Shinzo-Returns

安倍総理の志は死なない!!

現下状況では、「緊急事態宣言」は必要ではない  ~時短・休業の有効性は怪しい。  そして感染拡大「率」に基づく判断こそが必要である~

 From 藤井聡
  @京都大学大学院教授


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大阪では、新型コロナの新規PCR陽性者数が連日1000名を超え、重症者数も徐々に増加し、「医療崩壊」が現実化しつつある事態に陥っています(当方の知人の現場医師からも、直接その惨状は伺っています)。


その背後には、3月に一旦収束した「第三波」までとは異なり、海外で発生した「変異種」が大阪を中心に感染拡大してしまったことがあります。したがってこれはいわば、第四波というよりも、「変異種の第一波」とでも言うものが今回の感染拡大です。


これに対応するために大阪の吉村知事は一早く「まん防」を発出しましたが、それでも感染拡大はピークアウトせず、さらに強力に抑え込むために「緊急事態宣言」を発出する事になったという次第。


吉村知事は、「まん防」との差別化を図るために、「緊急事態宣言」の発出にあたっては、さらに強力な行動抑制をかけなきゃ格好がつかんだろう…と言わんばかりのノリで、「休業要請」を出すことを念頭においているようです。


・・・以上が、一般的に報道されていることで、多くの国民も、「まぁ、これだけ感染が広がって、重症者も増えてるんだから、緊急事態宣言も致し方無いよなぁ」と思ってしまっているものと思います。


が、私は、こういう吉村氏の判断は完全に間違っていると考えています。


その理由を解説します。


まず、多くの国民は、感染は一向に収束していかない・・・と考えているようですが、全く違います。


そもそも感染症というものは「ねずみ算式」に増えていくもの。つまり、一人が2人に移し、その2人が4人に移し、その4人が8人にうつし・・・と1→2→4→8→16→32→64→128→256→512→1024→2048→4096→8192→16384→32768となっていくものなのです。これぞオーバーシュート、感染爆発。実際、欧米ではこうやって「倍々ゲーム」の様に瞬く間に感染が広がっていってしまったのであって、各国政府これに驚いて「ロックダウン」を発出せざるを得なくなったのです。


にも関わらず、大阪ではまだ、一万人を突破するどころか、まだ1000人台を推移しているに過ぎません。


したがって、まだ日本は感染爆発なんか起きてはいないのです。


だから僕はいつもデータを見るとき、感染爆発が起こっているかどうかを確認しているのですが、それを理解するコツは、


「何人ずつ増えているのか?」(=増加数)


ではなく、


「何割ずつ増えているのか?」(=増加率)


に着目するというものなのです。増加率が徐々に低下してきているなら、「あぁ、こりゃ感染爆発しなさそうだなぁ」と考えられるからです。


そんな視点で、大阪の一週間毎の感染者数に基づいて、その「前の週からの増加率」を求めたところこんなグラフになりました。


https://twitter.com/SF_SatoshiFujii/status/1383486537141153795/photo/1


ご覧の様に、新規感染者数(新規PCR陽性者数)の「増加率」は確かに、3月上旬から3月末に向かって拡大してはいたのですが、3月下旬にピークアウトして、4月に入ってから低下しつつあるのです!


つまり、今、感染爆発とは正反対に、感染拡大は確実に収束に向かい始めているのです!


ただし、そうは言っても、拡大率は未だ1を上回っており、感染者数が「増えている」ということは事実であり、それによって医療崩壊が現実化しつつあるのもまた事実です。


だからもちろんこれを「1」以下にさせることが必要です。実際当方が学術的に提案している「社会的・基本再生産数」を想定した感染症対策の肝は、この拡大率(あるいは再生産数)を1以下にすることを目指すべしというもの(詳細は下記をご覧下さい)。
『「社会的・基本再生産数」を想定した国民的被害の最小化を目指した行動規制・行動変容についての感染症対策の提案』
https://bit.ly/3xevyqA


・・・と言えば、多くの人々は「じゃぁ、やっぱ、吉村さんが言う様に緊急事態宣言が必要だってことじゃないか!」と思うかも知れません。特に、「3月下旬頃から、感染拡大を受けて自粛ムードが漂いはじめて、それで、減ってきたんだから、やっぱり、自粛は必要だ!」と感ずる方が一般的だと思われます。


が…それが実は、「大間違い」なのです。なぜなら、そういう意見は、感染からPCR陽性までに時間がかかっていることを見過ごしているからです。


こちらのグラフを見て下さい。


https://twitter.com/SF_SatoshiFujii/status/1383568319798648833/photo/1


このグラフは、先のグラフと基本的に同じモノですが、いくつかの追加情報を附記しているのと、それから、横軸が少々違うのです。


先のグラフは、「PCR陽性発覚日ベース」のものでしたが、この新しいグラフは「感染日ベース」のものなのです。一般に、感染してからPCR陽性に至る迄2週間程度かかると言われていますから、先のグラフを2週間ズラして横軸を引いているわけです。


さて、これを見ると、感染日ベースのピークは3月下旬ではなく、実は3月中旬だったことが分かります。そして、3月下旬時点では、随分と1に近づいてきていることが分かります。


じゃあ、この感染スピードの下落は、自粛が導いたのかと言えば…全くそうではないことが、このグラフから分かるのです。


このグラフには、「自粛率」も記載しています。


これは、Googleが公表している大阪における公共交通利用率が、どれくらい平常時点から減っているか、を示しているデータです(軸は左軸です)。


ご覧の様に、自粛率は2月下旬から3月下旬にかけて一貫して緩和され続けていた、つまり、平常に戻り続けていたのです!


つまり、感染速度のピークアウトは、自粛によって導かれたのではないのです!


これは大変にショッキングなデータです。


そもそも、西浦教授が8割自粛を主張したり、専門家会議がステイホームを主張したりしたのは、厳密に言えば、感染者数それ自体の抑制を直接狙ったのではなく、「感染者が感染させてしまう人数(再生産数)を抑制する」ことを狙ったもの、つまり、感染速度=増加率の抑制を直接狙ったものだからです!


にも関わらず、このデータでは、人々の移動が活性化しつつある中で、(3月下旬について言えば)感染速度=増加率は順調に下落していっているのです!


このことは、感染速度=増加率の要因の中で、人々の行動水準は、さして支配的な要因ではないことを意味しているのです!感染速度は、人々の行動水準や自粛率とは異なる、別の要因で決まっているのです。


(ちなみに、当方は、その要因の中で最も強力なものは「時間」だと思います。一旦感染が始まれば、時間がたてばある程度広がるが、さらに時間が経てば収束する、というものなのだと思います。なぜそうなるのかと言えば、宮沢先生の「目玉焼き理論」が一番当方としてはしっくりきますが……詳細はまた別の機会に譲りましょう)


いずれにしても、あっさり言って、増加率は、人々をどれだけ自粛させようともさして減りはしない、ということがハッキリしているのです。


ちなみにその傾向は、第一波の時も第二波の時も第三波の時もそうだったことは、過去の統計分析からハッキリしているのですが……にも関わらず、人々はまさにバカの一つ覚えで、感染が拡大すると「自粛しろ~!」とだけ主張しているのです。


こういうバカな状況になっているのは偏に、「感染症の専門家」と呼ばれる人々が、特にデータ分析もせずに世論のイメージに「基づいて」、(それに棹さすように)それらしい事を口にし続けるという、トンデモ無く不道徳な事を繰り返しているからに他なりません。


本当に僕は悔しいのですが・・・こんなメルマガ、読む人は限られているのです。


そのせいで、人々は無駄な自粛や時短や休業をさせられ、店が潰れ、経済が壊され、子供の教育機会が奪われ、人々が失業し、貧困が広がり、うつ病になり、そして自殺していくのです…まさに、地獄…当方は心底哀しいと思いますが…どうせ、世間にはコレまで通り、こうした認識は広がらないでしょう。


ですが少なくとも、本メルマガの読者だけでも、事実は一体何なのかをしっかり考えていただき、そして、この哀しい状況を哀しいとだけでも思っていただければいいのではないかと思います。


それができれば、次にまた、繋がる可能性が生まれてくるかも…しれないからです。


では…また来週。


追伸1:この不条理な「コロナ自粛」論が如何に哀しい話なのか…是非、下記ご一読下さい。
「コロナ自粛の根本問題」を解説します ~歴史を動かす「バタフライ・エフェクト」の蝶を全て虫籠に収める愚~
https://foomii.com/00178/2021041711222679048


追伸2:表現者クライテリオン最新刊は、「コロナ疲れの正体~暴走するポリコレ」です。是非、ご一読下さい!
アマゾン:https://www.amazon.co.jp/gp/product/B08ZG1J6H5/
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