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安倍総理の志は死なない!!

東京地検特捜部が狙う再生エネ詐欺事件と”政界ルート”

「この疑惑はでかい。表に出たら、大物国会議員2~3人の首が飛びそうだよ」
 自民党の閣僚経験者が危惧する疑獄の捜査が東京地検特捜部によって行われている。
 4月末までに東京地検特捜部は再生可能エネルギー事業への融資名目で金融機関から約4億円をだまし取った疑いが強まったとして、太陽光発電関連会社「テクノシステム」(横浜市、生田尚之社長)や関係先を詐欺容疑で捜索した。
 静岡県浜松市にバイオマス発電設備を建設する目的で、4億1千万円の融資を地元の金融機関から受けた。しかし、工事は進まず、契約書を確認したところ発注先は建設工事ができない会社だったという。強制捜査を受けたテクノシステムは、5月17日までに会社の法的整理、民事再生法を申請する調整に入ったという。
 よくある企業の経営破たん事件かと思うのだが、テクノシステムの生田社長は、政財界に顔が広い人物として知られていた。とりわけ、小泉純一郎元首相と親しいとされ、長男で人気俳優の孝太郎氏は自社のCMにも出演していた。
 生田氏の交友の広さを如実に示す写真がある。2019年1月に横浜の中華街に高級しゃぶしゃぶ店を開店した生田氏。オープンの様子を参加者がSNSに投稿したものだ。
 開店祝い花の立て札をチェックすると、小泉元首相、鳩山由紀夫元首相、麻生太郎副総理兼財務相、小池百合子東京都知事、原田義昭元環境相、遠山清彦元衆院議員ら大物議員の名前が見られた。テクノシステムの元社員はこう振り返る。
「生田氏はよく会社で『小泉元首相とメシを食った』『小池知事と話をしてきた』などと嬉しそうによく話をしていた。そして、太陽光発電システムなどの開発の商談には『必ず、小泉元首相とのツーショット写真を使え』と命じていました。ダメなものでも、大物政治家の名前を出せば、ゴリ押しが効くんだとよく話していた」
 2020年8月、9月、2度にわたって日経新聞に小泉元首相と生田氏の対談記事が掲載された。生田氏が大物政治家に接近した舞台は、赤坂の有名割烹料理店。生田氏と影のオーナーとされるH氏は、店に通い詰めて常連の小泉元首相らと知り合ったという。
「自ら再生可能エネルギーをやっていると売り込み、小泉元首相と親しくなった。そして、長男、次男へと人脈が広がった。大半の政界人脈は割烹料理店が舞台になっています。生田氏の職場などには、小泉元首相や小池氏らとのツーショット写真が飾ってあった」(前出・元社員)
 政治資金を調べたところ、生田氏、テクノシステムの名義で、政界に献金をしていたことも明らかになった。2015年に小池氏の政党支部、自由民主党豊島総支部に生田氏名義で150万円。2013年には、小池氏の政治団体、フォーラム・ユーリカに50万円。緊急事態宣言のさなかに銀座で遊び歩き、議員辞職を余儀なくされた公明党の前財務副大臣・遠山清彦氏の公明党衆議院比例区九州第2総支部に対してテクノシステム名義で17年に100万円を献金している。
「小池氏は環境相経験者という点が大きい。テクノシステムは、九州に太陽光発電システムをいくつも展開。九州が地盤の遠山氏は何かと役立つと生田氏は言っていた」(前出・元社員)
 再生可能エネルギー事業だけでなく、最近ではホテルなど別の分野にも進出していたテクノシステム。インターネット金融大手「SBIホールディングス(HD)」傘下の金融仲介会社「SBIソーシャルレンディングSBISL)」がネットを通じて投資家から集めた資金の融資を受けていた。
 しかし、太陽光発電システムやマンション建設のためにSBISL社から得た融資を別の目的に費消していた疑いが浮上。SBISL社は第三者委員会を設置して、調査した。
 調査報告書によると、大半の太陽光発電システムやマンション建設工事は、<(テクノシステムから)仕入先や下請先と思われる業者への発注・支払は確認されず、工事はほとんど進捗していなかった>
<土地は、更地(コインパーキング)の状態にあり、本件建物工事が着工し、進んでいるという事実は認められない>などと記されていた。
 当然、SBISL社には返済が滞り、織田貴行前社長は解任となった。SBISL社の関係者はこう話す。
「担当者がテクノシステム側の言い分を信じて、融資を継続していた。だが、テクノシステム側には380億円を融資。その多くが別の目的に使われていたことが知らないなどありえない」
 第三者委員会の報告書は、SBISL社からテクノシステムへの融資のうち、129億円の使途が契約違反と指摘している。SBISL社は近く、金融庁が金融商品取引法に抵触したとして、業務停止命令を発令するとみられる。東京地検特捜部の捜査は、現在のところ金融機関に対しての詐欺容疑だ。
 しかし、今後、SBISL社からの融資なども捜査対象になるとみられる。また、SBISL社には政府系金融機関からも融資が実行されているようだ。
「テクノシステムから被害にあったのはかなりの数の金融機関にのぼる。
SBISL社も含めて、今後、巨額詐欺で大きな事件となる可能性がある。
融資された資金を私的流用していたような形跡もある。なぜ経営基盤がぜい弱で、コンプライアンス意識が低いテクノシステムが多額の融資を得ることができたのか。そこに政治家が絡んでいないのか、今後、捜査していく」(捜査関係者)
 捜査は政界へ波及する可能性もあるという。
「テクノシステムのスキャンダルが明らかになれば、小泉進次郎環境相はしばらく動けなくなるだろう。衆院の解散総選挙が近く、人気者の進次郎氏が動けないのは、自民党にとって痛手だ。テクノシステムの捜査いかんで、政局にも解散総選挙、東京五輪にも大きな影響を及ぼすかもしれない」(前出・自民党閣僚経験者)
 一方、小泉元首相周辺はこう話す。
「なぜ、詐欺事件で東京地検特捜部が乗り出してくるのか。小泉元首相を狙った反原発の運動”潰し”ではないか」
 捜査の行方に注目したい。(今西憲之)