Shinzo-Returns

安倍総理の志は死なない!!

【日本復喝】米超党派の共通認識、中国は「敵性国家」 懸念すべきは「大甘」日本政府 菅政権は毅然とした対中外交を

 ジョー・バイデン次期米大統領の就任式が20日(日本時間21日未明)、首都ワシントンの連邦議会議事堂前で行われた。バイデン氏は就任初日、ドナルド・トランプ大統領が取り組んだ政策を覆す多数の大統領令に署名する方針だが、次期政権が中国共産党政権による軍事的覇権拡大を阻止できるかが注目だ。就任式前日、マイク・ポンペオ国務長官は、中国による新疆ウイグル自治区のウイグル族などへの弾圧に関し、国際法上の犯罪となる「ジェノサイド(民族大量虐殺)」および「人道に対する罪」であると認定した。産経新聞論説副委員長の佐々木類氏は集中連載「日本復喝!」で、習近平国家主席率いる中国の台頭と、バイデン政権の対中政策、菅義偉政権の覚悟に迫った。


【日本復喝】米超党派の共通認識、中国は「敵性国家」 懸念すべきは「大甘」日本政府 菅政権は毅然とした対中外交を© 産経新聞社 【日本復喝】米超党派の共通認識、中国は「敵性国家」 懸念すべきは「大甘」日本政府 菅政権は毅然とした対中外交を


 戦後、米国を中心に築いてきた世界秩序の現状変更を試みる「ゲームチェンジャー」中国。巨大経済圏構想「一帯一路」を掲げ、アジアやアフリカ、欧州諸国の経済的支配を狙っている。


 その勢いはまさに、21世紀に現れた「進撃の巨人」ならぬ、「進撃の華人」である。好むと好まざるとに関わらず、世界はこの共産党独裁国家とどのように向き合うのか、それが問われている。


 米国ではバイデン新政権が誕生する。中国への強硬姿勢が目立ったトランプ政権と違い、中国に融和的姿勢を取り続けたバラク・オバマ前政権のように、対中融和に傾くのではないかという懸念が日本国内でも取り沙汰されている。


 米中国交回復に踏み出したリチャード・ニクソン元大統領(=1971年のヘンリー・キッシンジャー補佐官の中国訪問、72年のニクソン大統領訪中)以来、歴代の米政権は対中融和策をとり、とりわけそれを主導したのが民主党政権だったからでもあろう。


 だが、過度の心配は無用だ。中国との決定的な対立は避けつつ、軍事やハイテク分野で中国を締め上げる方針は、トランプ政権と変わらないだろうからだ。少なくとも最初の4年間で急ハンドルを切るのは不可能だ。


 なぜなら、中国がもはや米国の競争相手ではなく、「潜在的な敵性国家」であるとの位置付けは、超党派の共通認識となっているからだ。


 米議会の超党派でつくる諮問機関「米中経済安全保障調査委員会」は昨年12月1日、最新の中国情勢をめぐる年次報告書を公表した。


 報告書は、中国による台湾周辺での軍事行動の活発化や、6月の香港国家安全維持法(国安法)の制定に関し、「中国は国際的な統治システムを普遍的価値観や個人的権利と相いれない自国の原則に合致するよう破壊している」と指摘した。


 また、「中華思想に基づき世界秩序を変えていこうとする策動は今後も続く。世界の自由民主体制にとって課題だ」と警鐘を鳴らしている。


 中国は陸海空という伝統的な戦闘空間や次世代通信網5Gに加え、サイバーや宇宙、電磁波という新たな空間での世界覇権をもくろんでいる。これに厳しく対峙(たいじ)していく必要性を訴えたのが先の超党派による報告書だ。


 具体的には、AI(人工知能)など技術流出による中国軍の強化を防ぐため、外国投資リスク審査近代化法(FIRRMA)制定と、外国投資委員会(CFIUS)の機能拡大による投資や輸出管理規制の強化に取り組もうとしている。


 日本などの同盟国に対しても、投資審査の充実と輸出管理政策の協調を呼びかけている。日本も「安全保障は米国に頼り、経済は中国とよろしくやろう」などと言ってはいられないのである。


 懸念すべきはバイデン政権ではなく、中国を甘やかしてきた歴代自民党政権である。菅首相には毅然(きぜん)とした対中外交を望みたい。


 ■佐々木類(ささき・るい) 1964年、東京都生まれ。89年、産経新聞入社。警視庁で汚職事件などを担当後、政治部で首相官邸、自民党など各キャップを歴任。この間、米紙USA TODAYに出向。米バンダービルト大学公共政策研究所で客員研究員。2010年にワシントン支局長、九州総局長を経て、現在、論説副委員長。沖縄・尖閣諸島への上陸や、2度の訪朝など現場主義を貫く。主な著書に『日本復喝!』(ハート出版)『日本が消える日』(同)、『静かなる日本侵略』(同)など。