないが、これでも当時はインパクトがあった。読売新聞は中国側の発表をそのまま伝えたが、100パーセント“対岸の火事”だった過去の記事とは、少しずつ雰囲気が変わってきたことも見出しから伝わってくる。  翌21日の朝刊で読売新聞は「新型肺炎 感染拡大」と2面で詳報。中国政府チームが「人から人に感染している」と明言したことを伝えた。  しかしながら、最後は「患者らと行動41人観察継続 厚労省」という記事で締めくくられた。  内容は、国内初感染が確認された中国人男性の家族や同僚の健康観察を厚労省が続けているというもので、《いずれも現時点では感染や体調悪化は確認されていない》と報じた。
専門家は国内流行を否定
 改めて読むと隔靴掻痒の感があるのは、同じ21日の朝刊に朝日新聞が掲載した「新型肺炎 大都市に拡大 習氏、抑え込み指示」の記事だ。  その中見出しは「専門家『感染しやすさ 焦点』」だった。これまで「ヒトヒト感染はない」という記事に比べると、よほど現状認識に近づいたと言えるだろう。  事実、記事に登場する専門家は《「動物からの感染だけでは200人近い患者の発生を説明できない」》と指摘している。  また別の専門家は《「タイ、日本に続き韓国でも見つかったことを考えると、実際の患者は、中国当局の発表より1、2桁多いだろう」》との推測も語っている。  かなり真実に肉薄したかと思いきや、結論として専門家が指摘したのは《「国内で流行する可能性はそれほど高くない」》という予測だった。  最後にご紹介するのは、朝日新聞が1月20日の朝刊に掲載した「いちからわかる!」だ。  小学生から高校生までの読者も意識したコーナーで、コブク郎、ホー先生、アウルさんといった鳥が時事問題に関する質問を行い、それに記者が答えるというものだ。
流れを変えたチャーター便
 この日は《中国・武漢の新型肺炎ウイルスはどこから? 》とホー先生が質問。新型コロナウイルスに関する啓蒙的なQ&Aの後、いよいよホー先生は《「感染は広がるのか?」》と投げかける。回答を以下に引用しよう。 《人から人への感染はないと言われていた。しかし市場で働く夫に症状が出た後、市場に行ったことがない妻の感染がわかったという例もある。日本で見つかった患者も、市場には立ち寄っていなかった。ただ専門家は、もし人から人に感染するとしても家族など身近に接する人同士に限られ、それほど感染は広がらないとみている》  読売新聞の場合、1月28日の朝刊1面トップで「新型肺炎 指定感染症きょう決定 政府 武漢へ帰国便2機 『水際対策万全期す』」と報じた頃から、紙面に切迫感が生じてくる。その後の1面トップの見出しを見ておこう。 「新型肺炎 帰国便1機 武漢へ 政府発表 邦人あす羽田着 指定感染症 閣議決定」(1月28日夕刊) 「新型肺炎 国内『人から人』感染か 奈良の男性 武漢渡航なし ツアーバス運転手」(1月29日朝刊) 「武漢から帰国12人入院 新型肺炎 第1便206人到着 第2便出発」 「5人は陰性」 「陽性か武漢で邦人重篤」 「バス同乗ガイド感染 奈良の男性運転」(いずれも1月30日朝刊)  1月13日の正午現在、ジョンズ・ホプキンズ大学の公式サイトによると、全世界の感染者数は9155万9238人とまとめている。


新潮さん、良い記事出してますなあ。